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2008年11月20日に開催されたETロボコン2008モデルワークショップの後半は、「今年度はモデルの質全体が向上した一方で、情報量が肥大化した壁新聞のようなモデルが多く見られた」という渡辺 博之審査委員長の言葉から始まり、情報量の多いモデル(FAT派モデル)を推進する審査員、久保秋 真氏とその対極となるモデル(スリム派モデル)を推進する福田 和也氏を筆頭としたディベートが行われた。
FAT派モデルとスリム派モデル、ETロボコンの大会規定では、一概にどちらが良いと提示されているわけではないが、各審査員によってお好みのモデルがあるようだ。
審査員の方々の話を参考に、一緒に考えてみよう。
(左から順に) 久保秋 真 氏(アフレル) FAT派 平鍋 健二 氏(チェンジビジョン) FAT派/スリム派 福田 和也 氏(東横システム) スリム派 幸加木 哲治 氏(リコー) FAT派 鷲崎 弘宜 氏(早稲田大学/国立情報学研究所) FAT派/スリム派
(同じく左から) ETロボコン審査委員長 渡辺 博之 氏(エクスモーション) 監査役 太田 寛 氏(マイクロソフト) FAT派/スリム派 中嶋 栄次 氏(豆蔵) FAT派/スリム派 斎藤 司 氏(ニューウェーブシステム) スリム派 |
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| GALAPAGOS(個人)のモデル |
サヌック(明電システムテクノロジー)のモデル |
久保秋氏:それではまず、スリム派モデル代表のサヌックさんになぜスリム派のモデルにしたのかという経緯を伺ってみたいと思います。
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| 丸 雅光 氏 |
サヌック:スリムなモデルにしたきっかけは、東海地区大会のときに審査員の方から「企業の提出するモデルは情報量が多くて、確かに内容は濃いんだけども、読むと胸焼けがするんだよね」というコメントがあったからです。その後、どうしたら見る人にやさしいモデルが描けるかを考えました。
1つは、見ただけで相手に意図が伝わるような図を入れることでした。補足説明が文章でダラダラと書いてあるとそれを読まなくてはならないので、図で読み取れることは、文章では省きました。
次に、モデルの意図するポイントだけをコメントで記述しました。コメントを見て、目的がきちんと伝わったうえで、図を見ていただくことで、割とすっきりとしたモデルになりました。
最後に要求です。要求から分析、設計、実装、テストという流れで書いたのですが、それらがどうつながっているか、順を追ってたどれるように意図して描きました。
結果として見るとすっきりし過ぎてしまったので、逆に落ちちゃうかなという気もしたんですけども、もういいや、これにかけようと思って、提出させていただきました。
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久保秋氏:なるほど。では、サヌックさんがスリム派モデルにした経緯が分かりましたので、私の方からは、やはりモデルはFATじゃないと、という主張をしていきたいと思います。
今回は多くの方がFAT派モデルを提出されましたが、その中からなんだいやさんのモデルを取り上げて説明します。
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まず見ていただくと、FAT派のモデルというのは自分たちの成果物を詳細に記述しています。例えば価値分析がありますが、そこから機能要求、非機能要求を出して、それらを分析した結果をユースケース図などで細かく記述しています。よく分かりますし、情報もきちんとあります。
そして、ページごとに構成を分けて、それぞれのページで図とそれに対する細かいコメント、補足説明を載せています。さらに、使用したすべての要素に番号(ID)が振ってあり、その要素が反映されている部分、展開されている部分でそのIDを使用していますので、非常にトレイサビリティの高いモデルになっています。
最終ページには、関西大会のときのモデルの問題点を載せています(画像3を参照)。また、『点線走行技術』など、自分たちオリジナルの名前を付けて、それらがどういう技術かというのを共有できるようにしています。
すべてのページ共通で右側に黄色いスペースがあるのですが、そこに“良いモデルにするために気を付けること”“自分たちがしたこと”そしてほかの参加チームの方へのメッセージとして“自分たちのモデルで工夫したこと”を記述しています。
自分たちの要求から始まって、それをさらに良いモデルにするまでの状態がほとんど描き込まれています。こうしたモデルは情報が豊富で、バランスが取れています。それがFATモデルの良い部分ですね。
渡辺氏:それでは、スリム派の福田さんにも主張してもらいましょう。
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福田氏:サヌックさんのモデルを基に説明します。先ほどご本人から説明があったように、スリム派のモデルというのは最初からすっきりとしたモデルを目指しているわけではありません。自分たちでいろいろ検討をして、そこから本当に必要なもので、自分たちの考えが伝わるであろう部分だけ残しています。
また、見せ方も、サヌックさんのモデルのマインドマップは単純にツールを使っただけではなく、複数の図を組み合わせることによって、見やすさを追究しています。UML的な表記という面で外れてくるかもしれませんが、状態遷移図の中の細かい状態などを取り入れて、それぞれの難所の攻略方法と1つの状態の中のサブ状態にまで、攻略方法を説明しています。
そして、自分たちがここに注力したんだというのがひと目で分かるモデルになっています。PID制御の説明の部分では、実際にPIDの制御を行っていく中で必要とした比例積分、微分というのをきちんと図に表しているというのが素晴らしいと思います。
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| 画像4 サヌックのモデル | |
参加者の皆さんは共通の表記法としてUMLを使用していますので、UMLで表せることはやはり表した方がいいと思います。そして、それでも表現し切れないことを、補足説明として補う。そういう意味でも、シンプルにUMLで表せることを最大限生かしているという部分で、サヌックさんは素晴らしいと思います。
皆さんの描いたモデルは、あくまで設計資料ですし、後のメンテナンスなどを考えたうえでも、シンプルにしておくのは、いいことだと思います。
渡辺氏:それでは双方の質問を受け付けます。まずはスリム派の福田さんから、FAT派の久保秋さんへの質問です。
福田氏:なんだいやさんのモデル右側にある説明文が良いというお話がありましたが、そもそもこれはモデルの本質ではないですよね?
オリジナリティという面では、ほかの参加者の方に訴え掛けるという点で評価されるのかもしれませんが、モデルの良しあしを決める要素ではないと思うんですね。
久保秋氏:今回はモデリングのコンペでもありますから、ほかの参加者に対してのアピールというのも大事なので、こういうのは価値があると思います。
福田氏:しかし、基本はモデル、設計図で、本当に必要な部分だけ補足説明で補うべきだと思うのですが。ほかの審査員の方はどうですか?
幸加木氏:一応この場ではFAT派という立場を取らせてもらいますが、正直もう少し、本当に伝えたいことだけを整理してほしいというのはありますね。こういうふうに考えた、というのは非常に分かるんですけど、ただ頭の中を見せられた感じがします。
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平鍋氏:無駄に煩雑なモデルというのは、モデルで描かれていることと、コメントで書かれていることがかぶっています。ソースコードでも、例えばa=bという代入があって、コメントで、bをaに代入するって書かれると、非常に冗長ですよね。
しかし、何でそうしているのかが書かれていれば、それはかぶっていないと思います。なんだいやさんのモデルが良いと思うのは、FATであるんだけれども、その情報にかぶりが見えなくて、むしろ、過去のナレッジをほかの人にも伝わるように、チーム内からチーム外へ伝えるという試みをやっている。そういう意味では、FATと分類されるかどうか、ちょっと分からないですね。
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