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» 2010年02月15日 00時00分 UPDATE

セールス&オペレーションズ・プランニングの方法論(3):アジャイルな判断を支える需給情報の読み方 (1/3)

本稿では、日本企業の経営者が直面している重要な経営課題の1つとして、激変する需要変動とグローバル化への対応を取り上げ、S&OPプロセスがこれらの課題をどのように支援するのかについて見ていくことにします。

[松原 恭司郎/キュー・エム・コンサルティング,@IT MONOist]

これからの需給マネジメントに求められるもの

 2009年度の上半期が終了した時点では、主要企業の次のような取り組みが報道されるなど、日本の製造業は、リーマンショック後の経済危機を受けて、この1年間、いや応なしに大幅な生産・在庫調整に取り組んできました。キヤノンが緊急在庫適正化プロジェクトに着手したり、NECが在庫圧縮のための社内プロジェクトを推進したりといった、大手企業の取り組みをニュースでご覧になった方も多いことでしょう。

今なお、尾を引く生産・在庫調整

 この年末年始の工場の稼働状況は、薄型テレビ向けの受注が好調な半導体などでは休日返上の生産が続いています。また、エコポイントなどが功を奏した自動車、電機などのようにほぼ前年並みとする業種がある一方で、建設用素材メーカーなど休業を大幅に増やす業種も出ています。

サプライチェーンの可視化は必須

 この度のドタバタ生産・在庫調整を「日本企業はサプライチェーン・マネジメントが徹底していたから、経済危機への対応が最も早く全面的であった」と評価する意見もあります。

 しかし、一方で日本企業の多くは、急激なまでの需要の落ち込みに対して、今回のように「急ブレーキ」を掛けるのではなく、サプライチェーンの「見える化」をより推進させ、市場の変化に俊敏かつ柔軟に生産および在庫をリンクさせていくことの重要性を再認識させられたというのが本音でしょう。

市場も生産もグローバル化は必至

2010年の経営課題トップ3は、グローバル化、環境、そして業界再編

 主要企業の経営者が新年に向けた年頭所感で掲げた経営課題トップ3は、世相を反映して、グローバル化、環境、そして業界再編/M&Aへの対応であったと経済紙は伝えています(参考資料1)。

自動車・家電大手におけるグローバル化の取り組み

 昨年末の日本の製造業各社の戦略を見ても、

  • 日産自動車は需要地の近くで最適生産、供給体制を整備する(注1)
  • ホンダにおける部品の現地調達(注2)
  • パナソニックは海外生産を拡大する(注3)

 とあるように、少子高齢化などで、成長の限界に達した内需から、大きな成長が期待されるアジアの新興国市場を視野に入れたグローバル化への対応が目を引きます。

 この現地生産比率の引き上げの傾向は、アジアの新興国市場拡大への期待と、為替リスク、そして原材料など商品相場の高騰リスクへの対応と考えられます。


注1:2009年11月4日発表の2009年度上期決算報告への日産自動車取締役兼COO 志賀俊之氏のコメントによる。グローバルで市場に投入するVプラットフォームベースの3車種について、2010年3月にタイでの生産開始するのを皮切りに、2010年5月にインド、2010年中旬には中国での生産を開始するとしている。Vプラットフォームは、現地化(現地サプライヤの採用や現地生産)による業務効率向上を目指した設計が行われているという。
注2:2008年9月28日のプレスリリースなどを見ると分かるように、ホンダはインドと東南アジア地域の自由貿易協定の締結を受け、インドで生産したエンジンなどの部品をアセアン地域に輸出する仕組みの構築に取り組んでいる。また、このほかにもトルコやメキシコなどでそれぞれ同様の取り組みを行っている。
注3:NIKKEI NET 2010年1月8日の報道 や、パナソニック□http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn100108-3/jn100108-3.html□2010年度経営方針(要旨)■で発表されているとおり。


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