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グローバルな開発環境への対応
ものづくり企業がPLMを導入する動機の1つは、開発環境のグローバル化への対応だ。人件費の低減を狙って製造部門を中国などへ海外展開するのはいまや当たり前で、最近では消費地のニーズを取り込むために、従来は消極的だった設計開発さえも海外拠点に移転させることが増えている。
そうした分散開発環境でチーム設計プロジェクトを効率よく回すために、PLMのコミュニケーション機能が有効になってくるわけだ。そして大手PLMベンダの製品には必ず、グローバルな開発環境への対応機能は盛り込まれている。ところが現実には、Webブラウザを使ったコミュニケーション機能がカタログスペックどおりの性能を発揮できないケースもあるという。
高性能なハードウェアやネットワーク環境を築ければ問題ない。しかし、さまざまな制約によって貧弱なネットワーク回線しか確保できないこともあるだろう。Teamcenterはそういうケースでも海外拠点との連携をスムーズに行えるアーキテクチャを備えている。具体的には、キャッシュを用いたファイル転送技術や同期化の技術である。これらの技術により3次元CADで作成された非常に重いデータをリアルタイムで連携させるのが難しいネットワーク環境でも、作業者は快適な操作感を得ながら日々更新される設計変更のデータを、拠点間において整合性を失うことなく利用できる。グローバル開発を行っている大手自動車メーカーでは本機能を用い日々1万個ものファイルを共有しているという。
未曾有の経済危機に対応するには
これまで製造業の海外展開は、コスト削減や人手不足の解消、円高などに背中を押されて進められてきた。そこに大きな苦労はあったろうが、計画的なリソースの再配置というソフトランディング的な面は強かったろう。しかし、2008年秋に始まった米国発の世界的経済不振では、急激な需要減少に伴って待ったなしの工場閉鎖、生産拠点の統廃合が起こっている。このようなハードランディング的な生産の組み替えは、PLMの導入メリットを考える良い機会になるのではないだろうか。
PLMのメリットはしばしば設計データの一元管理による手戻り解消、設計データの再利用促進、海外やサプライヤとの連携などが語られる。しかし、生産ラインの統廃合という劇的な環境変化に対応する堅牢なものづくり支援ITシステムを目指すなら、これからは生産準備や生産ラインの設計といったリアルな工場の情報もIT化する必要が出てくるだろう。工場のレイアウト情報などを書類や個人のPCにファイルとして保存している環境では、新しい工場ラインを再構築するために必要なデータを収集するだけでも大変な時間を消費してしまう。こういった情報をITデータとして持っていれば大幅なコスト削減を期待できる。
現在は生産規模の縮小に各企業は躍起になっている。しかし景気はいずれ回復し、近い将来必ず増産のために生産拠点の拡大や再設計が必要になるのは必至だ。デジタル・マニュファクチャリングは生産工程の設計におけるコスト削減だけに注目するのではなく、変化に強いものづくりITシステムという観点からも検討に値するだろう。
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本稿では駆け足でTeamcenterの特徴を紹介してきた。もともと製造業の社内IT部門として生まれ、そしていままた製造業であるシーメンスの一部門に組み込まれたTeamcenterは、リアルなものづくりとの親和性を前面に押し出す製品としてライバル製品とはひと味違うユニークさがある。2009年中にはバージョンアップも予定されているらしいので、そこでどのような新機能が盛り込まれてくるか注目していきたい。(次回に続く)
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