開催直前! ESEC2009速報

開催直前! ESEC2009速報

2009年最新製品・技術が集結 − ウインドリバー

八木沢 篤 @IT MONOist編集部 2009/5/1

2009年5月13〜15日の3日間、東京ビッグサイトで「第12回 組込みシステム開発技術展(以下、ESEC)」が開催される。本稿では展示会開催に先駆け、スマートデバイス搭載ソフトウェアの最適化(DSO:Device Software Optimization)を前面に打ち出し、組み込みソフトウェア開発プラットフォームを提供するウインドリバーにESECの見どころを伺った。(編集部)

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――「VxWorks 6.7」の発表、組み込み向けGUIソフトウェアツールベンダであるTilcon Softwareの買収、「Wind River Linux 3.0」の発表など、今年(2009年)に入ってからウインドリバーは新製品のリリースや製品ラインアップの強化を積極的に行っている。

 今回、発表されたばかりの「VxWorks 6.7」と「Wind River Linux 3.0」の新機能の概要を中心に、ESECの展示・デモンストレーションの見どころについて、ウインドリバー 営業技術本部 第二営業技術部 部長 大石 茂幸氏にお話を伺った。

「VxWorks 6.7」の新機能に注目!

 バージョン6.6でSMP(Symmetric Multiple Processor)構成の対応を行ったVxWorks。新しく発表されたバージョン6.7では新たにAMP(Asymmetric Multiple Processor)構成にも対応するという。これにより、SMP・AMPいずれか最適なマルチコア設計の選択が可能となり、ユーザーは消費電力を抑えながらもパフォーマンスを追求するような次世代の組み込みデバイスを開発できるようになるとのこと。さらに、対応済みのSMPに関しても各タスクのレディーキューを1つのキューで管理する方式に変更したことで、SMPスケジューリング時の負荷を軽減させる改善を行ったという。「ESECの会場では、実際にシミュレータでマルチコアの動きが確認できる環境を用意。“ただマルチコアで動いている”というだけのデモンストレーションではなく、可視化ツールを用いたデバッグについても紹介する予定だ」と大石氏。

 
  画像1 ウインドリバー
営業技術本部 第二営業技術部
部長 大石 茂幸氏

 また、バージョン6.7では全体のパフォーマンス/リアルタイム性能の改善が行われたそうだ。これまでは、あるCPUに特化したアセンブラで記述されていた部分をさまざまなCPUに対応するためにC言語に置き換えて“標準化する”という方針で開発が行われてきたが、ここにきて再度“性能重視”の考え方へと変わりつつあるという。

 その理由について大石氏は次のように語る。「一世代前のバージョン5.5と比べ、その後にリリースされたバージョンでは多くの機能が追加され、パフォーマンスが犠牲になってしまうという弊害が起きるケースもあった。今回のバージョン6.7では、性能重視の考えに立ち返り、各CPUの性能を引き出すためのチューニングを行い、5.5と同等以上のパフォーマンスを追求した」(大石氏)。

 そのほか、「VxWorks Source Build」によるソースコードの提供、ネットワーク機能の強化などがバージョン6.7で行われている。「VxWorks 6.7で、どのようなパッケージが新たに追加されたのか、実際のコンフィギュレーション画面を見ながら各機能について紹介することも可能。来場者の要望に合わせた説明を柔軟に行えるよう準備している」(大石氏)。

関連リンク:
ウインドリバー、マルチコア対応のリアルタイムOS、VxWorks最新版を発表(プレスリリース)
http://www.windriver.com/japan/news/press/20090209_vx67.html

パッケージ構成を一新した「Wind River Linux 3.0」

 新たにリリースされたWind River Linux 3.0で大きく変更された点といえば、製品のパッケージ構成だ。Wind River Linux 2.0では、ネットワーク向けパッケージ「Platform for Network Equipment(PNE)」、コンシューマ向けパッケージ「Platform for Consumer Devices(PCD)」、一般向けパッケージ「General Purpose Platform(GPP)」の3つのモデルで展開されていたが、Wind River Linux 3.0では、これらを1つのパッケージに統一した。「ユーザーごとに使う機能、使わない機能を自由に選別することが可能になった。また、これまで別パッケージであったために、使いたくても使えなかった機能を自由に使うことができる」と大石氏。

