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手を動かさないと認められない
2000年以降、組み込みLinuxが注目される状況下で、アックスよりも先行していたベンダが苦戦し、市場から脱落していった。それに対し、アックスが順調に実績を積み重ねてきたのは、製品に力があったからである。だが、それだけではない。
竹岡氏は次のように話す。「結局、OSベンダもユーザーのもの作りに最後までついていかないとダメだと思う。OSを渡して終わりではなく、機器がちゃんと動くところまでサポートする。ユーザーも外資系ベンダにそこまでは期待しないが、国内ベンダには期待する。『デバイスドライバをどう書けばよいのか教えてほしい』などの相談が来る。それに応えられるかどうか。われわれは泥臭く、ユーザーのエンジニアと一緒になって手を動かしている。それが評価されていると思う」。
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| 「われわれはユーザーのエンジニアと一緒になって手を動かしている」 |
組み込み機器はハードとソフトの擦り合わせで作られるが、国内機器メーカーの場合、最初の段階で仕様をきっちり固めるよりも、開発の最終段階まで擦り合わせを続けるケースが多い。評価ボードでOSの動作検証が済んでいても、ユーザーはほとんどの場合、評価ボードと違った仕様で製品を作る。コストを下げるため、デバイスを性能が低いものに差し替えたりもする。つまり、ハードとOS周りの擦り合わせは最後の最後まで繰り返される。アックスはこれに応えている。
従業員35名のアックスにとって、ユーザーのもの作りまでサポートすることは負担が重い。それでも「Linuxはオープンソースなのだからユーザー責任」と突き放さず、最後まで面倒を見る。「ユーザーのもの作りにまでかかわるのはシンドイが、日本人同士のあうんの呼吸で誰かがサポートしなければ。これまで組み込みLinuxがなかなか広がらなかったのは、そうした姿勢のベンダが少なかったからではないか」と竹岡氏は考えている。
国産CPUをLinuxの土俵に上げる
axLinuxはARM、MIPS、PowerPC、XScaleという標準的な海外製CPUだけでなく、 国産のCPUに積極的に標準対応している点が目立つ。富士通のFR-Vシリーズ、ルネサステクノロジのSHシリーズ、ARMベースのRISC CPUであるシャープのLHシリーズ、セイコーエプソンのS1シリーズ、三洋電機のLC690132Aなど。2005年4月からは東芝のマルチコアプロセッサ、MePへの対応も実現させている。市販の組み込みLinuxでも、ここまで幅広いCPUに標準対応している製品はまずないだろう。
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アックスが少ない社内リソースで幅広い国産半導体を積極的にサポートするのはなぜなのか。竹岡氏はこう語る。「Linuxという土壌になるべく多くの国産半導体を乗せることで、日本の機器メーカーの選択肢を増やすことが狙い。Windows、x86系(インテル)に縛られず、自由に部品を調達、品質とコストを自分たちがコントロールできる環境がなければ、日本のもの作りは優位性を保てない」。
竹岡氏の考えは次のようなものだ。長らく国内の組み込み機器を支えてきたITRONはそろそろ限界に達している。メモリ保護機能を持たないITRONを使った組み込み機器では、アプリケーション上の1つのバグがシステム全体に予知できない深刻な悪影響を及ぼすことがある。これが携帯電話などでよく起こる回収騒ぎの原因だ。機器メーカーは、ITRONによる大規模な組み込みソフト開発をあきらめ始めている。とはいえ、ソースコードが限定的にしか開示されないWindows CEでは、機器メーカーが自らソフト品質を上げる余地がほとんどない。海外勢と品質で勝負している日本の機器メーカーにとって、Windows CEはメインの選択肢となり得ないだろう。残る現実的な選択肢はLinux。そこで健全な競争を促す。
「組み込み業界では『既存資産がLinux移行への障害になっている』といっているが、資産といっても要はITRONプログラマのこと。Linuxの土俵が広がり、当面は食べていける環境が整ってくれば、プログラマもリスクなくLinuxを勉強できる。加えて、いまはわれわれが直接手掛けているOSのサポートを担える優秀な代理店やサードパーティも現れてくるだろう。業界の人には、われわれの考えに1票投じるつもりで応援してほしいといってきた。そして、思い切ってLinuxへ移行したら開発が楽になることが徐々に理解され始めている」。
LinuxでユビキタスOS、超並列計算機
組み込みLinuxの普及を目指すアックスは、次世代を見越したOSの開発も進めている。その1つが、情報処理推進機構(IPA)の「2003年度オープンソフトウェア活用基盤整備事業」で採択された「ユビキタスOSの開発」である。これは、Linuxをベースに消費電力を軽減し、ネットワークへの接続性を高めたユビキタス用途専用のOSを開発、オープンソースとして提供するというものである。従来のLinuxのAPIはそのままに、システム機能の呼び出しにCPU備え付けのトラップ機構を用いず、メモリの参照/書き換えのみでシステム機能を実現するのが大きな特徴だ。これで大幅な省電力化が図れ、応答速度も飛躍的に高まるのだ。すでにβ版の出荷は開始されており、ネットワークカメラなどに搭載され始めているという。「2010年ごろに本格立ち上げを目指し、気長に開発を進める」という。
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