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» 2010年04月20日 00時00分 UPDATE

自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識(4):自分でできる知的財産権調査! カンタン3段ステップ検索方法をマスターする (1/5)

知財管理ってお金がかかるんでしょ? というのは大きな勘違い。今すぐ、だれでも調査できるんです。まずは調べ方、使い方を覚えましょう

[野崎篤志/ランドンIP,@IT MONOist]

製品開発の戦略作りには技術特許のルールや、技術情報活用の利点を理解しておくことが重要。本連載では知的財産権にかかわるトラブルへの対処法から、特許技術情報を基にした戦略構築の手法までを紹介する(編集部)

前回の復習

 皆さん、こんにちは。日本技術貿易の野崎です。「自社事業を強化する!知財マネジメントの基礎知識」の第4回を始めたいと思います(前回はこちら)。

 今回からスタートする連載後半の3回は知財マネジメントスキル各論編ということで、知財戦略を立案するうえで欠かせない情報収集・分析スキルについて、特に特許情報の調査・分析スキルを中心に解説していきます。

 今回から再びロボットアーム工業の路保(ろぼ)社長と、中堅技術者でありかつ知的財産面の管理を行う立場にある地西(ちざい)さんに登場してもらいます。第1回「身近に潜む知財リスク」でいろいろな知的財産面の災難が降り掛かったロボットアーム工業。これじゃいかん! ということで、地西さんはその後知的財産関連のセミナーに参加するようになりました。

 今回地西さんが受講したセミナーは「技術者・研究者向け 現場で役立つ特許調査・分析スキル」です。3日間構成で1日目が知的財産権調査編、2・3日目が特許分析・パテントマップ編となっています。路保社長からは「わが社も現在策定している中期経営計画に沿った知財戦略を立案しなければいけないな。地西君、セミナーでしっかり学んできてわが社の知財戦略を立案してくれよ!」といわれています。

〜〜さて1日目の特許調査編のセミナーが始まったようです。〜〜

知的財産権調査を行う目的

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皆さん、おはようございます。これから「技術者・研究者向け 現場で役立つ特許調査・分析スキル」として3日間のセミナーを開始します。私、このセミナーの講師を務める野崎と申します。よろしくお願いいたします。

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よし、しっかりとセミナーの内容を頭に入れて自社の知財戦略を立案できるようになるぞ!

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まず、皆さんに質問したいと思います。なぜ特許、意匠といった知的財産権情報を調査する必要があるのでしょうか? この知的財産権調査の目的について、どなたかお答えいただけますか? 最前列に座っておられるあなた、いかがでしょうか?

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他社の保有している登録特許などに抵触しないように調査をするという目的があると思います。あとは自社の研究開発戦略などを策定するために、競合他社がどういった課題に対して研究開発を行っているのかを把握する動向把握といった目的もあると思います。

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そうですね! いまおっしゃっていただいたように、知的財産権調査の目的には大きく2つあります。

1つは権利的な側面からの調査です。自社が新製品を市場投入する前に、競合他社の知的財産権(特許だけではなく意匠や商標も)を侵害していないか調査を行う侵害防止調査(クリアランス調査ともいいます)などがあります。

もう1つは技術的・マーケティング的側面からの調査です。自社独自の製品・サービスを生み出すためにはお客さまのニーズが重要であることはいうまでもありませんが、市場や競合企業の状況を把握する必要があります。市場や競合企業の情報を収集するために、新聞や雑誌・専門誌を調べたり、学会・展示会で競合の発表内容を把握するといった方法もありますが、特許や意匠・商標は非常に充実した情報源です。

知的財産権情報〜特許公報・意匠公報・商標公報〜

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それでは知的財産権情報であるそれぞれの公報を見てみましょう。皆さんに公報を身近に感じていただくために、任天堂のゲーム機に関連する公報を集めてみました。

広報の種類 実際の内容
特許公報(Nintendo DS関係)
意匠公報(ゲームボーイ関係)
商標公報(Wii関係)
図1 知的財産権情報の例(特許・意匠・商標公報のフロントページの例)
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公報にはいろいろな情報が掲載されています。公報の1ページ目には

  • 特許・意匠・商標番号(出願番号・公開番号など)
  • 日付(出願日・公開日など)
  • 分類情報(特許であればIPC・FI・Fターム、意匠であれば国際意匠分類(ロカルノ分類)や日本意匠分類(Dターム)、商標であればニース分類)
  • 知的財産権を出願した組織体に関する情報(出願人、発明者、代理人など)

などが掲載されています。特許であれば発明の概要を記載した要約と代表図面が掲載されています。

参考

 公報に記載される情報にはINIDコードという世界的に統一されたコードが利用されています。ですから、ドイツ語特許で出願日が知りたい! といった場合、(22)という数字が「出願日」であることを知っていれば「出願日」というドイツ語を知らなくても大丈夫です。ニュース・雑誌・専門誌にはINIDコードのような全世界統一のコードが存在しません。一方、知的財産権情報はINIDコードがあるので、ほかの情報源に比べて全世界レベルでの情報収集・比較が容易です。

参考URL:特許庁 公報発行案内

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すみません、特許には「公開」と「登録」の2種類があると聞いたのですが、紹介していただいたのはどちらですか?

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いい質問ですね。先ほど紹介した特許は公開特許公報ですから「公開」です。つまり、まだ権利として確定していない特許です。ほかにご質問はありますか?

受講生

アメリカは意匠も特許の1つであると聞いたのですが、どういうことでしょうか?

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非常に重要な質問ですね。日本では発明を保護する特許権は特許法で、デザインを保護する意匠権は意匠法でそれぞれ規定されています。

それに対してアメリカでは特許法の中でデザインの保護も規定されているため「デザイン特許」と呼びます。

ちなみに中国もアメリカと同様、専利法という法律の中で特許・実用新案・意匠の3つが保護されます。


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