画像2 パッケージモデルの変更

 また、Wind River Linux 3.0では、通信機器やコンシューマ機器、産業機器、モバイル機器などの各分野に応じたプロファイルセット(現在、計6種類)を用意し、各分野に適したカーネルの構築をサポートするという。Kernelアップデートとしては、Linux Kernel 2.6.21から2.6.27へのアップデート、MIPSアーキテクチャのサポート、Real Time機能の強化、仮想化機能の導入などがなされているという。

 ここで紹介したもの以外にもパッケージ・アップデートとして、マルチメディア機能の強化(GStreamerの対応)やネットワーク機能の拡張(Bluetooh、WiFiの対応)などもなされている。

関連リンク:
ウインドリバー、最新の商用Linux「Wind River Linux 3.0」を発表(プレスリリース)
http://www.windriver.com/japan/news/press/20090324_linux30.html

デバッグを効率化する「ダイナミック printf()」

 組み込みOS以外の取り組みの中で注目したいのは、統合開発環境「Wind River Workbench」の最新バージョン3.1で新たに追加された「ダイナミック printf()」だ。

 従来のprintf()によるデバッグのように、システムの停止やリブートを必要とせずに、動作中のシステムに動的にprintf()を挿入できる機能。しかも、ソースコードの該当個所をマウスで右クリックし、ショートカットメニューから[Add Dynamic 'printf'...]をクリックするだけでprintf()が挿入されるという。

 「従来はプログラムの中にprintf()を1行追加するだけで、再コンパイルして、リブートして、埋め込んだ行に到達するのを待って、ようやく値の確認ができる……というように、かなり手間が掛かっていたが、ダイナミック printf()であればそのようなムダがなくなり、開発者のデバッグ作業による負荷が軽減できる」(大石氏)。

画像3 ダイナミック printf()

事前登録者“限定”の最新技術デモンストレーション

 今年のESECでは、ウインドリバーに興味を持っている方、深く理解している(したい)方を対象にした仕掛けも用意しているという。

 「今回は、新しい試みとして“事前登録”をした来場者限定で、現在開発中の仮想化技術に関する最新のデモンストレーションや、“認証”についてのミニ・プレゼンテーションを行う予定だ」と大石氏。

 2009年中の正式アナウンスが予定されている「Wind River Hypervisor(仮)」について、同社はすでにワールドワイドで10社ほどの企業にベータ版を配布し、動作検証を行っているが、正式リリース前に一般公開するのはこれがはじめてだという。また、産業、医療や航空宇宙/防衛などの分野で求められる「IEC 61508」や「DO-178B」などの国際規格に対する“認証”について、同社が培ってきたノウハウや設計のポイントなどが披露されるそうだ。日本国内において、こうしたノウハウを持った企業は数少ない。特に認証については、海外輸出を視野に入れた、もしくは実際に行っている製品を設計・開発しているエンジニアにとって貴重な情報収集の場になるだろう。

関連リンク:
ウインドリバー 第12回 組込みシステム開発技術展(ESEC)
http://www.windriver.com/japan/seminars/esec2009/

 今年のウインドリバー・ブース[東40-50]を一言で表すなら「新しいもの尽くし」だろう。展示・デモンストレーションが行われる製品のほとんどが2009年に入ってからリリースされたものばかりで、(事前登録制ではあるが)仮想化技術などの最先端の取り組みを見聞きするチャンスもある。ウインドリバー製品のユーザーだけでなく、同社の取り組みに興味のある方は、ウインドリバー・ブースに足を運んでみてはいかがだろうか。

展示会 第12回 組込みシステム開発技術展(ESEC2009)
開催日 2009年5月13日(水)から15日(金)
会場 東京ビッグサイト
ブース番号 東40-50


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