組み込みで使えるWindows 7の新機能トップ7組み込みOSの新潮流 −Windows 7−(4/4 ページ)

» 2009年11月10日 00時00分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]
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5.Windowsタッチ −パフォーマンス−

 Windows 7から2本以上の指を用いたジェスチャ(パン/ズーム/回転/プレスアンドタップ)操作に対応したAPIセットがサポートされ、タッチスクリーンなどの対応装置上でこれまでにない直感的なユーザーインターフェイスを構築できるようになった。

 「KIOSKやPOS、ATM端末などの操作がWindowsタッチによって大きく変化する。組み込み機器メーカーにとって差別化の“キー”となる機能といえるだろう」(永田氏)。

<Windowsタッチのデモンストレーション>

タッチスクリーンモニタの画面上に水面が広がっており、画面をタッチすると水面に波紋ができ、魚が逃げていく 画像9 タッチスクリーンモニタの画面上に水面が広がっており、画面をタッチすると水面に波紋ができ、魚が逃げていく
壁紙を作成するアプリケーションに表示された画像に対して、2本以上の指でパン/ズーム/回転などが行える 画像10 壁紙を作成するアプリケーションに表示された画像に対して、2本以上の指でパン/ズーム/回転などが行える
Windowsタッチを用いて、地図アプリケーション上に表示されている地球を回すこともできる 画像11 Windowsタッチを用いて、地図アプリケーション上に表示されている地球を回すこともできる
太田 寛氏 画像12 マイクロソフト デベロパー&プラットフォーム統括本部 UXテクノロジー推進部 エンベデッドデベロッパーエバンジェリスト 太田 寛氏

 「マルチタッチは、従来のマウスやキーボードなどのユーザーインターフェイスの延長ではなく、人間の自然な動作を機器に取り込める新しいユーザーインターフェイスといえる。この特長を考慮したインターフェイス開発が、製品の差別化を図るうえで今後重要になるだろう」と、デモンストレーションで登壇したマイクロソフト デベロパー&プラットフォーム統括本部 UXテクノロジー推進部 エンベデッドデベロッパーエバンジェリスト 太田 寛氏はいう。

 さらに、太田氏はWindowsタッチの可能性について、「デジタルサイネージやセルフPOSのような、お客さんに直接操作してもらう端末などで自然なユーザーインターフェイスを提供できるだろう」と説明した。


6.Sensor and Locationプラットフォーム −接続性−

 Sensor and Locationプラットフォームとは、Windows上でセンサ類などを効率的に扱うための統一的な仕組み・形式を開発者に提供するプラットフォームだ。この仕組みにより、さまざまなセンサ類などをプラグアンドプレイのような感覚で自由に接続できるようになる。「これまではOSにこうしたセンサ類を取り扱う抽象化レイヤが存在しなかったが、Windows 7では各センサを抽象化して、アプリケーションがどのような方法でセンサにアクセスすればよいかを定義している」(永田氏)。

<Sensor and Locationプラットフォームのデモンストレーション>

 昨年、米国ロサンゼルスで行われた開発者向けカンファレンス「Professional Developers Conference 2008」で、参加者に配布されたフリースケール・セミコンダクタ製のSensor and Locationプラットフォーム用の評価ボードを基にデモンストレーションが行われた。なお、このボードにはタッチセンサが8つ、照度センサ、加速度センサ、USBポートなどが搭載されている(画像13)。

フリースケール・セミコンダクタ製のSensor and Locationプラットフォーム用の評価ボードアプリケーションでセンサの値を表示している様子 画像13(左) フリースケール・セミコンダクタ製のSensor and Locationプラットフォーム用の評価ボード/画像14(右) アプリケーションでセンサの値を表示している様子

 さらに、このボードをベースにして開発されたセンサ内蔵グローブ(画像15)のデモンストレーションが披露された(画像16)(画像17)。

センサ内蔵グローブ 画像15 センサ内蔵グローブ
センサ内蔵グローブとWPF 画像16 センサ内蔵グローブとWPF(Windows Presentation Foundation)で作成した3Dオブジェクトが連動している様子
センサ内蔵グローブでピアノ 画像17 センサ内蔵グローブでピアノのサンプルアプリケーションを操作(演奏)している様子

 「ほかにも、温度センサや大気圧センサ、さらには脳波センサなどのさまざまなセンサを組み合わせることもできる。Sensor and Locationプラットフォームにより、これまでにない新しい魅力的な製品開発が実現できるだろう」(太田氏)。

7.Virtual Windows XP −互換性−

 「過去のアプリケーション資産を活用したい」といったユーザーからの要望に対するマイクロソフトの“解”として用意されたのがVirtual Windows XPだ。「Windows 7の開発に当たり、下位互換性については十分に考慮し、取り組んでいるが、どうしても一部の既存アプリケーションが動作しないといったケースもある」(永田氏)。Virtual Windows XPは、仮想化ソフトウェア「Windows Virtual PC」を用いて、仮想化環境上でWindows XPを動作させてアプリケーションを実行できる仕組みだ。

 「この機能は最新のWindows Virtual PCの機能を使っており、すでに設定されたWindow XPのイメージをその上に載せて出荷することもできる。Windows 7で提供された新機能を活用しながらも、Virtual Windows XPにより、過去のアプリケーション資産もシームレスに運用できる」と永田氏はいう。

<Virtual Windows XPのデモンストレーション>

Virtual Windows XPのデモ 画像18 下のウィンドウがWindows 7に標準搭載されているInternet Explorer 8、上のウィンドウがVirtual Windows XPで起動したInternet Explorer 6

 画像18のように、仮想化環境上で動作するWindows XPのデスクトップ環境を表示せずに、アプリケーションのウィンドウだけをWindows 7のデスクトップ上に表示できるのが大きな特長だ。「このように過去のアプリケーションをあたかもWindows 7で動いているように見せることが可能だ」と永田氏。




 以上のように、組み込み分野で活用できる機能・テクノロジがWindows 7には数多く備わっている。今後ますます高まっていくであろうWindows 7へのユーザー要求に、いちはやく対応できるよう、いまのうちからWindows 7の新機能について調査・検討を行ってみてはいかがだろうか。

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