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» 2009年05月21日 00時00分 UPDATE

組み込みイベントレポート:見えてきた!? ケータイ以外でのAndroidの適用例 (1/3)

携帯電話向けプラットフォームとして注目される「Android」。その存在は“非ケータイ分野”の組み込み開発者にも大きなインパクトを与えている

[八木沢篤,@IT MONOist]

 携帯電話端末の開発に従事するエンジニアだけでなく、一般のソフトウェアエンジニアまでもが注目している「Android」。各メディアでも常に取り上げられる話題の携帯電話向けのソフトウェア・プラットフォームだが、いま“非ケータイ分野”でもその可能性に大きな期待が寄せられている。

 ご存じの方もいると思うが、Androidの組み込み機器適用を推進する団体、一般社団法人「Open Embedded Software Foundation(OESF)」が2009年3月24日(参考:@IT News)に設立されるなど、ケータイ電話以外の組み込み機器への利用も検討されはじめているのだ。

 本稿では、2009年5月13〜15日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「第12回 組込みシステム開発技術展(ESEC2009)」のレポートとして、Android(特にケータイ電話以外での利用例)に関する展示・デモンストレーションが行われていたブースにフォーカスし、その模様をお伝えする。

ESEC会場内の様子 画像1 ESEC会場内の様子
関連リンク:
Open Embedded Software Foundation

Androidの非ケータイ適用例(1)

 ESEC開催直前情報「“非ケータイ”で輝くAndroidの秘めたる可能性」でも取り上げた富士通ソフトウェアテクノロジーズは、「デジタルフォトフレーム」「デジタルサイネージ」「ナビゲーションシステム」を例にAndroidの適用イメージを披露した。まずは、その模様からお伝えしよう。

 同社は、Marvellの「Zylonite PXA310」にAndroidをポーティングし、マクニカの画像表示ミドルウェア「MARBO PictImpact」と富士通のDLNA(Digital Living Network Alliance)ミドルウェア「Inspirium HomeNetworkライブラリ for AV」を連動させ、ホームネットワークおよび、クラウド上の動画や静止画を表示させる“ネットワーク・デジタルフォトフレーム”のデモンストレーションを行った(画像2)。

Androidによる「ネットワーク・デジタルフォトフレーム」のデモンストレーション 画像2 Androidによる「ネットワーク・デジタルフォトフレーム」のデモンストレーション

 デジタルフォトフレームのアプリケーション部分は同社が新規に作成し、同アプリケーションと各ミドルウェアとの連携部分はJNI(Java Native Interface)で実装しているとのこと。通常のデジタルフォトフレームとしての利用のほか、Androidの通信機能とDLNAミドルウェアを組み合わせることで、例えば、ホームネットワーク上にある子どもの画像を遠方の親戚へ送るといった利用なども可能だという。

 「こういったシステムはWindows Embedded CEやITRONでも実現可能だが、ここまで作り上げる際にかかる開発コストは圧倒的にAndroidの方が低く抑えられる。デジタルフォトフレームは景気の悪い中でも売り上げが伸びているデバイスの1つ。今回のデモンストレーションは低価格(1万円台)で実現できるデジタルフォトフレームの展開をイメージしたものになっている」(説明員)。

 また、同社はIntel Atomプロセッサ上でAndroidを動かし、複数の動画を同時に再生させる“デジタルサイネージ”をイメージしたデモンストレーションも行っていた。ハードウェアにダックスの組み込み向けCPUボード「HFMB-22」を採用。Androidをポーティングし、ビートクラフトのメディアデータ処理用フレームワーク「Jakar Media Framework」を組み合わせて実現したものだ(画像3)。

AndroidとAtomとの組み合わせによる「デジタルサイネージ」のデモンストレーション 画像3 AndroidとAtomとの組み合わせによる「デジタルサイネージ」のデモンストレーション

 「デジタルサイネージ、KIOSK端末などでは、Windows OS+x86アーキテクチャという組み合わせが主流だが、Androidの登場でLinux+x86アーキテクチャの組み合わせによる展開もしやすくなったのではないか」と説明員は語る。

 さらに、同社はAndroidによる“ネットワーク・ナビゲーション”のデモンストレーションを行っていた。ハードウェアは、アットマークテクノの「Armadillo-500 FX」を採用。地図データ、経路データ(ともにインクリメント・ピーの地図サービスを使用)などナビゲーションに必要な情報はすべてネットワーク上のクラウドサービスを利用している。そのため、端末側にデータを持たせる必要がなく、ナビゲーション用のアプリケーションのみで最新の地図データを利用したナビゲーションシステムが実現できるという(画像4)。

Androidによる「ネットワーク・ナビゲーション」のデモンストレーション 画像4 Androidによる「ネットワーク・ナビゲーション」のデモンストレーション

 端末側のアプリケーションは、スタート地点と目的地情報をサーバに送信する機能と、サーバから取得した経路が道塗された地図画像(JPEG)を画面に表示する機能のみ。Androidには、通信のためのAPI(Application Program Interface)や、GPS・各種センサとのやり取りをするためのAPI、リッチなUI(User Interface)を実現できるAPIなどが用意されているため、短期間でデモンストレーション環境を準備できたという。

 「Androidを初めて触ったエンジニアが片手間で2週間程度で作り上げた。例えば、サーバから取得した画像を表示させるだけでも、ほかのOS環境では何十行とコードを書かないと実現できなかったが、Androidであれば数行のコードを書くだけで同じことができる」(説明員)。


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