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» 2008年01月16日 00時00分 UPDATE

ココが変わったWindows Embedded CE 6.0 R2(1):Windows Embedded CE 6.0 R2の強化ポイントとは? (1/2)

Windows Embedded CE 6.0 R2の新機能と旧バージョンからの変更点に着目し、その概要と魅力について紹介します

[宮島剛/監修:杉本拓也(富士通ソフトウェアテクノロジーズ),@IT MONOist]

 2007年11月14日にマイクロソフトから組み込み向けオペレーティングシステム(以下、OS)である「Windows Embedded CE 6.0 R2」が発表されました。

 Windows Embedded CE 6.0 R2は、旧バージョンであるWindows Embedded CE 6.0を強化したもので、多くの新機能を提供しています。今回は、Windows Embedded CE 6.0 R2の開発環境や旧バージョンから変更のなかった点、変更された点について解説し、全体像をつかんでいただくことを目的としています。

Windows Embedded CE 6.0 R2の開発環境

 はじめに、Windows Embedded CE 6.0 R2の開発環境の概要について説明します。

 Windows Embedded CE 6.0 R2の開発環境は、これまでどおりVisual Studio 2005で行われますが、Windows Embedded CE 6.0 R2はアップデートモジュールとして提供されているため、開発環境を以下のように構築する必要があります(図1)。

 また、開発環境となるPCのOSがWindows Vistaの場合には、以下も必要となります。 

 上記の環境を整えたら、最後にWindows Embedded CE 6.0 R2を入手し、インストールします。

Windows Embedded CE 6.0 R2の開発環境 図1 Windows Embedded CE 6.0 R2の開発環境

メモ:Windows Embedded CE 6.0評価版の入手先

下記URLよりWindows Embedded CE 6.0評価版の入手が可能です。

http://www.microsoft.com/japan/windows/embedded/downloads/default.mspx



Windows Embedded CE 6.0から変更のなかった点

 「それでは、Windows Embedded CE 6.0 R2の新機能を紹介します!」といきたいところですが、その前に旧バージョンである「Windows Embedded CE 6.0」から“変更のなかった点”について説明します。

開発環境

 図1からもお分かりのとおり、開発環境は「Visual Studio 2005」と「Platform Builder」からなり、旧バージョンからの変更はありません。また、Platform Builderに含まれるツールセットやデバッガは「Platform Builder ServicePack 1」で、こちらも旧バージョンからの変更はありません。

カーネル

 Windows Embedded CE 6.0の登場の際に大きな変更があったカーネルですが、Windows Embedded CE 6.0 R2へのバージョンアップによる変更はありません。Windows Embedded CE 6.0カーネルの概念について詳しく知りたい方は「Windows CE 6で刷新されたアーキテクチャ」を参照してください。

Windows Embedded CE 6.0 R2の起動画面 画面1 Windows Embedded CE 6.0 R2の起動画面

QFE

 Windows Embedded CE 6.0 R2では、これまで配布されたQFE(Quick Fix Engineering)(注)を含んでいません。そのため、Windows Embedded CE 6.0 R2をクリーンインストールした状態だと、QFEの適用状況を調査するツール「CEUpdateCheck」において多くの未適用QFEが表示されます(画面2)。クリーンインストール後は、QFEを入手して、ダウンロードする必要があります。

※注:ソフトウェアの問題を修正するために作成される応急的な修正プログラムのこと。


クリーン環境でWindows Embedded CE 6.0 R2インストール後のCEUpdateCheckの画面 画面2 クリーン環境でWindows Embedded CE 6.0 R2インストール後のCEUpdateCheckの画面

Windows Embedded CE 6.0からの変更点

 次に、旧バージョンである「Windows Embedded CE 6.0」から新たに“変更された点”について紹介します。

コアOSの変更点

 前述したように、Windows Embedded CE 6.0 R2では、コアOSとしてカーネル機能の変更はありませんが、いくつかの新機能と追加されたBSP(Board Support Package)(注)があります。

※注:BSPとは、対象ボード上でOSを実行させるために必要なソフトウェアのこと。


Serial ATA Disk Driver

 CEPC(x86)(注)向けの機能となりますが、Serial ATA Disk Driverが提供されました。これにより、CEPC上でWindows Embedded CE 6.0を利用する際に高速なハードディスクアクセスを必要としたデバイスやParallel ATAのインターフェイスを搭載していないもの(最近のCEPCのマザーボードなど)において、Serial ATA Disk Driverを利用できるようになりました。

※注:CEPCとは、x86ベースのPCでWindows Embedded CEを動作させるために標準でサポートされているBSPのこと。


Pluggable Font

 Windows Embedded CEは、これまでOSが提供するフォントエンジンを利用して描画や印刷を行ってきました。しかし、Windows Embedded CE 6.0 R2からは、このフォントエンジンを外部のエンジンに入れ替えることが可能となりました。これにより、さまざまなフォント形式や言語に対応することが可能となり、テキスト表示の枠を広げることができるようになりました。Windows Embedded CE 6.0 R2と同時に発表されたフォントエンジンとしてMonotype Imagingの「iType」があります。

関連リンク:
Monotype ImagingのiType

スマートカードリーダー

 USB CCID(Chip/Smart Card Interface Devices)に準拠したスマートカードリーダーのドライバが提供されました。これにより、シンクライアントデバイスなどの認証時にスマートカードを利用できます。

ブートローダ

 これまでのブートローダはFAT16からのブートをサポートしていましたが、FAT32/ExFatからのブートもサポートするようになりました。

Flash Driver

 Windows Embedded CEでデバイスを開発する場合に、非常に多くの工数を必要とするフラッシュメディアへのアクセスですが、FAL(Flash Abstraction Layer)/FMD(Flash Media Driver)からWindows Embedded CEで利用するドライバの基本概念ともいえるMDD(Model Device Driver)/PDD(Physical Device Driver)のアーキテクチャに変更されました。

新しいBSP

 Windows Embedded CE 6.0 R2では、新たに以下のBSPが提供されました。

HP Compaq t5530 x86ベースのシンクライアント向けのBSP
STMicroelectronics STi7109 SH4ベースのビデオストリーミングとSATAのドライバ
Marvell PXA270 ARMベースのVoIPリファレンスデザイン
Windows Embedded CE 6.0 R2で新たに追加されたBSP

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