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» 2007年08月01日 12時00分 UPDATE

デキるエンジニアのCAD設計(1):機械設計って、どんなことをするの? (3/3)

[山田 学,ラブノーツ/六自由度技術士事務所]
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DRで「悪魔のサイクル」を絶つべし

 開発ステップの移行前ごとに、DR(デザインレビュー:設計審査)※があり、関連部門のスペシャリストが皆さんの設計した内容を審査します。このデザインレビューの結果によって、次ステップに移行してもいいか判断が下されるのです。

 しかし、デザインレビューで、関連部門からダメ出しを受けてしまっては、夜遅くまで残業して一生懸命設計した時間が無駄になり、さらに短期間で修正設計するという「悪魔のサイクル」に陥ってしまいます。

キーワード:DR(設計審査)
DRとは、「アイテムの設計段階で、性能・機能・信頼性などを価格,納期などを考慮しながら設計について審査し改善を図ること。 審査には設計・製造・検査・運用などの各分野の専門家が参加する。」とJISで規定されています。要約するとデザインレビューは、次のように理解することができます。


1)開発する製品の要求仕様(仕様・品質・コスト・納期・安全性・環境など)を、有識者によって客観的に評価、審議する。
2)開発の早い段階で問題を明確にし、対策を提案し、関連部門の協力の下、手戻りやトラブルを未然に防止する。


つまりデザインレビューは「品質活動保証の一部」といえるのです。

 その悪魔のサイクルを絶つためには、品質保証体系図の中の技術部門が担当する設計完成度レベルを上げなければいけません。設計完成度レベルを向上させるためには、次に示す設計基本要素に留意して設計していなければいけません。

  • S(spec):要求される製品仕様(機能・操作性・保守性)
  • Q(Quality):要求される品質特性
  • C(Cost):要求されるコスト
  • D(Delivery):要求される納期
  • S(Safety):要求される安全性
  • E(Environment):要求される環境性・廃棄性

 あの日、上司から「製品仕様でも読んで……」といわれたはずです。そのときはあまり重要視していなかったかもしれませんが、設計を行うに当たって製品仕様は基本中の基本です。つまり、「こんな機能が必要だろう」など自分勝手に判断して設計してはいけないのです。

 また、安全性や環境性の基準についても、日ごろからどうあるべきか規格や世間情勢を調べて理解しておく必要もあるのです。

 ある程度設計が進んだ後で、これらの設計基本要素に準じているかを確認しても、もう手遅れです。暗中模索で設計をしていては、このような考えになりがちです。設計作業の先に何が待ち構えているかを知るだけでも、設計基本要素の検討がしやすくなります。

 この設計基本要素の検討を製品に効率よく盛り込むことができるのが、構想設計です。構想設計こそが、製品の素性(良い製品・悪い製品)を決める遺伝子(設計図)です。

 次回は、開発設計の中で製品の遺伝子を決定してしまう構想設計について解説します(次回に続く)。

Profile

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山田 学(やまだ まなぶ)

1963年生まれ。ラブノーツ代表取締役、技術士(機械部門)。カヤバ工業(現、KYB)自動車技術研究所で電動パワーステアリングの研究開発、グローリー工業(現、グローリー)設計部で銀行向け紙幣処理機の設計などに従事。兵庫県技能検定委員として技能検定(機械プラント製図)の検定試験運営、指導、採点にも携わる。2006年4月、技術者教育専門の六自由度技術士事務所を設立。2007年1月、ラブノーツを設立し、会社法人(株式会社)として技術者教育を行っている。著書に『図面って、どない描くねん!』『読んで調べる 設計製図リストブック』(共に日刊工業新聞社刊)など。


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