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“独自技術”を根底に掲げる三洋の太陽電池事業
30年以上の蓄積がある技術力を強みに、太陽電池事業を展開する三洋電機。そのベースはアモルファスシリコンを材料に使用した薄膜太陽電池だ。
「当時は電卓向けの太陽電池からスタートし、その後、アモルファスの技術に磨きをかけ、1890年ごろには家庭用の太陽光発電が現実する手前までいった。しかし、残念ながら住宅の屋根に載せるために十分な発電効率が確保できず、量産にはいたらなかった。そこで、高効率が期待できる結晶系の太陽電池開発に着手した」(三洋電機 先進太陽光発電開発センター センター長 田中 誠氏)
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| 画像4 三洋電機の太陽電池開発の歴史(田中氏の発表資料より転載。以下同様) 薄膜アモルファスシリコン太陽電池は第1世代、現在のHIT太陽電池は第2世代に当たる |
同社の目指した結晶系太陽電池は、当時(他社)の結晶系太陽電池のマネをするのではなく、同社の独自技術(蓄積のあるアモルファスの技術)を生かした新たな結晶系太陽電池だったという。そこで生まれたのが、現在同社の太陽電池事業の主体となっている“HIT太陽電池”だ。その後同社ではHIT太陽電池を中心に技術開発を進め、2009年に研究レベルで世界最高効率となる23%を実証した。
今回開催されたサミットのテーマである薄膜太陽電池については「いま一度研究開発を基礎から行うべく、再度の事業化を決意した」という。なお、薄膜太陽電池の技術・事業戦略については、後ほど紹介する。
HIT太陽電池について
HIT太陽電池は、単結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせたハイブリッド型となっている。2009年9月現在の変換効率は19.7%で、セルの断面厚は200μ。従来の結晶系太陽電池がp型とn型と、いずれも結晶シリコンを使用しているのに対し、基本接合で薄膜のアモルファスシリコンを製膜することで、高効率を実現しているという。太陽電池の分類(前ページの画像2を参照)で見ると、結晶系シリコン太陽電池として位置付けられる。
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| 画像5 HIT太陽電池の構造
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「結晶シリコンの良さに薄膜アモルファスシリコンの独自技術を生かすことで、効率を最大限に引き出している。事業を始めたばかりのころ(1997年)は10cm角サイズで変換効率17%だったが、その後着実に伸びている。理論上の変換効率は25〜30%なので、そこを目指していきたい」(田中氏)
HIT太陽電池の特長
HIT太陽電池の特長は、変換効率の高さと優れた高温特性(夏場にも強い)だ。「シリコン系の太陽電池は宿命があり高温になると変換効率が落ちてしまうが、HIT太陽電池はその落ち方が少ない。JIS(Japanese Industrial Standards、日本工業規格)やIEC(International Electrotechnical Commission、電気・電子機器に関する国際標準規格)の規格で指標とされている25度での変換効率も高いが、実際の動作温度である50〜60℃ではさらに差が開く」(田中氏)
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| 画像6 薄膜化に適した構造
| 画像7 高温特性
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このように“高効率”が評価されているHIT太陽電池だが、一方で市場では「高い」という声が聞かれるという。「今後さらに市場が成長、拡大していく中でいつまでも高い太陽電池であることは弱みになる。低コスト化を図り、ボリュームゾーンにもっと入っていかなければならない」(田中氏)
「そのための手法の1つとして、変換効率の向上とともに、薄型化が重要となる。従来は300μ以上あった厚さから200μにまで薄膜化に成功しているが、今後はさらに50μというところを狙っていきたい。これはHIT太陽電池に限らず、結晶シリコン太陽電池の業界ではみな同じことがいえる」(田中氏)
田中氏いわく、HIT太陽電池は薄型化に適した構造だという。「従来型の結晶系シリコン太陽電池は表側に反射防止板があり、裏側にアルミ電極がある構造(表裏が非対称)。それに対し、HIT太陽電池はpとnの差はあるものの、基本的には対象系となっている。つまり、熱膨張や熱収縮に対して非常に強い。セル作成時の温度が400〜500度だとすると、実際に動作するのは室温に近い温度になるため、降温過程でそりが発生する。HITはそりが発生しないので、高温でもどこまで効率が落ちない」(田中氏)
なお同社のHIT太陽電池は現在、関西空港の近くにある二色の浜工場(大阪府貝塚市)を拠点に事業を進めている(二色の浜工場では210メガワットのセルとモジュールの両方を扱っている)。セルについては国内に2拠点あり、二色の浜工場と島根三洋で合わせて340メガワット体制だが、今後は拡張を進め、2010年度中に600メガワット体制を目指すという。
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