半導体ウォッチ

半導体ウォッチ(10)

ニッポン・デジタルカメラ業界を襲う再編の波

豊崎 禎久 ジェイスター株式会社 代表取締役 2008/4/16

半導体やエレクトロニクスに関係したトピックは、その背後に企業や国家の世界的な駆け引き、覇権争い、長期戦略が複雑に絡み合っており、国際的な視野なくして理解できない。ハイテク産業で第一人者のアナリストを筆者に迎え、最新ニュースの裏を読むコラムを毎月お届けする。(編集部)

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 2008年に入って、エレクトロニクス業界の再編に関するニュースが急速に増えてきた。3月上旬には、三菱電機が携帯端末事業からの撤退、パイオニアがPDPテレビ製造の撤退を発表した。

 2008年3月26日に米モトローラは、不振が続く携帯端末部門を株式公開企業として分社化する計画を取締役会で承認したと発表した。今後も、業界再編に関するさまざまなニュースが発表されるだろう。本連載では、第4回でDVD、第6回で半導体企業、第7回で液晶テレビ、第8回第9回で携帯端末に関する業界再編を論じてきた。今回は、日本のお家芸ともいえるデジタルカメラ業界の再編シナリオについて読者の皆さんと検証してみよう。

関連情報
「市場のスピードとギャップがあった」──パイオニアがPDP生産から撤退、松下から調達へ(ITmedia Newsより)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/07/news108.html
三菱電機、携帯端末から撤退──“D”端末は「D705i」「D705iμ」で歴史に幕(ITmedia +D mobileより)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0803/03/news031.html
モトローラ社、携帯電話機部門を分社化へ(EE Times Japanより)
http://www.eetimes.jp/contents/200803/32605_1_20080328094124.cfm

 

デジタルカメラの歴史を検証する

 デジタルカメラの歴史は古く、アナログ方式の電子スチルカメラは、1981年ソニー「マビカ」(フロッピーディスクの磁気記録方式)を発表し、1986年にキヤノンが「RC-701」を発売する。しかし、デジタルカメラが一般的に知られるようになったのは、1994年11月にカシオ計算機が発表した25万画素のデジタルカメラ「QV-10」からだろう。QV10は、ユーザーが撮影した画像をその場で確認できる背面の液晶パネルを世界で最初に採用したことが画期的であった。QV10の開発物語は、NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられている。

 90年代半ばを過ぎると、オリンパス「C-1400L」のように、100万画素を超えるクラスの機種が出始める。

 しかし、1995年に米イーストマン・コダック社が発売した、キヤノンEOS-1Nをベースにした「EOS DCS1」や、1998年に富士フイルムとニコンが共同開発した「FUJIX DS-560」・「ニコンE3」に代表されるように、当時のデジタル一眼レフは、価格や機能からそのほとんどがプロ向けとして販売されていた。

 ところが1999年9月に、ニコンが「D1」をそれまでと比べて極めて低価格(65万円)で発売し、デジタル一眼レフのユーザーをセミプロまで押し広げた。キヤノンも2000年に自社の電子デバイス事業部で開発を進めていたCMOSイメージセンサ(要素技術は、三洋半導体をベース)を搭載した「EOS D30(35万8000円)」の低価格で勝負に出る。この世代から、主要カメラメーカーは、光学系重視のレンズ交換式デジタル一眼レフ分野に参入することになった。

 2000年を過ぎると、コンパクト型デジタルカメラでも300万画素が当然となり、ここから一気に価格競争が激化した。2002年に、国内メーカーのデジタルカメラの総出荷台数がフィルムカメラの総出荷台数を上回ったのである。ハイ・ボリュームゾーンのコンパクト型デジタルカメラは、市場の実売価格で2〜3万円台まで値を下げ、レンズ交換式デジタル一眼レフはボディ価格5万円台から購入できる時代になった。

 2004年ごろからは、センサの画素競争に手振れ補正などの機能競争も加わるようになった。また、開発リードタイムも3カ月程度と短くなり、価格・製品の開発競争は一層激化する。特に、デジタルカメラは、差別化を行う画像エンジンなど開発のスピードが求められるようになる。

 2004年1月22日、イーストマン・コダック社は、子会社のチノンの株式を公開買い付け(TOB)し、完全子会社化すると発表した(当時チノンは、コダック向けにデジタルカメラをOEM供給しており、売り上げのほぼ100%を同社向けが占めていた)。2005年、京セラが名門コンタックスのカメラ事業から完全撤退に続き、2006年には老舗のカメラメーカーのコニカミノルタがカメラ事業から撤退した(当時のミノルタのデジタルカメラ事業参入の失敗は、重要なデバイスである画像エンジン開発の半導体企業のパートナー選択に問題があった)。その代わりに、デジタル家電メーカーのソニーと松下電器産業がデジタル一眼レフ市場に参入し、カメラのデジタル化はカメラ業界の再編を加速させる結果となった。

関連情報
Nikon 「D1」を9月29日発売(Nikon Webサイトより)
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/1999/d1_99.htm
カメラ映像機器工業会(CIPA)統計(CIPA Webサイトより)
http://www.cipa.jp/data/index.html
コダック、デジカメ事業強化でチノンを完全子会社化(ITmedia +D mobileより)
http://plusd.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0401/22/news059.html
京セラ、デジタルカメラ事業から完全撤退――“CONTAX”の銀塩カメラも撤退の方向(ASCII24より)
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2005/03/10/654738-000.html

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