3次元モデルを余すところなく生かす時代第21回 設計・製造ソリューション展レポート(3)(3/3 ページ)

» 2010年07月13日 11時00分 公開
[小林由美MONOist]
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これはCAD? CAE?

 プロダクトデザイナーは、いまや、見かけの格好よさはもちろん、数字やエンジニアリング的な根拠でも形を考えるべき、という声が聞こえるようになってきた。しかし、大抵は工学のプロフェッショナルではない彼らが、エンジニアリング面をしっかり考慮するにはさすがに限界がある。

 アルテアエンジニアリングは、ちょっとユニークな3次元デザインツール「solidThinking」(ソリッドシンキング社)を展示した。写真10のように、矢印方向に想定する荷重を掛ける設定をすると、そこからモデルがどんどん変形していく。やがて、設定した荷重に耐え得る形状をソフトウェアが考え出してくれる。材料物性もさすがにCAEほどリアルではないものの、ある程度考慮する。この技術は「モーフォジェネシス」と名付けられている。

写真10 写真10 solidThinkingの設定画面(想定荷重を加える)
写真11 写真11 モーフォジェネシス後の形状

 もちろん写真11のような形のまま、デザインを採用せよというのではなく、そこからデザインのインスピレーションを喚起(インスパイア)してもらおうという仕組みだ。

写真12 写真12 モーフォジェネシスした形から、デザインを考えよう

頑張れ! 日の丸CAE

 フロントローディングの要であるCAE。――CAEといえば、CAD同様に欧米発の大手ベンダ製品がどうしても目立ちがち。そんな中、国産ベンダも、数は少ないけれど、大奮闘している。最後にニッポン発CAEベンダ3社のブースを紹介する。

3次元の処理が得意な流体解析

 アカデミック発のCAEベンダ プロメテック・ソフトウェアは流体解析ソフト「Particleworks」とデスクサイド用マルチGPUコンピュータ「MASAMUNE」を展示。Particleworksで採用しているのは、有限要素法(FEM)ではなく「粒子法」というユニークな手法。東京大学工学系研究科の越塚 誠一教授が考案した、すなわち国産解析手法だ。

 この手法では流体にメッシュを切るのではなく、流体を非常に細やかな粒子で表現して解析をする。粒子法は、FEMでは少々厳しい3次元で大変形する事象の解析が得意とのことだ。液体の撹拌(かくはん)評価や、津波や土石流評価などが可能だ。

写真13 写真13 プロメテック ソフトウェアのブース

今年で3年目

 村田製作所から生まれたCAEベンダ ムラタソフトウェアは2010年6月で3年目を迎え、これまでに約100社の導入実績もできたという。「Femtet」という名前も、あちらこちらで聞こえてくるようになってきたとのこと。ひとまず順調というわけだ。同社のFemtetは、応力だけではなく電磁界、電磁波、熱伝導など7種の解析機能を備えたCAEで、UIの使いやすさや廉価さがウリ。今年展示したのは2010年に6月22日に販売開始した「Femtet Ver9.0」。今回は主に、熱解析や接触解析(オプション)を強化したとのことだ。

 データインポートに対応するフォーマットもさらに増やした。CATIA V4およびV5、Pro/ENGINEER、NX(Unigraphics)、Autodesk Inventor、SolidWorksなど主要な3次元CADフォーマットを網羅しつつ、IGESやSTEPなど中間ファイルも追加した。また統計解析ソフト「JMP」(SAS社製)とも連携させ、最適化設計が行えるようにした。

写真14 写真14 ムラタソフトウェアのブース

 ちなみにムラタソフトウェアの核を作った岡田 勉氏の開発秘話は、第20回 設計・製造ソリューション展レポート(番外編)「日の丸CAE誕生前夜」でぜひご覧いただきたい。

軽さ自慢の国産流体解析

 創業26年(1984年設立)の国産CAEベンダ ソフトウェアクレイドルは同社開発の流体解析ソフトをメインに展示した。同社製品のいいところは、ノートPCでも動くほどの省メモリであること。例えば客先で、流体解析のデモンストレーションを見せながら製品や設計の説明をする際にも役に立ちそうだ。

写真15 写真15 ソフトウェアクレイドルのブース

 また、電子筺体やヒートシンクなど放熱部品の設計者が使うなら「熱設計PAC」、もっと複雑な熱流体解析をしたいなら「STREAM」、自動車や機械機構の設計には「SCRYU/Tetra」と、用途に合わせて熱流体ソフトが選べるようになっているのも同社のメリットだ。

 海外でも代理店経由で販売展開し、2008年には同社のアメリカ法人も設立。欧米のベンダが日本法人設立というパターンが圧倒的に多い中、日本人にとってはやはり、うれしい展開だ。



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