日本品質をグローバルで提供する


「削る」「磨く」「切る」の“飛騨の匠”を
タイから世界へ

グローバルビジネスへの対応が急務な半面、安価な人員コストに頼りがちな海外法人の生産性カイゼン。現状の課題だけでなくビジネスプロセス全体の見直し法令対応の準備を、一度に解決したダイヤレヂボンの取り組みから、海外法人が考えるべきグローバルビジネスに対応したICTについて考える。

 日本レヂボン(本社:大阪)は、砥(と)石の製造および販売、機械工具および関連機器の製造および販売、ガラスクロス製品の処理加工および砥石材料の販売を主な事業とし、岐阜県”飛騨市の工場で日本市場向けおよび高品質のプレミアム品を生産している。同社の海外拠点であるダイヤレヂボン(タイ)は1987年に設立された。主に新興国市場向けの一般標準品を生産している。

 同社は、研削砥石の中でもレジンボンデッド(Resin Bonded)というフェノール樹脂で固めた砥石を製造している。「砥石には『ビトリファイド』という大型の工場で使用される砥石と『ハンドグラインダー』という人が手で扱う工具で使う砥石があります。当社では「ハンドグラインダー」向けの弾力性のある砥石の製造・販売を行っています」と語るのはダイヤレヂボン 取締役社長 杉浦 幹夫氏。

 グローバル市場では、日本企業の提供する品質の高い製品へのニーズは大きい。しかしながら、生産拠点を日本とした場合、東南アジアや中国などの製品との価格競争に勝つことは難しい。そこで同社が考えたのは、日本の品質はそのままに、生産拠点をタイに置くことだった。

 タイで生産している製品は輸出販売が中心だが、そのうち日本向けの生産は全体の10%に過ぎない。インドなどの南アジア、東南アジアが40%、北南米向けが30%を占めており、タイの割安な労働力を背景にグローバル市場でシェアを伸ばしている。

 自社ブランド製品も生産しているが、電動工具メーカー向けにOEM供給しているものがかなりの比率を占めている。パトゥムタニー県に1万6000uの工場を持つほか、2007年にはアユタヤ県ロジャナに2万4000uの敷地を持つ新工場を稼働させている。

現場まかせの在庫管理ではなく戦略的に在庫を「見て」管理しなくてはならない!

 順調に業績を伸ばしていた同社だが、さらなる成長のため杉浦社長は就任直後から対策に乗り出した。

ダイヤレヂボン 取締役社長 杉浦 幹夫氏

 「就任当時にまず原材料の滞留期間を短期化する施策にとりかかりました。タイの場合、人件費が日本と比較して格段に低く抑えられます。このため、直近の施策を実施するには、大掛かりなシステム導入よりも人間系で対処した方が安価だと判断し、調整はシステムに頼らず現地スタッフの裁量で実施していたのです」(杉浦社長)。

 同社の製品の原材料は、ボーキサイトを精錬して作る研磨材、フェノール樹脂、ガラスクロスが中心だ。これらのうちフェノール樹脂、ガラスクロスはタイ国内で調達しているが、研磨材は8割程度を中国から輸入している。

 ボーキサイトはアルミニウムの原料となる鉱石で、中国はその主要産出国の1つ。原材料のうち唯一輸入によって調達しているこの研磨材が、生産工程で発生する粉塵にかかわる環境問題で品薄となり、2008年の北京オリンピック開催を前に高騰した。

 その結果、同社では輸入原料高騰によるコスト増に苦しめられたという。コスト増に対処するためには、調達と生産のバランスをタイトにはできない。調達価格の変動も考慮し、戦略的に原材料を適切な量保有する必要がある。それには、在庫の管理や調達を現場まかせで運用していては状況把握がままならない。

 「そのときに、今後ビジネスを拡張していくためには原材料は戦略的に持つ必要があると痛感し、それを実現するためのシステム導入は急務と考えたのです」(杉浦社長)。

 ビジネス環境の変動が大きくない場合では、現場力に頼った対応が可能かもしれない。しかし、想定を超えた場面では、とても経験とカンに頼った“人海戦術”では対応できないことを、杉浦社長は身を持って痛感した。

月次レベルの状況把握からリアルタイムで「見る」管理へ

ダイヤレヂボン 管理部長 丹波 孝之氏

 杉浦社長がそう決意するより以前、すでに現場トップはこの課題への対策を練っていた。

 「実は第2工場を立ち上げることが決まった4年前からシステム導入は検討していたんですよ」と語るのは管理部長 丹波 孝之氏。

 「システムを使用せず手作業で調整を行っていたため、月次締め後にしか当月の業績結果が分からない状態でした。さらに工場が2つになったため、各工場で購買業務が重複し、原材料がかなり滞留していたのです。そのころから生産管理システムパッケージ導入の検討に入り、いくつかの候補を検討していました」(丹波氏)。

 そのときに出会ったのがglovia.com製品である。

 「glovia.com」は、自社で事前に行っていた業務分析とも対応しているうえ、提供機能そのものも幅が広く、さまざまな業務領域を包括的にカバーできる点、ほぼカスタマイズなしでシステムが構築できる点などが選定理由となったようだ。今回の導入で同社がglovia.comを適用した範囲は下図のとおり、ほぼ業務全体にわたる。

 「なにより、検討の際に行った複数の候補製品のデモのうち、最も利用者の評価が高かったのです」(丹波氏)。

 glovia.comは、グローバルビジネスに対応したERPシステムだ。すべての情報を1つのWebシステム上で管理できる仕組みのため、専用端末を必要とせず、拠点ごとの情報を集約して閲覧できる。視覚表現によって、問題を抽出するよりも前にシステムが自動的に「見せる」仕掛けも課題への対応の質を高めるのに貢献する。

