Embedded Technology 2009レポート

Embedded Technology 2009レポート

ZigBeeで広がるワイヤレスM2Mの世界

西坂 真人  2009/12/9

先ごろ開催された「Embedded Technology 2009(以下、ET2009)」(2009年11月18〜20日、パシフィコ横浜)において、近距離無線通信規格「ZigBee」関連の展示が数多く見られた。ZigBee最新動向をレポート形式で紹介しよう。(編集部)

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 機器同士の無線ネットワークを低コストかつ安心安全に実現する近距離無線通信規格「ZigBee」。センサネットワークに向けた環境配慮型テクノロジーとして数年前から普及が期待されていたが、ここ最近のエコ/環境への流れが後押しし、注目度が高まっている。先日開催された「Embedded Technology 2009(ET2009)」の会場でも、ZigBee関連の展示が数多く見られた。


Embedded Technology 2009(ET2009)では、環境配慮型技術「ZigBee」に注目が集まっていた

 本稿では、ET2009におけるZigBeeを中心にした近距離無線通信規格の展示内容を紹介しながら、近い将来、新たなマーケットとして広がる可能性を秘めたワイヤレスM2Mの世界を追ってみたい。

エコな家庭をZigBeeで――NECエレクトロニクス

 NECエレクトロニクスのブースでは、家庭内のさまざまな機器をネットワークでつないで省エネを図る「スマートホーム・ソリューション」を提案。ブースに登場した一般住宅の模型で、太陽光発電やLED照明、エアコン、給湯器などにZigBeeデバイスを搭載した事例を紹介していた。


ZigBeeをベースにしたスマートホーム・ソリューションを一般住宅の模型で紹介

 模型では家庭内の機器にZigBeeモジュールを搭載し、ZigBee規格で定められたエネルギー管理の無線通信プロファイル仕様「Smart Energy」によるHAN(Home Area Network)で各機器を接続。発電量や消費電力量をリアルタムに監視・制御することで“電力のみえる化”を実現していた。

 「電力不足が慢性的なオーストラリアやアメリカなどでは、スマートグリッドへの注目度も非常に高く、生活に密着したテクノロジーとしてZigBeeにも期待が寄せれらている。だが日本ではスマートグリッドへの関心はまだ低い。電力供給が安定している日本は危機感が少ないからだろう」(担当者)。

 ブースではそのほか、ZigBeeのRFリモコン向け規格「RF4CE」用の16bitマイコン「uPD78F8056/57/58」の展示も行っていた。「RF4CEでマイコンとRF無線チップを一体化したのはこの製品が当社初。評価キットはRF4CEの実行ファイルや無償コンパイラ/デバッガを同梱しているので、すぐにRF4CEリモコンの検証が行える。すでにテレビメーカーから多くの引き合いがきている」(担当者)。


ZigBeeのRFリモコン向け規格「RF4CE」用の16bitマイコン「uPD78F8058」とその評価キット

 こちらの速報(「LED照明とのセット販売も期待、電池レスの家庭用RFリモコン」)で紹介した「電池レスリモコン」も、実は前述のZigBee RF4CEマイコン(uPD78F8058)を使っていた。操作時などの振動で発電した微小電力で動作するこのリモコンは、省電力設計が欠かせない。今回の試作機では、通信にZigBeeモジュールを使って2.4GHz帯を利用しており、プロトコルのみ独自に開発しているという。


ZigBee RF4CEマイコンを使った「電池レスリモコン」

 「発電した電力は微小で不安定なものなので、電源制御回路でマイコンが使えるシステム電源に変換し、同社のRF内蔵低消費電力マイコンを使ってテレビに送信する。それでも得られる電力はわずかなので、限られた電力で送信するというところでZigBeeの技術が生かされている」(担当者)。

メタボ電力をZigBeeでカット――NEC

 NECのブースでは、ZigBeeを使った自動節電プラットフォーム「グリーンタップ」の展示デモが行われていた。

 グリーンタップは電気製品に電源を供給する「インテリジェントタップ」と各種センサを内蔵した「環境センサノード」で構成。インテリジェントタップはCPU/電力計/リレー/電源ソケット/ZigBee無線/無線LANが搭載され、CPUの指示によるリレー制御により、待機時消費電力をカットしている。


黄緑色の電源タップがインテリジェントタップで、手前の銀色の箱が環境センサーノード

 また、電源ソケットごとの電力計測情報と、環境センサノードから得た環境情報を組み合わせ、電気製品のオン/オフスイッチ制御、リモコン制御など省電力制御ルールを実行する。無線内蔵の小型環境センサは、照度/温度/湿度/加速度/風速/人感センサを手のひらに収まるほどの数センチ角の立方体に装備。さまざまな状態監視を行い、ZigBee無線を使ってインテリジェントタップへと環境情報を送信する。

 「不在なのにTVがつきっぱなし、十分部屋が明るいのに照明がついている、などの無駄な電力を当社で“メタボ電力”と名付け、これを発見・制御することで省エネを実現するソリューションの1つとしてグリーンタップを提案している。状態監視を細やかに行うことで、利用者の生活快適性を考慮・維持したままでの電力制御を行えるのが特徴。ZigBeeを採用することで環境センサの省電力化が図れ、ボタン型電池で半年以上駆動できるのでメンテナンスコストも下げられる」(担当者)。

ZigBeeで位置検出も――ディジ

 “ワイヤレスM2M”をテーマに各種ネットワーク組み込み製品を展開するディジ インターナショナルのブースでは、ZigBeeだけでなく無線LAN、セルラー、衛星通信など、ユーザーニーズに合わせたワイヤレスM2Mのソリューションを紹介していた。


iDigiを使ったエネルギーサービスプロバイダ向けソリューション「iDigi Energy」のデモ。ZigBeeを使ってライトの点灯を遠隔操作する。ゲートウェイが各種センサの情報をZigBeeモジュール「XBee」を利用して取得


通信時に電波強度を取得することができるXBeeの機能を活用し、ZigBeeをボードに実装したモジュール「RCM4510W」をAPにした位置検出のデモも紹介されていた。3つのRCM4510WモジュールとXBeeとの電波強度を円で表現(距離に換算)することで、3つの円が重なるところが現在検出しているXBeeの位置であると特定できる


小型サテライトモデム「Digi m10」も展示。携帯電話含めネットワークインフラが完全に届かない場所でのワイヤレスM2Mを実現する。「山のへき地や工事現場など、ネットワーク環境が整備されていない場所で活躍できる。海外では長距離トラックにセルラーとサテライトのシステムを搭載してもらい、携帯電話通信エリア内ではセルラーネットワーク、圏外ではサテライトに切り替えて、荷台の状態やクルマのバッテリ電圧状態、タイヤの空気圧などをモニタリング。安全な移送をサポートしている」(担当者)

  >>iPhoneからの電力メーター読み取りシステムを紹介!(次ページ)



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