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本連載について
皆さん、初めまして。日本技術貿易の野崎です。
本連載「自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識」では、知的財産(略して知財・チザイ)をどのように事業に利用・活用していけばいいのか? という観点から計6回にわたって分かりやすく紹介していきます。図1に本連載の流れについて示しました。
前半の3回が知財マネジメントスキルの総論です。今回の第1回では身の回りで起こり得る事件を基に知財リスクについて紹介し、知的財産の重要性を認識していただきたいと思います。第2〜3回は事業戦略に知的財産戦略を組み込んだ、いわゆる「知財経営」について解説します。知的財産の創造・保護・活用という「知的創造サイクル」注1を事業戦略にどのように組み込んでいくのか、また知財経営の現状についてアンケート結果や事例を交えて解説します。
後半の3回は、知財マネジメントを推進するうえで基盤となるスキルであると同時に、私の専門領域である情報検索・分析スキルについて紹介していきます。3回という限られた連載ではありますが、特許庁が無料で開放している特許電子図書館注2を使った特許・意匠・商標検索方法やR&D戦略立案に役立つパテントマップ(特許マップともいいます)について説明していきます。
図1 本連載の流れについて
本連載を通じて「よし、うちの会社でも知的財産をうまく活用して事業を強化・活性化しよう!」と感じていただければ幸いです。
それでは、早速スタートしましょう!
本連載では、内容を分かりやすくするため法律的に厳密ではないところがあるかもしれませんがご了承ください
知的財産・知的財産権とは?
本連載を始めるに当たって、そもそも知的財産とは何なのか? について確認しておきましょう。2002年に制定された知的財産基本法によれば、知的財産および知的財産権の定義は以下のようになります。
知的財産基本法 第二条より
「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報
「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利
知的財産が法律的に保護されたものが知的財産“権”となります。
知的財産権の種類について図2にまとめました。知的財産権は発明や文芸・芸術など知的創造物を保護する権利(例:青色発光ダイオードは特許権で保護されています、またディズニーのミッキーマウスは著作権で保護されています)と、製品・サービスを提供するうえで重要な信用維持を保護するための権利(例:クロネコヤマトの宅急便のロゴは商標権です)に大別されます。この中で特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つをまとめて産業財産権と呼びます注3。
本連載の主役は特許権になりますが、折に触れてその他の知的財産権についても触れていきます(トッキョというと思い出すのは、東京特許許可局という早口言葉です。残念ながら東京特許許可局という役所は存在しませんが……)。
図2 知的財産権の種類(特許庁ウェブサイトを基に著者作成)
- 日本国特許庁・知的財産権について:http://www.jpo.go.jp/seido/s_gaiyou/chizai02.htm
- 日本国特許庁・産業財産権について:http://www.jpo.go.jp/seido/s_gaiyou/chizai01.htm
- 日本国特許庁・平成21年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト:http://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h21_syosinsya.htm
身近に潜む知財リスク
「知的財産は重要だ!」と主張してもなかなか理解していただけません。重要性を説くよりは危険性を説いた方が、よりリアリティがわくと思います。知的財産を軽視するとこんな経営リスクに直面することになりますよ、という事例をこれから3つ紹介します。
事例では年商20億円・社員数100名のロボットアーム工業株式会社という仮の中小企業に登場してもらいます。ロボットアーム工業の主力商品は産業用ロボットアームUDEで、売上の50%超を占めています。
ロボットアーム工業株式会社の
中堅技術者である
これからこのロボットアーム工業株式会社の路保社長、地西さんに3つの知的財産面でのリスクが訪れます。いずれも対処方法を間違えれば、会社の存続すら危うくなってしまいます。
「うちは大丈夫、大丈夫!」と思っている企業ほど、いざリスクに対峙(たいじ)したときに迅速な対応が取れずに傷口が深くなってしまいます。対岸の火事と思わずに読んでください。
次ページ> > 事例1:聞いたことのない企業から警告状が……
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