いまさら聞けない加速度センサ入門

センサ技術解説

いまさら聞けない加速度センサ入門

都筑 友昭 アナログ・デバイセズ 2009/3/24

使用用途が拡大し、いまや民生機器への搭載も広がっている「加速度センサ」について、その概念をあらためて解説する。(編集部)

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加速度センサとは?

 加速度センサとは、加速度の測定を目的とした慣性センサです。振動センサと異なり、直流(DC)の加速度が検出可能であるため、重力を検出することも可能です。

 加速度を測定し、適切な信号処理を行うことによって、傾きや動き、振動や衝撃といったさまざまな情報が得られます。加速度センサには多くの種類があり、加速度の検出方式によって大別されます。本稿ではMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を応用したMEMS加速度センサの紹介をします。

 近年のマイクロマシン技術またはMEMS技術の発達により、半導体微細加工技術を応用した加速度センサは大量かつ安定的に生産できるようになりました。加速度センサの用途が拡大した背景には、加速度センサ自体の技術的革新があったといえます。最近では使用用途の要求を加速度センサに組み込んだ製品、例えばADコンバータを内蔵した製品や、加速度情報以外に加速度センサに一定の閾値以上の加速度が加わった場合に割り込み信号を出力するような、アルゴリズムを内蔵したタイプの製品が登場しています。

加速度センサの分類

 一般的に約20G以下の測定範囲を持つ加速度センサを低G加速度センサ、それ以上の測定範囲を持つものを高G加速度センサと呼びます。低G加速度センサは重力・傾きの検知や人の動きの検知に適しており、高G加速度センサは主に衝撃の検知に使われます。

 MEMS型加速度センサは加速度を検出する検出素子部と、検出素子からの信号を増幅、調整して出力する信号処理回路で構成され、検出素子部の方式によって表1のように分類されます。チップ内部で補正を掛けている製品も多く存在するため、個々の製品仕様と表1の説明が必ずしも一致するわけではありませんが、加速度センサの特性は検出素子部の特性に大きく左右されます。よって、センサを選定する場合には検出原理を理解して用途に適した加速度センサを選択することが重要です。

表 MEMS型加速度センサの分類
静電容量検出方式
ピエゾ抵抗方式
熱検知方式
原理
センサ素子可動部と固定部の間の容量変化を検出
センサ素子可動部と固定部をつなぐバネ部分に配置したピエゾ抵抗素子により、加速度によってバネ部分に発生した歪みを検出
ヒーターにより筐体内に熱気流を発生させ、加速度による対流の変化を熱抵抗等で検出
特徴
センサ素子部はSiやガラスなどの安定した物質で構成
比較的構造が単純で、素子からの出力が大きい
可動部を持たないので、衝撃に強い。パッケージ容積と特性がトレードオフの関係にある
精度
安定した物質で構成されるので、特に温特に優れる
原理・構造要因により温特の直線性、感度の直線性がやや劣る。共振周波数が低い場合は外部振動による影響がある場合もある
常温ノイズは比較的低いが、感度の温特が低い。原理要因により、測定周波数帯域が狭い(数10Hz)

静電容量型加速度センサの検出原理

 ここでは加速度センサの構造および検出原理について、アナログ・デバイセズで用いている静電容量検出方式の低G加速度センサを例に解説します

 古典力学のニュートンの法則によると、物体に働く力は以下の式で表すことができます。

(1)

 ここで、Fは重さmの物質に働く力で、aは加速度です。バネと重りで構成されるシステムを考えた場合に、Fは以下の式で表せます。

(2)

 kはバネ係数でxはバネの伸縮距離です。式(1)と式(2)の連立方程式を解くと加速度aは以下の式のようになります。

(3)

 式(3)より、加速度は既知のバネ係数と重さを持った重りの移動距離を計測することで計算が可能であることが分かります。図1は加速度の検出原理を図示したものです。

図1 加速度センサの検出原理

 今回解説に用いた静電容量型加速度センサ(アナログ・デバイセズ製)は、式(3)を利用して、重りの移動距離を計測することによってセンサに加わっている加速度を出力するように設計しています。図2は代表的な低G加速度センサの検出素子部の模式図です。

図2 静電容量型加速度センサの検出素子部模式図
(参考:アナログ・デバイセズの加速度センサ)

 検出素子部には加速度によって動く可動部(重り)とバネ、またその動き(移動距離)により静電容量変化を発生させるための櫛歯状電極が形成されており、可動マスに形成された可動電極1本当たりにつき2本の固定電極に挟まれる形で電極の単位セルを形成しています。

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