連載
» 2009年02月26日 00時00分 UPDATE

甚さんの設計分析大特訓(8):枕木に秘められた設計の神髄を伝授するぜぃ! (1/3)

コンクリートの枕木にヒビが入らないのはなぜだろう。良君はその理由に秘められた設計の神髄に気が付くことができるのだろうか。

[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),@IT MONOist]

当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生まれのイマドキな若者。機構設計者。通称、良君


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


良

今回はついに、“設計の神髄”を教わるのだ。つい最近までの僕は、図面もろくろく描けず、設計者のはずなのに設計もできちゃいなかった。認めたくないものだなー、自分自身の若さゆえの過ちというものを。


甚

ったく、ちゃんと反省してんのかいっ! オメェはシャア・アズナブルか。


良

あ、ガンダムをご存じで!


甚

あぁ知ってらぁ! ものづくりの世界を極めるには、柔らかい頭もでーじ(大事)なんでぃっ。エリカちゃんにも、最近はわけぇーヤツの間じゃ、どんなアニメがはやってんのか、なんて聞いたりもするんだぜい。


良

ド、どうして、エリカちゃん(良君の設計アシスタント)がここに出てくるの!? ……僕には何も教えてくれないのに……。


 皆さん、第7回の「競合商品を設計分析で駆逐しようぜぃ! パート2」は、いかがでしたか? さまざまな戦略のあるボ−ルペンを分析して、設計とは3次元モデラーによる単純なモノの造形ではなく、「守り」や「攻め」があることを再度、理解できましたか?

 また、皆さんならどのボ−ルペンを購入しますか? 用途別の選択方法もあるかと思いますがちょっと気になるのは、200円と600円。コストに差があり過ぎますね。もしかしたら、真っ向勝負をしていないかもしれません。

 それでは、恒例の「理解度チェック」です。3項目以上理解していた方は先へ進みましょう。そうでない方は、第7回を読み直してみてください。

理解度チェック

  1. 真っ向から挑戦する「同思想戦略」について、さらに理解を深めた
  2. 優先順位を入れ替える「トレードオフ戦略」を理解した
  3. トレードオフ戦略は、市場調査から見直す必要がある
  4. 3種のボ−ルペンを購入して記事の内容を体感した
  5. オンリーワンやナンバーワン商品を駆逐する勇気がわいた

良君、赤くなって怒る

良

甚さん! 甚さん! 設計の神髄っていったいなんですか? ウハウハ……楽しみ、楽しみ。


甚

これからはオメェに、設計の神髄……オレの設計奥義をたたき込むのだ。設計と3次元モデラーの作業との違いも、今回の特訓で、よりはっきりと分かるようになるぜぃ。


良

おおおっ、死ぬ気で頑張ります! で、今回の特訓のテーマは?


甚

それは、電車の枕木(まくらぎ)でぃ! 昔はその名のとおり木製だったけどよぉ、いまは主に、鉄コンキンクリート製だ!


良

甚さん! もしかして、それって……鉄筋コンクリートではないですか? それとも、突っ込んでほしくてわざと……。


甚

あ、あー。そ、そうともいうよなぁ……べらんめぇ! そんなのどうでもいいじゃねぇか! もうやめた! ヤーメタ! やる気がしねぇ〜ってもんだい!! オメェ、もうカエレ!


良

甚さん! それでも社長ですか! あなたこそアニメの見過ぎなんじゃないですか!


甚

ぐぬぅ……。


良

第5回で、『技術を伝承してほしい人は1割、早く辞めてほしい人は9割』と僕がいったのを覚えていますか。そんなんじゃ、甚さんだってその9割の人たちと同じですよっ! その人たちの共通点はね、“すべての基準が自分”、そして、“すぐにキレること”!!


甚

ウ、ウーム……実はよ、第5回の内容を忘れちまった。ちょいと待っちくれ。いま、思い出すからよぉ。


良

甚さん、『若いオメェらがかわいそうになってきた。許しちくれ』といったのも覚えていないの? もしかしてあれは、ウソだったわけですか? フェイク(Fake)ですか? え?


甚

いんヤ! ハシも、フォーク(Fork)も関係ねぇさ。それは本音だぜ! ああ、ふてくされたオレが悪かったよぅ! いまから早速、設計の神髄、教えてやろうじゃあねぇかい!


 さて、今回のテーマは、電車の枕木です(図1)。日常生活の中では、意識しなければ見過ごしてしまう商品の1つでしょう。

yk_jinsan08_1.jpg 図1  コンクリート製の枕木

 以前は木製でしたが、いまはグラスファイバー強化プラスチック製やコンクリート製が優勢です。「コンクリート製」と聞いただけで、「割れやすい」「ヒビが入りやすい」と、容易に想像がつくと思います。

 さて、始発駅から終着駅まで、一体、何本の枕木にヒビが入っているでしょうか? 筆者は、鉄道マニアの友人に頼んで、小田原始発の伊豆箱根鉄道の大雄山線内のある1区間だけ調べてもらいました。

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