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» 2010年11月08日 00時00分 UPDATE

実践! IE:方法改善の技術(8):カイゼン案を効率的に検討するためのチェックリスト (1/3)

カイゼン案を科学的に導くためのチェックリスト法を厳選して紹介。いまある課題に対してチェックリストで問題の本質を見つけてみよう

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,@IT MONOist]

「実践! IE:方法改善の技術」連載目次

第1回:方法改善は「4つのポイント」を見逃さないことがコツ!!

第2回:方法改善の手順:目標の設定と詳細分析

第6回:動作経済の原則1:身体部位の使用についての原則

全9回:連載記事の一覧


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 今回は、「方法改善の技術」の手法でもありますが、効率的に改善を進めるための方法として、最大効果を得るためのチェックリストについて説明します。本稿で紹介するチェックリストでは、実際の改善活動へ具体的に利用できるチェックリスト法を厳選して示しましたので効果的に活用してください。また、本稿で取り上げるチェックリスト法は、ものの見方や考え方を記述したリストでもありますので、作業改善に限らず、あらゆる企業活動でもご活用いただきたいと思います。

チェックリスト法とは

 一般的にとらえられている「チェックリスト」はチェック(照合、確認)するだけの簡単な作業で、必要なデータを集めたりする「現状把握」を目的としたものと、忘れてはならない項目や正しく行われているかの基準を明確にして、その項目を記載したチェックリストによってチェックすることで、重大なミスを防止するための「点検・確認」を目的としたものがあります。この2つの目的が、よく活用されているチェックリストの持つ大きな価値であるといえます。

 しかしながら、「方法改善の技術」の手法としてとらえた「チェックリスト法」は、ある課題に対して考えるべきあらゆる項目を、あらかじめ個条書きにしたチェックリストを用いて、重要な項目を見落とすことなく効率的に解決する案を導き出すという、経験を手掛かりにした発想法として理解すべきでしょう。誰しも改善案を考えるときは、無意識のうちに頭の中で自分の経験に基づくチェックリストによって、あれこれと思考をめぐらしているものです。このチェックリストを具体的に記述して形式化すれば、より一層、アイデア発想の一助となるチェックリストが完成することは容易に想定することができます。「チェックリスト法」は、過去に多くの人たちがこうした試みを行ったものであるともいえます。なお、チェックリスト法の利点と欠点は、以下のとおりです。

チェックリスト法の利点

  • 問題点が複雑であるとき、検討の漏れを防ぐことが可能である
  • 経験の積み重ねを整理していくことで、さらに充実した内容にしていくことができる

チェックリスト法の欠点

  • チェック項目に頼り過ぎると大きな問題を見落としてしまうことがある
  • 必要としない項目までチェックするので、場合によっては時間がかかり過ぎることもある
  • 自分自身で考える力や発想力が低下してしまう恐れがある

1. オズボーンのチェックリスト

 オズボーンのチェックリストは、A. F. オズボーン(Alexander Faickney Osborn)が考案したチェックリストで、最も代表的なチェックリスト法です。


大分類 小分類 チェック項目
(1)排除してみる a 作業をやらなかったら
b 部品や帳票をなくしてみたら
c 手配しなかったら
(2)ほかからのアイデアが借りられないか a 過去に似たものはなかったか
b 何かまねができるものはないか
c どこかで似たものをやってないか
d ほかのアイデアが借用できないか
(3)ほかに使い道はないか a 現在のままで
b 少し変えて
(4)代用したらどうか a ほかのものを代わりに使えないか
b ほかの部品に変更したら
c ほかの工程でやったら
d ほかの原理、動力、機械を使ったら
e ほかの材料にしたら
f ほかの方法にしたら
(5)入れ替えたらどうか a 順序を入れ替えたら
b 要素を入れ替えてみたら
c 原因と結果を入れ替えてみたら
d ほかのレイアウトにしたら
e ほかの形式にしたら
f 日程を変えたら
(6)逆にしたらどうか a 反対にしたら
b 役割を逆にしたら
c 順序を逆にしたら
d 裏返しにしたら
e 上下を逆にしたら
(7)組み合わせたら a 作業を結合(組み合わせ)したら
b アイデアを組み合わせたら
c 目的を組み合わせたら
(8)大きく(拡大)したらどうか a 何か付け加えたら
b 時間をかけたら
c 結合したら
d 長くしたら
e もっと回数を増したら
f ほかの価値を付け加えたら
g 強くしたら
(9)小さく(縮小)したら a 分割したら
b 圧縮したら
c 薄くしたら
d 軽くしたら
e 要素を除外したら
f 何かを取り除いたら
g 低くしたら
h 短くしたら
(10)形、色、運動などを変えたらどうか a 意味、目的を変えたら
b 意味、運動、色、音を変えてみたら
c 形、型式を変えたら

