薄膜化と高効率の両立に成功――三洋、厚さ98μm効率22.8%のHIT太陽電池

曲がる結晶系太陽電池

薄膜化と高効率の両立に成功
――三洋、厚さ98μm効率22.8%のHIT太陽電池

2009/9/18

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 三洋電機は2009年9月18日、HIT太陽電池の薄型化と高効率化を両立する技術(高電圧接合技術と光の閉じ込め効果改善)を開発。セル厚みを従来比約半分(98μm)としながら変換効率22.8%を達成したと発表した。

 三洋電機 研究開発本部 アドバンストエナジー研究所 ソーラーエネジー研究所 丸山 英治氏は、「低コストかつ高性能な太陽電池を開発するには、セルを薄型化しても性能(変換効率)を落とさないことが重要」とし、今回の成功は高効率化・薄膜化というトレードオフの関係にある2つの要求を同時に満たす画期的な技術であることを強調した。

産業技術研究所(AIST)で測定した技術シート
日本ではAISTで測ることが最も精度が高い評価法とされているという。開放電流(Vox、太陽電池が作り出す最大電流)は0.743V、短絡電流(Isc)は3.896A、曲線因子(FF)は79.1%。「注目すべきポイントは、電圧(0.743V)。結晶シリコン系でこの数値を出したのは世界初」と丸山氏
結晶系太陽電池とHIT太陽電池の比較
HIT太陽電池は独自の表裏対称構造を用いており、住宅用としては設置面積当たりの発電量世界一を誇る。(表裏対称構造であることから)両面での発電が可能で(両面ともに高い効率を維持できる)、セルの薄型化にも適している。夏場にも強く、温度上昇による出力低下が少ない

 太陽電池はセルを薄型化すれば単純に安くなる(省資源化)わけではなく、厚みが薄くなれば光吸収量が落ち(電流低下)、電圧も低下する(基板表面が薄くなることで適切な保護ができなくなる)。同社が今回発表した新技術はこれら2つの課題を同時に解決する。

三洋電機 研究開発本部 アドバンストエナジー研究所 ソーラーエネジー研究所 丸山 英治氏
同社では実用サイズにこだわった変換効率の向上を進めているという。今回は「歩留まり、カーフロス、薄膜化を総合的に見て、HIT太陽電池の低コスト化への道が開けた」と説明

 まずは高電圧接合と呼ばれる技術を開発。HIT太陽電池は発電層の単結晶シリコン基板表面にアモルファスシリコン層を積層することで、電気の素であるキャリア(電荷)が少しでも消滅しないような保護がされている。それにより高い開放電圧を得られることが特長だが、それには単結晶シリコンの表面にいかに低ダメージで、高品質なアモルファスシリコンを作るかが重要となる。同社では今回、デバイス設計時に電圧を重視する構造にすることで、セルが薄くなっても電圧が上昇(0.729から0.743Vに高電圧化)する条件を発見したという。

 次に、光の閉じ込め効果を改善するため、薄いセルで吸収する光を最大限に留めておけるよう、単結晶ウエハの表面(凹凸の部分)形状を最適化。さらに、吸収ロスの原因となるアモルファスシリコン層と透明導電膜(TCO)層での光吸収損失も低減したという。




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