 当時、ほかのパッケージも候補として比較検討していたが、こうした理由から最終的にはglovia.comの導入を決定したという。

構築対象範囲

 導入にあたっては上記の理由のほか、同社を取り巻くほかのさまざまな課題も含めて解決したい、という意図があるようだ。

 「そもそも人件費が高い日本の場合ではシステム導入に際しての費用対効果は数値として得られやすいのですが、タイの場合はそうはいきません。しかし、将来にわたる優位性を保つためにも、在庫圧縮などといった企業体力にかかわる課題は速やかに解決すべき問題です」(丹波氏)。

 glovia.comの利点はここにもある。自社開発アプリケーションや既存ERPの改修によってこれらの課題を対処しようとした場合、莫大な費用と期間が必要となるが、glovia.comの場合は、現場でいま求められる機能が整っているため、導入に際しては、必要な要件にあわせた機能を選択的に採用していくかたちになる。このため、導入にかかわる費用は一般に想定されるERP導入費用よりもぐっと低く抑えられるという長所を持つ。

 導入による定性的な効果に対する期待も大きい。最新のERP導入によって、原価のタイムリーな把握と可視化によるコスト削減と生産性向上が期待できる。また、稼働状況を把握できれば、仕掛在庫も可視化できる。仕掛在庫が把握できれば、設計変更の影響範囲を具体的にシステム上で把握することで、オペレーションミスを防ぎ、無駄を排除できる。加えて、リードタイムの短縮が可能となり、また、納期順守率の向上もはかることができる。原料在庫もタイムリーに把握でき、かつ2工場を同時に管理できるため、余剰在庫の削減と2工場の手配数量最適化も可能になる。

BPM見直しで現地スタッフを育成

 現地法人として、タイの国に根付いたビジネスを展開するためにも、現地スタッフも従来の個人の経験知に頼った判断をその場で行うのではなく、正しく情報を確認・共有したうえで判断できる人材に育てる必要がある。

 「ビジネスを推進していくうえで最低限必要なシステムを適正な投資で構築することで、情報共有・見える化が実現でき、ひいては然るべき人が判断できるようになると考えています」(杉浦社長)。

 ダイヤレヂボンには405人の従業員が所属しているが、そのうち日本人は4人だけだ。それ以外はすべて現地で採用したスタッフで運営している。同社の今後の発展のカギは、現地スタッフの育成に掛かっているといえる。

 「システムの導入と同時に業務プロセスを見直すなどの改革に取り組んだ結果として、さらなる成長が見えてくるはずだと考えています」(杉浦社長)。

 現地スタッフが“人海戦術”的対応から脱し、効率的な生産プロセスを学び、生かすための環境としても魅力的なものとなっている。

法規制に対応しやすい仕組み

 glovia.com導入の利点には、各種法規制にシステムがあらかじめ対応している点も挙げられる。

 タイでは「コンピュータ犯罪法」という法律が2008年9月から施行されており、企業のインフラシステムでは最低90日間は通信ログなどを保管することが義務付けられている。

 通常であれば、既存ERPシステムに対する操作・アクセスログ収集のために新たなシステム投資が必要となるところだが、glovia.comには、ユーザーのアクセスログなどを保管・参照する機能も含まれているため、特別なオプション開発の必要なく、ログ収集と確認が可能だ。

実際の導入ではサポートが組織のブラッシュアップにつながった

 「導入過程で業務フローの整理や分掌業務が整理できることも、企業の内部統制を考えるうえで重要なポイントです。これも1つの利点といえるでしょう」(丹波氏)。

 現在はシステムに合わせて、業務プロセス・組織を変更するため、現地スタッフへの教育・意識付けなどの管理を本番稼働に向けて注意しているという。

 今回の導入は、glovia.comを提供するグロービア インターナショナルがサポートを行った。glovia.comが提供する業務プロセスをベースに、杉浦社長ら経営陣の思いをキャッチアップ、導入プロジェクトメンバーへの意識付けなどの場面では、多数の導入実績で蓄積されたノウハウに則したサポートを行った。

 glovia.comでは拠点ごとに導入する必要性がなく、拠点がいくつ増えても、すぐ同じ業務アプリケーションを利用できるため、今後の工場新設に際しても、稼働までの時間を短縮できる利点もある。

本社との連結、IFRS対応の準備もオールインワンで解決

 同社は今回glovia.comを採用したことで、glovia G2へのアップグレードの可能性も残した。すでにglovia.comに合わせた業務プロセスが構築できていることから、同様のスキームを利用することでアップグレード作業も大きな障害なく実現できる素地が整っている。

 加えて、後述するように、日本レヂボンがglovia G2へのシステムマイグレーションを決定したことで、連結決算への対応がスムーズに行える。また、今後対応が必須となるといわれているIFRSなどの会計法上の新たなルールの適用に際してもスムーズな業務移行が実現できると期待しているという。

◇◇◇

 今回の導入プロジェクトでは、タイを拠点とするシステムインテグレータであるICTUSとGlovia International Thailandが実際のサポートを行っている。

 前述のとおり、ダイヤレヂボンの親会社である日本レヂボンでは、2009年末に「glovia G2」でのシステム再構築を決定し、タイで導入した成功モデルをベースに2010年に入り導入プロジェクトをスタートさせている。プロジェクトは順調に進み、2010年春にもカットオーバーできるところまで完成している。

 世界レベルの好不況の変化に迅速に対応できる仕組みづくりを強力に支援する「glovia G2」の今後の展開にも期待したい。

関連リンク
グロービア インターナショナル
日本レヂボン
ダイヤレヂボン
関連製品
glovia G2

提供:グロービア インターナショナル株式会社
アイティメディア営業企画
制作:@IT MONOist編集部
掲載内容有効期限:2010年4月23日