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» 2008年06月20日 00時00分 UPDATE

開催直前! DMS2008速報:“設計レスで個別受注”が日立の目指す中堅向けERP

2008年6月25〜27日の3日間、東京ビッグサイトで「第19回 設計・製造ソリューション展(以下、DMS展)」が開催される。2008年の日立グループは、「お客さまと培った、100年のモノづくり」をテーマに、グループ各社から多数の出展を予定している。本稿では「個別受注生産ソリューション」を事前取材した。

[上島康夫,@IT MONOist]

 日立製作所は2010年に創業100周年を迎える。今回のDMS展では、長年にわたって同社が蓄積してきた製造現場のノウハウを紹介すべく、「SCM・ERP・生産管理システムゾーン」に絞ってグループ企業10社のソリューションを展示する予定だ。

 その中でも今回注目したのは、同社の中堅製造業向けERPパッケージ製品「GEMPLANET/WEBSKY」(ジェムプラネット/ウェブスカイ)および「BOMMANAGER」(ボムマネージャ)による「個別受注生産ソリューション」だ。2008年1月に新バージョンとなった本製品は、“工場を混乱させる主たる要因”の1つである個別受注品をどうやってさばいてみせるのか。

個別受注に対応する国産ERPパッケージ

 工場の生産管理者にとって悩みの種の1つに、営業が取ってくる個別受注品がある。「お客さまのご要望には何でもお応えします」といって受注している以上、新規の設計業務が発生するのは避けられない。当然、設計に続いて試作や検証といった多くの工程が加わり、コスト増や開発期間の長期化などで収益性悪化に結び付く。一方で、現在の製造業を取り巻く環境は、国際化の進展などにより短納期・低価格の圧力は強まるばかりである。また、顧客ニーズの多様化で多品種少量生産も当たり前となりつつあり、製造業各社は個別受注を避けては生き残れない。

日立製作所 産業・流通システム事業部 エンタープライズパッケージ ソリューション本部 担当本部長 渡辺 昌弘氏 日立製作所 産業・流通システム事業部 エンタープライズパッケージ ソリューション本部 担当本部長 渡辺 昌弘氏

 このような状況に対して、GEMPLANETの製品開発を担当する日立製作所 産業・流通システム事業部 渡辺 昌弘氏は「個別受注品に対しても、設計レスあるいは極力新規設計を抑えて対応できるソリューションを構築しました。2008年1月にリリースし、すでに一部のお客さまで導入を進めていますが、一般のお客さまへ大々的にご紹介するのは今回のDMS展が初めてになります」と語った。

 GEMPLANETが国産ERPパッケージとしてリリースされたのは1997年。主に電子電機系の精密機器や自動車などの複雑な組み立て工程を必要とする加工業向けのERPとしてデビューし、2003年にはWeb対応機能を拡張してGEMPLANET/WEBSKYとなる。ここで対応業種を拡大するために、自動車や電気精密のほかにも食品、医薬など業種テンプレート・モデルを順次導入していった。

 「できるだけ個別のカスタマイズをせずに、導入期間を短縮できないかと思って業種テンプレート型の仕組みに切り替えていきました。ところがテンプレートを用意した業種であっても、お客さまの生産形態は量産型、受注生産型、個別受注生産型とそれぞれ違います。業種テンプレート・モデルは量産型および受注生産型にはうまく対応できるのですが、個別受注型には改良の余地がありました。そこで今回、個別受注型生産にも対応するシステムを完成させたのです」(渡辺氏)。

仮想統合BOMの導入による情報共有

 それを可能にするポイントは「仮想統合BOM」と名付けられたコンセプトだ。ご存じのようにBOM(Bill of Materials:部品表)には、営業が受注活動に利用する「受注BOM」、設計エンジニアが作成するCADデータなどと連動する「設計BOM」、そして実際に工場で製造するために必要な「生産BOM」がある。一般の製造企業ではそれぞれのBOMが個別のデータベースで管理されていることが多い。各BOMデータの連携ができていないと、過去に設計した部品を再利用できた案件でも、新規受注品として一から設計してしまうといったムダな業務が生じる。仮想統合BOMでは、3つのBOM情報を円滑に連携させる仕組みを作り、それをMRPに流せるようにしたという(図1)。

図1 GEMPLANET/WEBSKYの「個別受注生産ソリューション」のシステム図 図1 GEMPLANET/WEBSKYの「個別受注生産ソリューション」のシステム図
高速MRPと仮想統合BOMを融合し、量産品に匹敵する効率化、リードタイム短縮を目指す
日立製作所 産業・流通システム事業部 部長代理 中塚 啓元氏 日立製作所 産業・流通システム事業部 部長代理 中塚 啓元氏

 「お客さまにはカスタマイズ品として提供するけれど、社内では既存の設計データや中間部品などを組み合わせているだけ、つまり設計レスで個別受注を可能にすることを目指しています」と渡辺氏は語る。また、今回は3つのBOMを1つのGUI画面からメンテナンスできる統合部品表管理システムのBOMMANAGERも紹介される。

 本ソリューションのターゲットとなるユーザー層について、営業担当の産業・流通システム事業部 中塚 啓元氏は、「産業機器や工作機械、建設機械など、単品の個別生産品を手掛けている製造業の方にぜひとも見ていただきたい」と語った。日立ブースでは実機を使って、製品コンセプトや業務の流れ方などを説明するという。導入に要する期間について中塚氏は、「単にシステムを稼働させるだけなら半年程度、実際には既存のBOMデータが蓄積され効果が表れてくるのに1年程度は見てほしい」という。

 従来BOMデータの整備については、専門のコンサルティング企業に依頼して企業ごとにカイゼンを行うことが多かった。GEMPLANET/WEBSKYはそうした業務改善手法をERPパッケージに内包させることでテンプレート化したと考えてもいいだろう。もちろん、ソフトウェアを導入するだけで、自動的にBOM整備が完了するわけではないが、ツールに用意されているテンプレートを利用できるのは、中堅企業にとってコストメリットを見いだせるかもしれない。

展示会名 第19回 製造・設計ソリューション展(DMS)
開催日 2008年6月25日(水)から27日(金)
会場 東京ビッグサイト
ブース番号 東3ホール、小間番号5-18

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