さまざまな設計データを簡単に一括管理&共有PTC、Windchill ProductPointを正式リリース

» 2009年01月15日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 米PTCは2009年1月14日(米国時間)、マサチューセッツ州ボストンのPTC本社で開催中の年次アナリストイベントにて、「Windchill ProductPoint 1.0」(以下、ProductPoint)の正式リリースを発表した。なお同製品は2008年12月30日に出荷を開始している(日本語版を含む)。

 ProductPointは、マイクロソフトの「Windows SharePoint Services」(以下、SharePoint)を基盤にし、WordやExcelなどMicrosoft Officeのファイル、PDFファイルなどの書類だけではなく、Pro/ENGINEERの3次元モデルのデータも取り込み、管理できるようにした。機能やインターフェイスはSharePointとほとんど同様だ。ITインフラやHTMLに関する深い知識がなくても、データ管理用ポータルサイトを構築することができ、複数ユーザーとのデータ共有やアクセス制限設定、オンラインのコミュニケーションが行える。また3次元CADを持っていないユーザーもProductPoint内のビューアを仲介することで3次元モデルが閲覧可能となる。

画像1 ProductPointのポータルサイトによるデータ管理(クリックで画像が拡大します)

 SharePointはWindows Server 2003以降に付属しているサービス。3次元CADでチーム設計を行うなら、まずサーバでのデータ保管・管理を行うので、Pro/ENGINEERのユーザーがSharePointを持っている可能性は高いということになる。「ProductPointはSharePointのライセンスを利用でき、PLMやPDMと比べて導入がはるかに短時間で済み、専任者が不要なので管理や使用も容易だ。これらによるTOC低減が期待できる」と米PTC EVP&CPO、ジェームス・ヘプルマン(James Heppelmann)氏は話した。またPLMに興味はあるが導入には躊躇(ちゅうちょ)していたユーザーにも使ってもらいたいという。

画像2 米PTC EVP&CPO ジェームス・ヘプルマン(James Heppelmann)氏

 ProductPoint内のポータルサイトには、グループを作ることができ、そのグループごとにアクセス制限の範囲を設定することが可能だ。例えばメーカーが作ったポータルサイトにそのサプライヤがアクセスをする場合なら、サプライヤサイドのユーザーがアクセスできるグループの制限を設けることができる。サプライヤには管理者から招待状を送り、ログインパスワードを連絡する。

 Pro/ENGINEERの3次元モデルのファイルをアセンブリの構成と一緒にProductPoint内のポータルサイトに取り込むことが可能だが、ポータルサイト内の窓にファイルのアイコンをドラッグすることで取り込むこともできる。ただし取り込まれたデータは、元のデータと完全にリンクしていない。例えばPro/ENGINEER内で3次元モデルが修正された場合、ポータル内の該当データは置き換える必要がある。ProductPoint内のファイルの更新状況の確認や管理ができるので、混乱は起こらないだろう。


画像3 3次元モデルデータ一覧のサムネイル表示(クリックで画像が拡大します)

 7000点を超える大型アセンブリのデータもProductPointへ取り込むことができる。「ただ、モデルのデータの全容量がギガ単位になるので、読み込みには数分程度かかる」とヘプルマン氏は説明した。取り込んだ3次元モデルのリストには3次元ビューアを利用したサムネイルが付く。3次元CADのデータは当面、Pro/ENGINEERのフォーマットのみだが、ソリッドワークスやオートデスクなど他社ベンダの3次元CADのフォーマットも取り込めるようにする予定だという。

 またブログやWiki、オンライン在籍確認などSharePointならではのソーシャルコンピューティング機能が使える。ポータルサイト上には、ログインしたメンバーがコメントを書き置きすることもできる。コメントの脇にはメンバーの顔写真を入れることも可能だ。

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