@IT MONOistゼミナール・レポート

なぜいまUSB 3.0スーパースピードが必要なのか

西坂 真人 @IT MONOist編集部 2010/8/11

エレクトロニクス業界で注目されている「USB 3.0」の概要から将来展望、USB 3.0活用の各種ソリューションや事例を紹介するセミナー「@IT MONOist ゼミナール USB 3.0活用セミナー」が開催。本稿ではルネサス エレクトロニクスによる基調講演の内容を中心に紹介する。(編集部)

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 エレクトロニクス業界でいま最もホットな話題の1つとなっている「USB 3.0」。@IT MONOistでは、次世代インターフェイスとして期待されているこの高速通信規格の概要から将来展望、USB 3.0活用の各種ソリューションや事例を紹介するセミナー「@IT MONOist ゼミナール USB 3.0活用セミナー/〜スーパースピードが新たな市場を創出する! 次世代インターフェイス新規格『USB 3.0』活用講座〜」をこのほど開催した。

 本稿では、ルネサス エレクトロニクス SOC第一事業本部 産業ネットワーク事業部 ストレージソリューション設計部の友田 嘉幸氏による基調講演の内容を中心に紹介する。


画像1 定員を超える読者が参加するなど盛況だった「USB 3.0活用セミナー」

USBの歴史

 「なぜいまスーパースピードが必要なのか」と題した基調講演で、友田氏はまずUSBの歴史から口火を切った。USBが正式にお披露目されたバージョン――USB 1.0の仕様が発行されたのが、いまから約15年前となる1996年1月のこと。友田氏がUSBにかかわったのはさらにその前、バージョンが0.8の時代だったという。

 
  画像2 ルネサス エレクトロニクス SOC第一事業本部 産業ネットワーク事業部 ストレージソリューション設計部 友田 嘉幸氏

 「旧NECエレクトロニクス時代(ルネサス エレクトロニクスは2010年4月にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが合併)の1995年、当時の上司がUSBに関する英文の分厚いスペックシートを持ってきて『これを読め。新しいインターフェイスらしい』と命じた。“らしい”でスタートして15年間、現在まで一貫してUSBに携わってきた会社というのもわれわれぐらいだろう」(友田氏)。

 15年もの歴史が物語るように、これまでルネサス エレクトロニクス(当時はNECエレクトロニクス)は、USBの規格推進団体「USBインプリメンターズフォーラム(USB-IF)」のプロモータ企業として尽力し、USB 3.0においても普及の中心的役割を担っている。2009年5月には世界で初めてUSB 3.0ホストコントローラLSIを製品化し、この製品で同年9月には世界初のUSB 3.0認証も取得している。

 「PCI標準化の活動をしていたインテルとマイクロソフト、そして米NECコーポレーションの標準化メンバーで『パラレルで高速な規格(PCI)ができたので、今度はシリアルで高速なものを作ろう』と話し合ったのがUSBの始まり。当時はマウスもプリンタもインターフェイスが別々で、これら周辺機器をPCと接続するのに困っているユーザーが大勢いた。インターフェイスを1つに統一することでこれらの問題も解決する。当初はPCの規格ということでNECが動いていたが、実際の規格策定はデバイスがメインとなるということで当時のNECエレクトロニクスが引き継ぎ、プロモータもNECから譲渡してもらっていまに至っている」(友田氏)。

1.0/1.1から2.0、そして3.0へ

 USB 1.0の仕様を厳密に規定したUSB 1.1が1998年9月に登場してから、USBは飛躍的な普及をみせる。スタート時はマウス/プリンタといった周辺機器のほかにテレコミュニケーション用途を想定していたというUSBだが、実際にはテレコミュニケーションではあまり使われずに、FDDやHDDなどのストレージ系用途が増えてきたと友田氏は当時を振り返る。

 「ストレージ用途となると、やはりUSB 1.0/1.1では遅くて使えないということになり、より高速なUSBということで2000年4月にUSB 2.0が登場した。480MbpsのUSB 2.0が出た当時、ストレージ向け規格はさまざまな独自インターフェイスが存在していたが、USBがPCの標準インターフェイスになるにつれ、何でもUSBで接続しようという流れになってきた」(友田氏)。


画像3 広がるUSBの世界

 USB 2.0の登場以降、USBの用途は日に日に拡大していき、あらゆるアプリケーションの必須インターフェイスとしての地位を築き上げた。

 「USB 2.0のハイスピードでも480Mbpsをタイムシェアリングしているため、機器が増えるにつれ、機器1台が使える帯域は480Mbpsからどんどん減っていく。一方でUSBの用途はどんどん拡大していた。今後を見据えると、どこかのタイミングで高速にしなければいけないというのは目に見えていた」(友田氏)。


画像4 拡大していくUSBインターフェイスの用途

なぜいま、スーパースピードが必要なのか

 USB 3.0の最大の特徴は、そのスピードだ。USB 2.0のロースピード(LS:1.5Mbps)、フルスピード(FS:12Mbps)、ハイスピード(HS:480Mbps)に加え、5Gbpsの超高速転送が可能になるスーパースピード(SS)が追加されている。

 しかし、USB 2.0ハイスピードの約10倍もの転送速度が果たして必要なのだろうか。友田氏はスーパースピードの有意性について「USB機器の帯域の拡大」を例に挙げて説明した。

 「動画や静止画はどんどん高精細になっていき、転送データが増えている。25GbytesぐらいのHD動画HD動画を転送しようとすると、USB 2.0では14分ぐらいかかるがUSB 3.0だと約70秒で終わる。USB 3.0のスペックを決めるときに、本当にこんなスピードが必要なのか、という議論もあった。だが当時の規格策定メンバー同士では『マーフィーの法則じゃないが、子供は朝の出発時間ギリギリになって、持っていく音楽や動画をダウンロードしたくなる。そのときに14分もかかっていたら、バスに乗り遅れてしまう』といった会話を交わしていた」(友田氏)。


画像5 データ転送速度への要求が高まっている


画像6 USBのスピードモード

>>USB 3.0の高速転送を実現するためのさまざまな工夫とは? 続きは次ページで!


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