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» 2009年01月28日 00時00分 UPDATE

カーエレクトロニクス展、速報!:出光、全固体2次電池や有機ELをカーエレに出展

2009年1月28〜30日の3日間、東京ビッグサイトにてカーエレクトロニクス関連の技術を集めた総合展示会「国際カーエレクトロニクス技術展」が開催されている。本稿では、車載用電池として欠かせない耐熱性や不揮発性などの特性に優れた、全固体リチウムイオン二次電池(開発品)を始め、4分野の高機能材料を出展する出光興産の展示内容を紹介する。

[上口翔子,@IT MONOist]

 今年初開催ながらもアジア最大規模と、注目度の高い国際カーエレクトロニクス技術展。その電子材料ゾーンに出展した出光興産は、以前より発表していた有機EL材料「idel」、液状ゴム(水酸基末端ポリブタジエン)、エンジニアプラスチックのSPS樹脂「ザレック」・「出光PPS」の4製品に加え、開発中の全固体リチウムイオン2次電池(開発品)を新発表した。

 以下、出光興産の出展内容を紹介する。

100度の高温化でも良好な高温特性

 出光興産は、2002年よりリチウムイオン2次電池向け固体電解質の開発を大阪府立大学の辰巳砂教授と開始し、2004年に実用化レベルのイオン伝導性(4.0×10-3)を達成した。開発した固体電解質は、約400度付近まで構造が変化しない高安定性や、10Vの電位窓を有する安定性が特徴だ。

 固体の電解質は、液状の電解質に比べ“漏えいがない”“不揮発性に優れている”などの利点が挙げられるが、同社の電解質は、加えて“高温化での安定した放電性”が自信だという。過酷な温度条件でも安全に動く電池を実現するとして、電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電池への採用を目指している。

01.jpg02.jpg 左の画像1は。出光固体電解質とコイン型の全固体電池。LED点灯のデモンストレーションを実施。右の画像2は、全固体のラミネート電池。小型扇風機を回転させるデモンストレーションを実施。

 今後の開発スケジュールとしては、2009年にコイン型とラミネート型の試作電池の性能向上や改良を検討。2010年には実用レベルの全固体電池製造を開始し、性能評価、実用化検討を行っていくという。販売開始目標は2012年としている。

 「実用的な性能としては液体の電解質とほぼ同じ性能を示しています。また、液体の場合はプラスとマイナスを識別するセパレータという膜が必要ですが、固体の場合は、それ自体がセパレータの役割を果たしますので、コストダウンの効果もあると思います」(会場の説明員)

業界トップクラスを誇る有機EL材料

 有機ELの開発規模は年々拡大傾向にあり、テレビ、カーナビなど、従来の液晶に代わる次世代のフラットパネルディスプレイとして注目を集めている。同社では、そうした市場ニーズに対応するため、1986年より有機EL材料の製造に取り組んできた。

 また、有機ELは、形状が薄く、発光効率が高いことから、昨今、白熱灯に代わる照明としての注目度も高い。同社では、今後3〜4年以内の製品化を目指しているとのこと。

03.jpg04.jpg 画像3 有機EL素子 赤、緑、青、白の有機EL素子を展示。有機ELには、蛍光と燐光があり、燐光は蛍光に比べて3倍の効率がある。同社では、これまで蛍光のものを製造していたが、今回、燐光の開発に成功したという。

自動車電装部品の小型・軽量化に貢献

 ハイブリッドカーなどの高性能な自動車は、電装部品が多く、耐電圧性や耐加水分解性や耐トラッキング性が求められている。電圧が高いことで、クラックと呼ばれる割れを考慮したり、余裕を持った部品設計をしなくてはならなかった。

 出光興産のSPS樹脂、ザレック(自動車電装対応グレード)は、従来の樹脂に比べ、電圧特性や耐熱性に優れていることから、部品の小型化を実現する。また、融点が270度と高いことから、220〜230度のはんだ付けも問題なく行うことができ、部品がぐらついたり、基板の信号ロスなどの問題もないという。

熱対策・熱設計に対応

 出光PPS(熱伝導グレード)は、熱を逃がすことのできるプラスチック樹脂。これまで、熱効果の樹脂を中に入れ熱をかけながら成型し、その中に電池素子を入れていた時間のかかる作業を短縮し、かつ大量生産にも適している。再度溶かして使用できるため、環境にもやさしい。

07.jpg 画像5 出光PPS熱伝導グレードを使用したLEDウエッジベース 左下がウエッジベース。右上はLEDランプを取り付けた車のライト

 近年は、電子素子自体の出力が上昇しており、また熱を通しにくい樹脂であったために熱にって素子が焼ききれてしまうという欠点があった。その対策として、大型部品に関しては金属のもので対応していたが、小型部品では設計が複雑であることから、大量生産が難しかったという。樹脂であれば、型に流し込むことで大量生産が可能なので、現在はLEDの照明器具などでも採用している。

材料メーカーから見たカーエレクトロニクス展

 最後に、材料メーカーである出光興産がカーエレクトロニクスに出展した目的について伺ってみた。

 同社では、昨年10月末に開催された「FPD International」を封切りに、「IPF(国際プラスチックフェア」「国際カーエレクトロニクス展」「新機能性材料展」の4展示会で、特定の事業部ごとにすみ分けをせずにユーザーや供給分野の近しい製品を展示する“オール出光体制”にて製品セールス展開を行っているという。

 会場の取りまとめを行っていた出光興産 IR 広報室 広報課の田村 三月女氏は次のように語る。

 「今回の展示会(カーエレクトロニクス技術展)は車というジャンルに特化した技術展示会ですが、出光興産では、出展のもう1つの目的として“開発品の新テーマ発掘”を掲げています。例えば、電気特性に優れるSPS樹脂ザレックは、車載のECUやモーター部分でご採用いただいておりますが、高周波特性に優れるためミリ波レーダーカバーや高周波コネクターへの展開も期待できます。新素材を探している企業さんは分野関係なくいらっしゃると思いますので、そういう方々と開発テーマを進めていければと考えています」(田村氏)

 FPD Internationalでは、開発品の溶剤可溶型の導電性ポリマー(300S/cm以上の導電性を有し、かつ有機溶剤に溶解するので、基材上に伸縮性のある被膜を容易に形成できるコーティング材)を多岐に渡る分野から、多くの引き合いをいただいたという。

 マイナス70度以下の耐寒性を誇る液状ゴムや、小型・軽量化に優れ、箸などにも使用されている樹脂ザレック、そして高熱導電性を持ち、LEDのウエッジベースに採用されている出光PPSなど、それぞれの特性を生かし、車に加え新分野での活用が期待される。

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