Design BOMはPLMのあり方をこう変える!開催直前! DMS2009速報

2009年6月24〜26日の3日間、東京ビッグサイトで「第20回 設計・製造ソリューション展」が開催される。編集部では出展者の1つ、図研に当日の見どころを伺った。

» 2009年06月23日 00時00分 公開
[原田美穂,@IT MONOist]

 今年の図研ブースで最も注目すべきは「Enterprise PLM/PreSight」(以降、PreSight)だ。同製品は、6月17日に発表されたばかりの統合BOM環境「BOM Producer」と、プロジェクト管理ツール「Project Conductor」の2製品を中核としたPLMソリューションとして位置付けられる。

 本稿では、このEnterprise PreSightの1つ、BOM ProducerにおけるDesign BOM(D-BOM)という概念から、同社の目指すPLMの姿をのぞいてみよう。

図研が提案するD-BOMとは?

 まず、PreSightの中でも特に、BOM Producerで提案されている「Design BOM」という概念には注目すべきだろう。

既存統合BOMでは解決しないムダを排除して全体最適を図る

 一般的に「統合BOM」と言われる製品では、主に設計BOM(E-BOM)と製造BOM(M-BOM)の情報統合が主軸に語られる。しかし、同社が提案するD-BOMはそれを凌駕する革新的な概念だ。

 「設計BOMと製造BOMが統合されるのは、当たり前のことなんです。我々はもちろんその部分もしっかりサポートしていますが、さらに先を見据えたコンセプトとしてD-BOMを提案しています」と語るのは、図研 営業本部 PLM営業部部長 大沢岳夫氏だ。

図研 営業本部 PLM営業部 部長 大沢岳夫氏 図研 営業本部 PLM営業部 部長 大沢岳夫氏

 一般的に統合BOM環境で行われるE-BOMとM-BOMの連携は、E-BOM作成完了後の設計・製造プロセスの効率化を図ることを目的としている。

 図研では、こうした統合BOM環境をさらに活用するため、企画・設計段階を含めた情報連携を重視する考えを打ち出している。こうした提案の背景には、受注生産における製品企画・見積もりにおけるリスクの存在がある。

概算見積りに潜むリスクを回避して優位に立つためのインフラ

 特に受注生産型製造業では、受注前段階での概算見積もりを要求される場合が多いが、顧客の要件や仕様の定義ごとに内容が異なるため、部品や工数などを考慮した厳密な見積もりを出すことが非常に難しい。そのうえ、前述のように多岐にわたる項目を調査しなければならないため、見積もりに掛かる時間・労力も大きくなる。

 概算で個々の要素ごとにマージンをとった見積もりでは、納期も単価も高くなり失注リスクが高まる。逆に受注のために低い見積もりを出した場合には利益を圧迫することとなる。このフェイズで迅速かつ厳密な見積もりを出せれば、リスクを小さくできることは明白だ。

 BOM Producerはこうした課題への1つの解といえる。仕様で示された諸元にかかわる形状情報、部品情報、製造要件、原価情報などを要素情報として一元的に管理する仕組みのため、企画段階で過去の製品情報から類似仕様のユニットを流用した見積もりが可能となる。

 さらに3D CADの情報と連携させれば、仕様と形状や拘束条件などを組み合わせて過去のデータから3Dモデルを自動生成することも可能だ。実際の形状について、3Dモデルをベースに顧客とレビューできるため、円滑なコミュニケーションも可能となる。こうした仕組みが実現すれば、受注時に優位に立つための戦略づくりにも大きなメリットとなるだろう。

 この仕組みを概念図として示したのが下図である。

 「モノづくりの世界では、より上流(初期)の段階でいかに精度の高い計画が立てられるかが課題となってきています。設計においては、企画構想・構想設計データの段階で、確度を向上させることが、より効率的なモノづくりの前提となりつつあります」(大沢氏)

PreSight BOM Producerの機能と適応領域の概念図 PreSight BOM Producerの機能と適応領域の概念図

プロダクトポートフォリオの詳細な分析から生まれる製品戦略

 PreSightの2製品に共通しているのが、中期的な製品戦略の考案にも有効であるという点だ。本稿で紹介するBOM Producerでは、どの製品にどの部品が紐付けられているかが一目で分かるようになっており、仕様と製品の関係を可視化して分析を行える。それゆえ、部品やユニットごとの共通化が計画しやすくなる。使用部品やユニットの共通化が進めば当然、製造コストを低減でき、市場リードタイムも短縮できる。

 さらにERPパッケージのような既存の財務系基幹システムを連携できれば、製品ごとの市場実績や計画などとBOMの情報を連携できるため、従来以上に詳細なプロダクトポートフォリオ分析が可能となる。

 PreSightは、ソフト/ハードの双方において、構想段階からのムダを排除し、製品ライフサイクルを戦略的に実行するための仕組みを備えたソリューションだといえよう。

◇◇◇

大沢氏と図研事業戦略室 マネジャー 福田氏 大沢氏と図研事業戦略室 マネジャー 福田氏
取材時、できたばかりというPreSightのロゴイメージを前に快く撮影に応じていただいた

 同社では、日本能率協会コンサルティングと共同で「ITによるモノづくり課題解決の習熟度」の体系化を行っており、PreSightはPLMの習熟度においてレベル4〜5を目指す企業に最適だという。もちろん、同製品のほかにもそれぞれのレベルに対応した製品があるので、まずはご自身の現在の環境が習熟度チャートのどこに位置付けられるか把握し、無理のないIT化を進めるといいだろう。展示会当日はブースで相談してみてはいかがだろうか?

展示会名 第20回 設計・製造ソリューション展(DMS2009)
開催日 2009年6月24日(水)から26日(金)
会場 東京ビッグサイト
ブース番号 東2ホール 14-25

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.