2. 動作経済基本原則のチェックリスト

 前回前々回で、「動作経済の原則」について説明しました。「動作経済の原則」も一種のチェックリストといえますが、それをさらに実作業面へ利用しやすいように具体化したチェックリストです。例えば、「『レイアウトを変えることによって』移動を容易にできないか?」というように自問自答していきます。

 以下は、あくまで、動作経済の原則のチェックリストの一例です。改善目的や分析手法、対象作業によって、適宜に組み合わせ、新たに追加して用いることで、より効果的なチェックリストを作成できます。

大分類 小分類 チェック項目
(1)作業ステップを減らせないか? a いま、行っている作業や動作は不必要なものとして(問:なぜ、それが行われているのか?)
b 新しい装置によって(問:なぜ、現在の装置が用いられているのか?)
c 製品設計を変えることによって(問:なぜ、いまのように設計されたのか?)
d 資材の仕様を変えることによって(問:なぜ、現在の形式で発注されたのか? また、用いられたのか?)
e いくつかの工具を組み合わせることによって
(2)移動を容易にできないか? a レイアウトを変えることによって
b 作業の順序を変えることによって
c コンベアによって
d 1回に扱う量を変えることによって
e 移動を断続的でなく、連続的にすることによって
f 作業を組み合わせることによって
g 重力を利用することによって
h 適当な皿や容器を使用することによって
(3)疲れを少なくできないか? a 身体各部の受け持つ仕事を変えることによって
b 同時に2つのことを行うことによって
c 動作を直線的でなくリズミカルな曲線動作に変えることによって
d 身体各部の行う仕事を互いにバランスさせることによって
e 作業場の色彩や照明を変えることによって
f 温度・湿度および通風を適度に保つことによって
(4)作業をもっと容易にできないか? a 使いやすい工具によって
b 装置や機械設備の制御部や工具の場所を変えることによって
c できるだけ慣性を利用することによって
d 作業台の高さを調整することによって
e 治具や取り付け具を使用することによって
f 工具や装置の操作部の形や位置を変えることによって
g 手作業の量を減らすことによって
h 熟練やコツを必要としない作業へ変更することによって
i 動力利用の工具を使うことによって
(5)機械の多数台持ち(横持ち)や多工程持ち(縦持ち)の組作業の「待ち」を減らしてもっと効率的にできないか? a 自動送り装置によって
b 作業者と機械の時間関係を変えることによって
c 作業者の人数を変更することによって
d 作業者の機械受け持ち台数を変えることによって
e 受け持ち作業を再配分することによって
f 仕事の順序を変えることによって
g 作業順序が無視されていないか
h 1つの作業を長時間にわたって続けてできるように計画されているか
(6)事務をもっと容易にできないか? a そのファイリングの目的は何か、余分なファイルは作るな
b ファイルや資料は項目別に分類せよ
c その帳票の作成目的は何か
d 帳票から転記したり、読み取ったりする情報はすべて必要か、帳票の様式を再検討せよ
e その人が押印しないとすべての書類が進まないということになっていないか(押印者を再検討せよ)
f 余分なチェックをしていないか
g 仕事量の多過ぎる人はいないか
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