中間物流におけるRFIDの可能性、トーヨーカネツソリューションズ

日本のRFID業界をけん引する人々(7)

中間物流におけるRFIDの可能性、トーヨーカネツソリューションズ

柏木 恵子  2007/8/27

トーヨーカネツソリューションズは、SCMやWMSを核に、「生産者・メーカー」から「物流センター」を経由して「店舗・消費者」までのサプライチェーン全体の物流を最適化するロジスティクスシステムを提案するソリューションプロバイダーだ。中間物流でのRFID利用の未来予想図について、トーヨーカネツソリューションズ上席執行役員システム本部長兼ソリューション部長の岩瀬緑朗氏にお話を伺った(編集部)

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3PLで物流は設備投資から仕組み投資へ

――事業概要について教えてください

岩瀬 トーヨーカネツソリューションズは、マテハン機器メーカーとしてスタートした会社です。マテハンというのはマテリアルハンドリングの略で、物流業務を効率化するために用いる作業機械のことを指しています。

 弊社では、コンベヤやソータといったピッキングや仕分けのための機械に関する技術を持っています。だから、物流といっても輸配送ではなく倉庫内の物流がメインで、そのような機械の製造・販売から事業を始めました。

 1980年代から物流の世界にもコンピュータが導入され、物流システムも情報システムを絡めたものになりました。また、流通業務をアウトソーシングする3PL(3rd Party Logistics)が盛んになってきて、各社とも設備投資ではなく仕組み投資になってきました。

岩瀬緑朗 上席執行役員 システム本部長兼ソリューション部長

 弊社は「ハードウェアありき」でビジネスを展開していましたが、このような流れの中で、「問題解決を提案する」ビジネスに変わっていきました。

 「ハードはハードに駆逐される」といいますか、ハードウェアは最終的には価格競争になってしまいます。そこで、物流システム全体の提案を通じて、ハードウェアは結果的に導入されることもあるというスタイルになったのです。

 トーヨーカネツは、石油プラントなどのエネルギータンクを製造する事業でトップの企業です。物流ソリューションへ注力すべく、2002年にトーヨーカネツソリューションズが物流システム事業部門を100%継承した会社として分社化されました。

――物流ソリューションの中でRFIDに取り組むきっかけは

岩瀬 倉庫内の物流の基幹システムは、WMS(Warehouse Management System)です。これは、物流センターにおける一連の業務を効率化するための総合管理システムですが、入出庫管理や在庫管理などを一元管理し、マテハン機器とのインターフェイスも提供します。

 現場の作業の中心はハンディターミナルによるバーコードの読み取りです。つまり、物流の世界は「バーコードありき」です。モノを自動識別する唯一の方法はバーコードで、多くのシステムでバーコードが使われています。

 ところが、時代はバーコードからRFIDになってきた。それは、RFIDでなければできないことがあるからです。例えば、データを読み出すだけでなく、書き込むことができます。そして、バーコードでは不可能な情報の見える化が可能になります。このようなバーコードを補完する部分にRFIDの魅力を感じました。

小さな成功事例が求められている―「Noisyラボ」の設立

――いつ頃からRFIDに目を付けられたのですか

岩瀬 個人的には会社が分社化する前から注目していました。しかし、RFIDタグの値段が高いこともあって成功事例が少ないと感じていました。弊社でも、ハンガーの仕分けシステムや空港のバゲッジハンドリングの実証実験など、いろいろな挑戦を行ってきたのですが、なかなか成功事例にたどり着けません。

 私自身はもともとIBMのメインフレームでエネルギータンクの製造管理などの基幹システムをやっていたコンピュータ屋なので、ハードウェアにこだわりがありません。RFIDそのものについては、「コンピュータがこんなに小さくなったか」と興味がつきません。

 だから、RFIDビジネスのリーダーとなっても、自分でやりたいと思う夢に対して力を入れてきました。チームに必要なのは、しっかりとした基礎だけでなく、夢があることだと思っています。そして、夢を実現するためには、最初から大きな期待を掛けるべきではないと。竹中平蔵さんがいっていたように「アーリー スモール サクセス」、とにかく、小さくてもいいから早く成功例を作ろうと取り組んできたのです。

 その事例の1つが「HP RFID Noisyラボ」の開設です。UHF帯のRFIDシステムが登場したときに、UHFをカテゴリーとしたチームを作りました。米国では、HP(ヒューレット・パッカード)がWal-martのRFIDシステム導入でラボを作ったと聞きましたので、「一緒に何かできないか」と話を持っていたのです。そのときのHPのキーフレーズが「Start small! But, start now!」でした。

――Noisyラボの役割とは

岩瀬 いまでこそNoisyラボは、きれいになっていますが、開設当初は倉庫そのものといった感じでずいぶん汚いところでした。そこで、あえて「ショールームではありませんよ」というのをウリにしましたね(笑)。

 RFIDは、費用対効果や読み取りの信頼性といったことから、上流に当たる製造の世界では成功していましたが、物流の世界では難しい状況です。何が難しいのかというと、そもそもRFIDタグを張るということが難しい。それに、なかなかメリットを出せません。

 そこで、まずはお客さまに、実際にどのようなことができるかを見てもらおうという狙いでNoisyラボを開設しました。このような施設がないとお客さまは話に乗ってこられません。最初の一歩を踏み出していただこうじゃないかということなのです。

 Noisyラボには、2005年12月の開設以来、すでに2000人くらいの見学者がいらっしゃっいました。英国の貿易省の方や日本の経済産業省の方も視察に来られました。

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