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» 2008年12月11日 11時00分 UPDATE

製図を極める! 幾何公差徹底攻略(1):幾何公差の大基本は寸法基準の見極めだ (2/2)

[山田学 ラブノーツ/六自由度技術士事務所,@IT MONOist]
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基準となる面や線とは

 JISの一般原則(寸法記入方法)に『寸法は必要に応じて基準とする点、線または面を基にして記入する』と示されています。図3の2次元組立図から基準となる部位を探してみましょう。

 基準を探す際に、一般的に次の2点でアプローチします。

図3 図3 ブロック周辺の2次元組立図
  1. その部品は、どのように拘束、つまりどこに押し付けられて固定されるのか? その部品がどう拘束されているのかが分かれば、その拘束部分が基準といえます。
  2. その部品は、何をするために存在するのか? 意味なく部品が取り付けられているわけではありません。何か機能を果たすために存在します。また機能を果たすための面や線があり、そこが基準となります。

ブロックをベース板に取り付ける基準

 このブロックをベースに取り付ける手順を考えます(図4)。

図4a図4b 図4 ブロックを取り付けるための基準
  1. A面をベースに押し当てます。
  2. B面をダボに押し当て位置を決めます。
  3. 上記では、図面奥行き方向の位置決めができていないため、Cのネジでブロックを完全拘束します。

ブロックが機能する基準

 このブロックはロータリーダンパーの一部を固定しています。固定する手順を以下のように考えます。

  1. ロータリーダンパーの一部をD面に押し当てます。
  2. ロータリーダンパーの一部をE面に押し当てます。
  3. 上記では、図面手前と奥方向の位置決めができていないため、Fのネジで当て板を介してブロックを完全拘束します。
図5a図5b 図5 ブロックが機能するための基準

 図4と図5から、このブロックの基準となる面や線が見つかりました。

 この基準となる面や線から寸法が引かれていきます。図4と図5からでは、基準とすべき面や線は少ないように感じますが、その基準面と基準線に関係する寸法線を赤く表示すると以下の図6のようになり、半分以上のウェイトを占めていることが分かります。

図6 図6 ブロックの寸法記入

 さらにブロックの寸法(寸法公差)や形状(幾何公差)のばらつきを小さくすることで精度を向上する場合は、必要に応じて赤く表示した寸法に、寸法公差を追加、さらには幾何公差を追加すればよいのです。

 寸法記入にはプライオリティ(優先度)があります。機能上重要な部分を優先し、必要に応じて寸法公差や幾何公差を指示します。しかし加工現場からのフィードバックとして、加工に合わせた寸法記入が必要な場合もあります。製品の品質・信頼性を保証するのは設計者の責任ですから、関連部門と協議のうえ、機能性、加工性、計測性のトレードオフ(一方を満足すれば、他方が不満足になること)を考慮して、寸法を記入してください。

 次回は、幾何公差を使用するにあたり最低限必要な知識として、旋盤加工・フライス加工、そして計測機器について解説します。(次回に続く)

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Profile

山田 学(やまだ まなぶ)

1963年生まれ。ラブノーツ代表取締役、技術士(機械部門)。カヤバ工業(現、KYB)自動車技術研究所で電動パワーステアリングの研究開発、グローリー工業(現、グローリー)設計部で銀行向け紙幣処理機の設計などに従事。兵庫県技能検定委員として技能検定(機械プラント製図)の検定試験運営、指導、採点にも携わる。2006年4月、技術者教育専門の六自由度技術士事務所を設立。2007年1月、ラブノーツを設立し、会社法人(株式会社)として技術者教育を行っている。著書に『図面って、どない描くねん!』『読んで調べる 設計製図リストブック』(共に日刊工業新聞社刊)など。



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