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» 2009年09月09日 00時00分 UPDATE

Windows Embedded Conferenceレポート(1):マイクロソフトが考える組み込みの世界(前編) (1/2)

組み込み開発者向けカンファレンスの基調講演を通じて、マイクロソフトが考える“組み込みの世界”を紹介する。

[西坂真人,@IT MONOist]

 昨年ラインアップが一新され、「Windows Embedded」の新名称に統一されたマイクロソフトの組み込みOS製品。この1年間で次々と最新製品やソリューションとなって登場し、本格普及に向けた環境がいよいよ整い始めた。

 先日開催された組み込み開発者向けのWindows Embedded製品技術カンファレンス「Windows Embedded Conference in Yokohama 2009」(8月25日開催)で、マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャーの松岡 正人氏が基調講演に登壇。Windows Embedded製品のビジョンとロードマップについて語った。

複雑で大規模、さまざまな要求への対応

松岡 正人氏 画像1 マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャー 松岡 正人氏

 テクノロジーの進化に呼応して日々刻々と変化を続ける組み込み市場。松岡氏は、組み込みシステムの開発が以前と比べて非常に複雑となり、多岐にわたる視点での取り組みが必要になってきたとする。

 「例えば、マルチメディアの端末を作るためには、必要なコーデックを実装しなければいけない。ネットワークにつなぐ端末ならTCP/IPのようなプロトコルや、プロシージャを処理できるような専用ミドルウェアが必要となる。また、iPhoneが出現してから、組み込み機器でのUIの必要性がかなり高まってきた」。

 もちろん、昔はテキストのみでよかったような情報も、いまでは動画やアニメーションなどいろいろな仕組みを取り入れていかなければいけいない。メディアプレーヤー機能やインターネット機能だけでなく、場合によってはサーバそのものの機能まで必要となる。こういったものが、OSコアの部分で必要になってきていると松岡氏は語る。

 組み込み開発者はこのような状況下で、自分たちが作りたいものに向け、OSとCPUを組み合わせハードを選択し、必要あるいは不足する部品をソフトウェアの中で作り、“糊(のり)”としてそれらをつなぎ合わせていくという作業を行う。

 「マイクロソフトが提供しているのはOS。実際にこのあとデモでご覧頂くようなミドルウェアやアプリケーションというのは、残念ながらパッケージとして皆さんに提供できているわけではない。このOSそのものが提供するのは、あくまでも基礎的な機能のみ。通常ユーザーが目にすることのない機能を提供するのが、私たちのOS製品」。

 松岡氏は、実際にWindows Embedded製品群で提供している代表的なOSコンポーネントについてリストアップした。

  • ネットワークスタック
  • 通信スタック
  • マルチメディアエンジン
  • コーデック
  • デバイスドライバ
  • サーバ
  • GUIライブラリー&API

 「これらは通常、ユーザーが直接触れる、または何かを調整をするというものではなく、あくまでも開発の方がこれらの機能をうまく組み合わせて最終的な製品に落とし込むという作業を行うことになる」。

代表的なOSコンポーネント 画像2 Windows Embedded製品群で提供している代表的なOSコンポーネント

 これら組み込み機器に求められるさまざまな機能を実現するために、マイクロソフトが提供する組み込みOSには2つのタイプが用意されている。1つは典型的な組み込みのシステムとして使ってもらうことのできる「Windows Embedded CE」(現在の最新バージョンは6.0R2)、もう1つが「Windows Embedded Standard」や「Windows Embedded POSReady」のようなPCベースの組み込みOSだ。

 「大きく2つのタイプを提供しているわけだが、組み込みOSを一般用途で分けてみると(1)モノリシック/汎用 (2)モノリシック/特定用途用 (3)コンポーネント化/特定用途用の3つの用途に分けられるだろう。われわれが提供するものでは(1)や(2)はWindows Embedded CEに相当し、(3)はWindows Embedded Standardが相当する」。

 「例えば、Windows Embedded CEの場合、市販のボード上でCEを動かすということもあるが、例えばコスト面やフットプリントの問題でさらにメモリの量を減らしたい、あるいはCPUはARM9で400MHz駆動させるのか200MHz駆動なのか、それともなるべく高速駆動させたいので800MHzで動かしたいのか……など、最終製品に求められるアプリケーションの機能、サービスの要求レベルに沿ってハードウェアのスペックを落とし込んでいく。それに基づいてOSのスペックも決まっていくというのが一般的なシステム設計の流れだろう」。

 これらの流れを考慮して、システムの設計やシステムに必要なミドルウェアの設計に移るというのが、マイクロソフトが考える組み込み開発のストーリーである、と松岡氏は述べる。

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