ARM Forum

電子機器 イベントレポート(27)MeeGo Seminar Winter 2010

本格始動したMeeGoが見せた飛躍の可能性

石田 己津人  2011/1/6

Linux Foundationは2010年12月、Linuxベースのオープンソースプラットフォーム「MeeGo」の専門セミナー「MeeGo Seminar Winter 2010」を開催した。その模様をレポートする。(編集部)

- PR -

 MeeGoについては、ユーザーエクスペリエンス(UX)層に本命となるハンドセット向けとIVI(In-Vehicle Infotainment=車載インフォテイメント)向けが加わった「MeeGo v1.1」が2010年10月末に登場。そのロードショーが世界5カ国8都市で行われ、「いよいよ本格的に動き始めた」という印象を業界に与えていた。それだけに3回目となる今回のMeeGo Seminarは、参加者が過去最高の500人超となった。

 インテルでMeeGoのマーケティングを担当する今別府 大介氏も「MeeGoは当初、“インテルとノキアのもの”というイメージが強かったが、AMDもMeeGoに対するコミットメントを表明し、オープンソースのモバイルプラットフォームとして認知されるようになってきた」と手応えを感じていた。

技術の断片化を防ぐMeeGo

 セミナーではまず、MeeGoプロジェクトを主催するLinux Foundationエグゼクティブ・ディレクターのジム・ゼムリン氏が「Strategic Freedom with MeeGo」と題して基調講演を行った。


画像1 Linux Foundationのジム・ゼムリン氏

 ゼムリン氏は「向こう数年でネットにつながるユーザーは倍増して20億人、デバイスは150億台増える。あらゆるプレーヤーの前に“機会”が開かれている」と語った。そのうえで、開発モデルとしてMeeGoがよって立つ「オープン型」と1社がクローズドに行う「コントロールド型」を比較。「多くの人がアイデアを持ち寄り、協業するオープン型がより強みを発揮する」とした。


画像2 あらゆるデバイスがネットを介してつながるコンピューティング新時代。現在はその幕開けにすぎない

 ただ、ゼムリン氏がオープン型の課題としたのは、誰もが自由に改良を行えるが故に起こる「技術の断片化(Technology Fragmentation)」である。これはLinuxでも問題とされてきた。いくらオープンソースプラットフォームでも断片化した状態では、思うように開発コストは削減されない」。

 「その点でMeeGoは断片化を伴わない」と、ゼムリン氏はMeeGoプロジェクト運営の原則を説明した。その中でも、コンポーネント改変は上流コミュニティに承認されてから行う「Upstream First Philosophy」の原則が大きいと感じられた。また、MeeGoデバイスに対して準拠性を認証するコンプライアンスプログラムを通じてもMeeGoの一貫性を確保していくという。

 ゼムリン氏の講演からは、“オープンな中にも規律あり”というMeeGoの基本方針が読み取れた。1つのCore OSとAPI、数種類のUXにより、ハンドセットからスマートTVまで多様なデバイスへ適用できるオープンソースプラットフォームを目指すMeeGoにとり、それは必然かもしれない。同氏は講演の最後に「2011年は、MeeGoを搭載したさまざまなデバイスが登場してくる。期待してほしい」と語りかけた。

6カ月サイクルで進化するCore OS

 基調講演に続く技術セッションでは、MeeGo自体の開発状況の報告や、MeeGoを用いたアプリケーション開発方法論の解説が行われた。その中でも興味を引かれたのは、MeeGoプロジェクトで「Core OSプログラム」のマネージャを務めるノキア本社の菅野 信氏の講演である。


画像3 ノキア本社の菅野 信氏

 菅野氏は、MeeGoのアーキテクチャやCore OSプログラムの運営方法、利用しているツールなどを説明した後、リリースされたばかりのMeeGo v1.1について、「メディア上でも大きな反響があった。実際、ハンドセットUXの初リリースに合わせて、オーディオ、ビデオ、ブラウザなど、短期間でかなりの新機能を実装できた」と振り返った。一方、「性能が不十分」と正直に打ち明ける場面もあり、実用に向けてはまだまだ作り込みが必要なようだ。ただ、Core OSは6カ月サイクルで更新される。機能の拡充も早そうだ。


画像4 MeeGoプラットフォームのアーキテクチャ。1つのCore OSとAPI、デバイス向けユーザーエクスペリエンスで構成される

 次に菅野氏は、2011年4月にリリース予定の「MeeGo v1.2」でCore OSに追加される新機能について説明を行った。それによると、「Policy Framework」と「MeeGo Security」の2つが主立った新機能になるという。

 Policy Frameworkとは、特定イベントに対する複数アプリケーションにわたる“振る舞い”を規定するものだ。菅野氏は「例えば、携帯電話で音楽を聴いている際に着信があれば、音楽アプリ一時停止、電話アプリ起動、リングトーン出力といった振る舞いが考えられるが、仮に『ヘッドセットを付けていたら』『マナーモードだったら』など、多岐にわたる条件によって振る舞いが細かく変わる。これを個別アプリで逐一規定するのは難しい。そのため、Core OSとして協調させるためのフレームワークを提供する」と説明した。

 具体的にPolicy Frameworkは、音声の消音・停止、アクセサリの検出・選択を設定する「Media Stream Management」、リソース割り当ての優先順位付けを行う「Resource Management」、通知方法を決める「Notifcation」で構成され、イベントごとの振る舞いを一元的に規定できるという。

 一方、MeeGo Securityについて、菅野氏は、スマートフォン向けの悪意のあるアプリケーションがいかに簡単に書けてしまうかを伝えるBBCの記事や、将来的に稼働台数でスマートフォンがPCを上回る需要予測などを紹介し、「MeeGoでもセキュリティ強化は避けて通れない」とした。

 MeeGo Securityでは、「ユーザー向け保護」として、パーソナルデータ保護や悪意のあるソフトウェアによるデバイス乗っ取りの防止、「デバイス向け保護」として、SIMロック保護、規制に準じたリソース保護などに対応し、モバイル向け電子商取引サービスにも対応していくという。

 MeeGoのCore OSはまだまだ発展途上の感は否めないが、菅野氏の講演を聞くと、要求管理や品質保証、エラー管理などのリリースプロセスはしっかりしたものがあり、今後も継続的な機能拡張が期待できそうだ。

>>次ページ「アームは中立的にMeeGoをサポート」


  • 連載バックナンバー
  • 全記事インデックス
  • 電子機器トップ
  • MONOistトップ

関連リンク

スキルアップ/キャリアアップ(JOB@IT)

スポンサーからのお知らせ

- PR -
@IT Sepcial

@IT MONOist 求人情報

- PR -