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» 2010年10月08日 00時00分 UPDATE

車載ネットワーク「LIN」入門(2):知っておきたいLINの基礎知識 その2 (3/3)

[倉田正人(ベクター・ジャパン),@IT MONOist]
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2.ネットワークマネジメント

ウェイクアップシグナルフレーム/スリープモードフレーム

 連載第1回の適用分野で説明したとおり、LINは主に快適装備品などに使用されるため、車両の状態によって通信を必要としない場合があります。例えば、キーレスエントリーでドアを施錠した場合、リモコンからのドアロック要求を受光するセンサECUは、次の開錠命令を受けるまでLIN通信は不要です。

 この“通信が不要な状態”となったときに「省電力モード(ウェイクアップ/スリープモード)」に切り替えることで、LINノードの消費電力を抑えることができます。

 この省電力モードの切り替えを行うのが、ネットワークマネジメントです。

ネットワークマネジメント 図10 ネットワークマネジメント(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)
※「動作中」にバスアイドル時間が4〜10秒(LIN1.xでは2万5000ビット)、または「スリープモード」フレーム送受信で「スタンバイ(スリープ)」状態に移行。スリープ中に「ウェイクアップシグナル」フレーム送受信で「初期化」状態に移行。「初期化」状態は100ms以内に動作中に移行
  • スリープモードフレーム(Go-to-Sleepコマンド)
     スリープモードフレームとは、マスタータスク(マスターノード)がスレーブノードにスリープモードへの移行を要求するコマンドです。マスターノードは、マスターリクエストフレーム(フレームID 60)のデータバイトの1バイト目に0x00、2〜8バイトに0xFFを格納して送信します(LIN1.xでは、2〜8バイトに0xFFを格納することは規定されていません)。このフレームを検知したスレーブノードは、通信を停止(スリープモードに移行)します(図11)。
スリープモードフレーム 図11 スリープモードフレーム(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)
※スリープモードフレームはマスタータスク(マスタノード)のみ送信可能
  • ウェイクアップシグナルフレーム
     ウェイクアップシグナルフレームとは、スレーブタスク(マスターノードまたはスレーブノード)が各ノードにウェイクアップモード(初期化/動作中)への移行を要求するシグナルです。ウェイクアップシグナルは、ショートドミナントバスレベルです。ドミナント状態は、0.25〜5msで0xF0バイト(LIN1.xでは、0x80バイト)となります(図12)。

     マスターノードの場合は、Breakフィールドの送信でもウェイクアップモードへの移行を要求できます。
ウェイクアップシグナルフレーム 図12 ウェイクアップシグナルフレーム(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)※ウェイクアップシグナルフレームは、スレーブタスク(マスターノードまたはスレーブノード)から送信可能

ウェイクアップシグナルのタイミング

 ウェイクアップシグナルを送信してもスケジューリングが開始されない(Breakが検出されない)場合、スレーブタスクはウェイクアップ要求を繰り返すことができます。ウェイクアップシグナルの間隔(リセッシブ状態)は、150〜250ms(LIN1.xでは、最大128ビット)です。ウェイクアップシグナルが合計3回送信されてもスケジューリングが開始されない場合、1.5秒(LIN1.xでは、1万5000ビット)以上の休止状態の後に、4回目のウェイクアップシグナル送信が可能になります(図13)。

ウェイクアップシグナルのタイミング 図13 ウェイクアップシグナルのタイミング(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)
※3回目のウェイクアップ送信後もスリープ状態が継続している場合、その後の処理はアプリケーションに依存

 ネットワークマネジメントのタイミングパラメーターは、LINプロトコルバージョンによって異なります。LINプロトコルバージョンごとのタイミングパラメーターをまとめると以下になります(表1)。

LINプロトコルバージョンごとのタイミングパラメーター 表1 LINプロトコルバージョンごとのタイミングパラメーター

 LIN1.xでは、タイミングパラメーターはビット時間(TBit)で定義されています。つまり、LIN1.xでは、通信速度によってタイミングパラメーターが異なります(表2)。

LIN1.xは通信速度によりタイミングパラメーターが異なる 表2 LIN1.xは通信速度によりタイミングパラメーターが異なる

3.LIN記述ファイル(LDF)

 LIN記述ファイルは、LINネットワークを定義する標準形式で、LINの仕様書に規定されています。LIN記述ファイルには通信速度、ノード、フレーム、シグナル、通信スケジュールなどのLIN通信に必要な情報を定義します。

 LIN記述ファイルのフォーマットは、テキストベースとなっておりLINの通信規格と同様、非常に簡易的です。

LIN記述ファイルの例 図14 LIN記述ファイルの例(※画像提供:ベクター・ジャパン)
※ほかに、イベントトリガーフレームやコリジョンリゾルビングスケジュールテーブルなどの定義がある

 LIN記述ファイルは、各開発工程間や自動車メーカーとサプライヤ間の共通インターフェイスとして機能し、非互換性などの問題を軽減できます。またシステムジェネレータによるLIN通信ドライバの生成、解析・シミュレーションツールの設定に使用します。解析・シミュレーションツールでは、スケジュールに従ったヘッダー送信、スケジュールテーブルの切り替え、シグナル単位での解析や値の変更などが簡単に行えます(図15)。このように、LIN記述ファイルを使用することで効率的な開発が可能となります。

LIN記述ファイルによる効率的な開発 図15 LIN記述ファイルによる効率的な開発(※ベクター・ジャパンの資料を基に作成)


 今回は、LINフレームの構造、ネットワークマネジメント、LIN記述ファイルについて説明しました。LINフレームの各フィールドの役割やLINフレームタイプの違い、LIN記述ファイル使用のメリットなど理解いただけましたでしょうか。

 さて次回は、「ステータスマネジメント」「ノードコンフィグレーションと識別」など、LIN2.0、2.1で追加された仕様について解説します。ご期待ください! (次回に続く)

【 筆者紹介 】
倉田 正人(くらた まさと) ベクター・ジャパン株式会社 開発ツール部

ベクター・ジャパンの開発ツール部にて、CAN、LIN、FlexRayなどの車載ネットワークに対応した開発ツールやハードウェア・インターフェイスの提供、サポート業務に従事している。

ベクター・ジャパン
http://www.vector-japan.co.jp/
ベクターLINソリューション
http://www.vector-japan.co.jp/vj_lin_solutions_jp.html


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