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» 2010年09月07日 00時00分 UPDATE

Tech・Ed Japan 2010レポート:世界が広がる!! クラウド時代の組み込み機器 (1/3)

MS主催Tech・Ed Japan 2010のBirds of a Featherセッション「Windows Platformによる組み込み機器とサービス連携」の講演内容を紹介する

[八木沢篤,@IT MONOist]

――マイクロソフトがワールドワイドで展開している最大級のテクニカルカンファレンス「Microsoft Tech・Ed Japan 2010」が、2010年8月25〜27日の3日間、パシフィコ横浜(会議センター)で開催された。本稿では、特定テーマを基に意見交換も可能な「Birds of a Feather」セッションの中から会期2日目に行われた「Windows Platformによる組み込み機器とサービス連携」の講演内容について紹介する。

 「本当は、『燃えろ!! 組み込み魂、そして、クラウドとの融合だ!!』というタイトルで講演を行いたかった」。同セッションで司会を務めたマイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エンべデッド デベロッパー エバンジェリスト 太田 寛氏は冒頭このように切り出した。

太田 寛氏 画像1 マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エンべデッド デベロッパー エバンジェリスト 太田 寛氏

 太田氏は、自身が執筆しているTech Fieldersコラム「デバイス+クラウド」のプロフィールに、「世の中のすべてのデバイスを“クラウド”につなげてしまおうと野心に溢れている」と自己紹介するほど、組み込み機器とクラウドとの連携に熱い志を持つ人物だ。

 同セッションでは、「Sensor&Location Platform」や「.NET Micro Framework」など、同社テクノロジを活用したクラウド時代の組み込み機器の可能性について、デモンストレーションを交えながらその考えが披露された。

参考:バーチャルとリアルの“窓口”

太田氏は、Tech Fieldersコラム第1回「クラウドと組込み機器で拓く新しい世界」の中で、クラウド時代の組み込み機器が担う役割について次のように触れている。

ネットワークにつながってサービスを提供する組み込み機器は、“バーチャルの世界”と“現実の世界”との“窓口”の役割を果たします。ネット上に構築された仮想空間は、組み込み機器の置かれた位置や、その場所の明るさ、温度、大気圧、におい、その組み込み機器の移動加速度など、組み込み機器に接続されたセンサを通じて現実世界のさまざまな情報を取得できます。逆にスイッチ素子やモータ駆動アクチュエータを通じて、組み込み機器を介し、現実世界に働きかけることができます。もちろん従来のパソコンのようなUIを通じた人間との相互作用も含みます。


パソコンやサーバを主とするこれまでのIT技術は仮想的な世界を推し進め、メールやデータ蓄積、文書の共有など、距離や時間を感じさせない方向に世の中を進化させてきましたが、組み込み機器は、逆に現実世界の空間、環境と深く結び付くことにより、IT環境に新たな価値を追加します(出典:Tech Fieldersコラム第1回「クラウドと組込み機器で拓く新しい世界」)。

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現実世界の情報を取得するセンサ、そして、共通基盤としてのMSテクノロジ

 はじめに太田氏は、現実世界の情報を取得するセンサの新たな方向性とそこに秘める可能性について、方位センサを搭載したソニーの2010年夏モデル「VAIO P」を手に紹介。「わたしの記憶が確かなら、Windows 7のSensor&Location Platform対応の方位センサを搭載した世界初のPCだ。Sensor&Location Platform対応のセンサを搭載したデバイスの登場で、今後、これまでにない新しいアイデアが生まれてくるだろう」(太田氏)。

VAIO P羅盤アプリ 画像2 Windows 7のSensor&Location Platform対応の方位センサを活用した風水の羅盤アプリ(自作)を披露

 Sensor&Location Platformは、Windows 7に搭載された新機能の1つ。各種センサやGPSなどを効率的に扱うための統一的な仕組み・形式を開発者に提供するプラットフォームで、「.NET Framework 4」「WPF(Windows Presentation Foundation) 4」で簡単にデータを活用できるAPI群を備える。つまり、Sensor&Location Platformは、太田氏のいう現実世界の空間や環境を取り込むための共通基盤としての役割を果たすものだといえる。なお、同技術は同社最新の組み込みOS「Windows Embedded Standard 7」にも受け継がれており、今回一例として紹介されたPCだけでなく、組み込み機器でもSensor&Location Platformを活用した新しい機器開発が可能となる。

 また、ネットワーク対応の機器開発を支援するテクノロジ(=共通基盤)として、組み込み機器向けのアプリケーション開発・実行環境 .NET Micro Frameworkの存在にも注目しておきたい。同フレームワークは、オープンソースのソフトウェアとして提供されており、WindowsライクなUI、通信/メッセージング、I/Oなどを備えたアプリケーション開発が容易に行える。最近では、T-Kernelに同フレームワークを移植し、リアルタイム性を生かしつつ、リッチなUIや通信機能を開発できるソリューションも登場している。こうしたソリューションを活用することで、既存資産を活用しながらも、来るべきクラウド時代に対応した機器開発を行うことも可能だろう。なお、後述するデモンストレーションの中にも一部デバイスに.NET Micro Frameworkが用いられている。

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