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» 2010年03月17日 00時00分 UPDATE

LED照明設計の基礎(3):LED駆動回路設計 〜基礎編〜 (1/2)

LEDの電気特性とは? 駆動回路の役割とは? 回路シミュレータによる解析方法など、LED駆動回路設計でのポイントを解説

[サイバネットシステム 応用システム事業部 アッビゲリ プラバーカラ,@IT MONOist]
LED照明設計の基礎 サイバネットシステム
次世代照明として注目を集めるLED照明。しかし、単純にLEDパッケージを並べただけでは、良い照明機器を作ることはできない。本連載では、電気回路、熱対策、光学面で、LEDの特性を生かした設計をするにはどうしたらいいのか、そのヒントを解説していきます。(編集部)

LEDとは?

 LEDは電気的にはダイオードの一種でPN接合と呼ばれる構造で作られています。図1のようにLEDの両端子に電圧を掛けると、電子はエネルギーを吸収し伝導帯へ遷移します。この電子が、伝導帯から価電子帯へ遷移すると、吸収したエネルギーを放出します。この放出されたエネルギーが光源となります。放出される光の波長や色は半導体のバンドギャップ(注1)によって定まります。

注1:バンドギャップとは伝導帯と価電子帯のエネルギー分布の差(ギャップ)のこと。


photo 図1 LED動作原理

LEDアプリケーション

 LEDは発光効率が高く、長寿命、しかも小型で軽量、有害物質を含まないという、多くの長所を持っています。高い発光効率により電池の寿命が長持ちすることから携帯機器に最適です。LEDとしての寿命は白熱電球の約2〜3倍以上あり(資料によっては40倍とうたっているものもあります)、その長寿命を生かしたアプリケーションとして交通信号灯などがあります。さらに、LEDの応答速度は非常に速いため車のブレーキライトにも適しています。LEDを用いた照明器具の設計自由度は非常に高く、光の明るさだけでなく、色味を段階的に調節することも可能です。

※編集部 注:上記文中「LEDは有害物質を含まない」とありますが、これは当該記事が掲載された2010年3月17日時点での一般認識で、近年の研究ではLEDの有害性を指摘した発表もあります)

LED電気特性

 一般のシリコンダイオードに類似した特性を持っており、アノードとカソード(注2)の間に電圧を印加して使用します。印加電圧があるしきい値に到達すると、LEDに電流が流れ始め、発光を開始します。電圧がさらにそのしきい値を超えると、電流が急激に増えます。白色LEDの場合、しきい値電圧は約3.5V程度です。赤色、緑色、青色のLEDのしきい値電圧は下の表1のとおりです。

注2:外部回路から電流が流れ込む電極をアノード、外部回路へ電流が流れ出す電極のことをカソードと呼ぶ。アノードとカソードの区別は、電流の向きによって決まる。


photo 表1

 LEDの電気特性、および駆動回路を説明するために回路シミュレータを使います。回路シミュレータは、LEDや抵抗などの電気デバイスを数式としてモデル化し、コンピュータ上で回路動作を計算できる便利なツールです。ここでは、Cadence社製回路シミュレータPSpiceA/Dを利用しました。LEDは、フィリップスルミレッズ社のLUXEON系LXM3-PW71を使用します。

 まず図2の回路を使ってこのLEDの電気特性を検証します。電圧−電流特性を得るには直流解析を行います。

photo 図2 電圧−電流特性検証用回路

 解析結果を図3に示します。

photo 図3 PSpice A/D による解析結果:電圧−電流特性

 LXM3-PW71の電圧−電流特性を検証した結果、3.0Vで約354mAの電流が流れることが分かります。

ドライバ回路

 白熱電球(フィラメントタイプ)は電圧駆動型のデバイスです。一方、LEDは電流駆動型のデバイスで、LEDに流れる電流を制御することによって光度や色味を調節できます。白熱電球や蛍光灯の照明機器に用いられている回路方式をそのままLEDの照明機器へ適用することはできません。LEDの特長を最大限に生かすには、LEDならではの駆動回路設計が必要です。また、例え発光効率に優れたLEDを使ったとしても、駆動回路の効率が良くないと照明機器全体の発光効率は落ちてしまいます。LEDを使った照明機器設計は大きく次の3つの段階に分けることができます。?光学設計、?熱設計、?LED駆動回路設計です。ここでは?のLED駆動回路の設計について触れます。

抵抗型駆動回路

 抵抗を使用してLEDを駆動する方法について説明します。この方法では、LED、抵抗、直流電圧源を図4のように接続します。直流電圧源の値とLEDでの電圧降下(順電圧)を基に、LEDの発光に適切な電流が流れる抵抗値を計算します。この抵抗値は次の式で求められます。

photo

 例えば、上述のLXM3-PW71を5Vの電圧源で駆動することにします。このLEDの順電圧は3.0Vなので、350mAを流すには5.71Ωの抵抗が必要になります。図4、図5には、回路シミュレータでの計算に使用した回路とその結果を示しています。図5よりLEDには約3.0Vの電圧が掛かっていて、約350mAの電流が流れていることが確認できます。

photo 図4 抵抗型駆動回路
photo 図5 過度解析結果

LEDの順電圧のばらつき

 この回路では、LED回路の重要な設計要素の1つである順電圧のばらつきを考慮していません。LEDのような電子デバイスの特性には必ずばらつきがあり、同じ型番のデバイスでも個々に測ってみると同じ特性を持っていないことがあります。このばらつきはLEDによって非常に大きい場合があり、順電圧では15%以上のこともあります。LXM3-PW71の順電圧は約4〜2.5Vの間でばらつくことが分かっています。そうすると先ほどの抵抗型駆動回路を用いた場合、LEDの順電圧によって、流れる電流が大きく変化してしまいます。

 また、照明機器の場合、LEDが点光源のため複数個使用されます。LEDを単純に直列接続して、抵抗駆動をすると、回路が動作しない場合があり得ます。例えば、3つのLXM3-PW71を直列接続して12Vで駆動するとします。偶然これら3つのLEDが最大の順電圧を持っていた場合、合計は供給電圧12Vと同じになり電圧不足で駆動できない状態に陥ります。さらに同じ電流が流れているからといって、すべてのLEDが同じように発光するとは限りません。LEDを並列接続する場合も同様なことが考えられます。

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