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» 2010年07月05日 12時00分 UPDATE

ZigBeeで知る物理層測定の基礎(5):ZigBee評価――技適の試験内容 (1/2)

ZigBeeの物理層であるIEEE802.15.4と技適を測定の観点から解説。最終回は技術基準適合証明(技適)の試験内容について説明

[アジレント・テクノロジー 福島 理絵,@IT MONOist]
ZigBeeで知る物理層測定の基礎 アジレント・テクノロジー
安価で消費電力が少ないことから照明やセキュリティなどのワイヤレスセンサネットワーク構築で注目を集めている「ZigBee」。本連載では、これからZigBeeの物理層評価を始める方向けに、2.4GHz帯の規格および試験の概要、必要な測定器、測定の際のポイントなどを説明していく。(編集部)


 最終回となる第5回は、いよいよ技術基準適合証明(以下、技適)についてです。第2回の内容を少し振り返りつつ、技適の試験内容について説明します。

技適の試験手順書

 まず、技適の試験手順書を入手しましょう。

 日本では、30kHz〜60GHzといった幅広い周波数帯で、さまざまな通信規格が運用されていますが、これらは電波法および技適では、使用する周波数帯によって「特定無線設備の種別」という区分でカテゴリー分けされています。

 第2回でも紹介した、総務省の電波利用ホームページには、「特定無線設備の種別」の一覧があります。この中から、試験対象となる通信規格に当てはまる種別を探し、それぞれの試験方法(別表)を入手します。

関連リンク:
総務省 電波利用ホームページ

 2.4GHz帯を使用するZigBee機器は、特定無線設備の種別では「2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム(2400〜2483.5MHz)」に該当します。実際の試験方法は「別表第43」という文書に書かれており、上記のホームページからPDFでダウンロードすることができます。

 ちなみに、2400〜2483.5MHzという周波数帯はZigBee以外にも、Bluetoothや無線LAN(802.11b/g/n)、それから独自方式の無線規格やラジコン無線など、さまざまな用途で使用されています。「2.4GHz帯高度化小電力……」は、ZigBee専用に規定されているわけではないので、同じ周波数帯を使用するこれらの無線通信の場合も、「別表第43」を参照します(一覧の中には、2471〜2497MHzと書かれた紛らわしいものがありますが、こちらは無線LAN(802.11b)の14chを使用する場合の種別です)。

技適の試験内容

 技適は、主に無線機の出力パワーと周波数を測定する試験です。IEEE試験と違って、受信感度の試験は含まれません。2.4GHz帯ZigBeeに適用される技適の試験内容を見ていきましょう。

 まず、試験内容が「アンテナ端子付き」と「アンテナ一体型」の2つに分かれています。試験対象となるデバイスの形状によってどちらかの環境で試験します。

 アンテナ端子付き……アンテナ端子と測定器を同軸ケーブルで接続して測定

 アンテナ一体型……6面吸収電波暗室内で測定。高さ1.5m以上の位置で、測定器との対向距離は通常3m
※アンテナ一体型設備の測定環境の詳細は、別表第43を参照

 測定項目は以下のとおりですが、別表をよく読むとZigBee信号が対象の場合は測定不要という項目があります。

  • 周波数の偏差
  • 占有周波数帯幅および拡散帯域幅
  • スプリアス発射または不要発射の強度
  • 空中線電力の偏差
  • 副次的に発する電波などの限度
  • キャリアセンス機能……ZigBeeでは不要、OFDM方式のみ(例:IEEE 802.11n 40MHzモード)
  • 送信空中線絶対利得……アンテナ端子付き設備のみ
  • 送信空中線の主輻射(ふくしゃ)の角度幅
  • 混信防止機能……測定器は使用せず、デバイス対向で行う送受信
  • ホッピング周波数滞留時間 ……ZigBeeでは不要、周波数ホッピングする無線のみ(例:Bluetooth)

 別表には、測定項目ごとに簡単な接続図や、試験信号の条件、測定器のパラメータ設定などが書かれています。図よりも文字が多いので一見手強そうですが、内容を理解してしまえば難しくはありません。

 技適の試験も、IEEE試験の場合と同じように、任意のチャネル周波数で連続送信ができ、変調波・無変調の切り替えが可能な「テスト用の送信モード」を用意しておくとスムーズに試験をすることができます。

 「バースト送信しかできない」、「無変調状態にできない」などの制限がある場合でも試験は可能ですが、工夫が必要です。具体的な方法は、試験をお願いする登録証明機関に相談するとよいでしょう。

 では、アンテナ端子付き設備をメインに各項目の概要を説明していきます。アンテナ一体型設備の試験では、信号の電力を測定する項目(スプリアス発射、空中線電力、副次発射、送信空中線の主輻射の角度幅)の場合は、置換用空中線(SG)を用意する必要がありますが、試験方法はアンテナ端子付き設備と基本的に変わりません。

 上記のとおり、技適の試験方法は1つではありません。あくまで試験例として参照してください。また、測定器の設定条件は以下では省略していますので、別表を参照してください。

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