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» 2011年04月13日 12時50分 UPDATE

物欲全開! 俺が欲しいものをもっと作ろう(3):また大空を飛びたい! わが青春のグライダー (1/4)

今回は筆者が学生時代に開発したグライダーを40分の1スケールで再現してみた。まずは、古い設計図の確認からだ。

[水野 操/ニコラデザイン・アンド・テクノロジー,@IT MONOist]

「物欲全開!」シリーズも今回で最終回である。前回は、デスク小物を実際にRPで出力させた。ただ、これだけではあまり進歩の後が見られないので、まとめにふさわしいものは何か……、と考えて、19年前に設計したグライダーのビデオと図面をお見せした。あのビデオは筆者がまだアメリカで大学院生をやっていた頃に、教授が組織したグライダーの設計プロジェクトの一員として開発した物の性能を試すために、4分の1スケールで実際に作り飛行実験をしたものだ。

 十数人の大学院生が、1人の教授の元で流体力学、構造計算、制御システムなど自分の専門となった分野を中心にして作業分担を決めて、設計作業を進めていった。私の担当は構造計算(Structural analysis)と操縦系統の設計だった。操縦系統というのは、もちろん操縦桿(そうじゅうかん)やペダルから、エルロン(補助翼)、ラダー(方向舵)、エレベーター(昇降舵)などにつながる計算と設計であった。図1に示しているのは、そのときの図面の一部である。

図1 図1 発掘された19年前のグライダーの図面の一部

 もちろん設計しただけでは本当に飛ぶかどうかは分からない。そこで、まず飛行機が設計通りの性能を出しているのかどうかを調べた。実際のグライダーの4分の1のスケールの模型を作り、それで実験した。

 残念ながら本当に人が乗るフルスケール(1分の1)のグライダーは作っていない。予算の関係もあったが、製造物責任や耐空証明などの問題もあり、フルスケールの製造には至らなかったのだ。

 この設計チームの中に私も含めてパイロットは複数名いたが、グライダーの免許を持っている人間はいなかったので……、フルスケールのグライダーができたところで、このメンツでは飛ばせなかった。

 しかし、この4分の1のサイズでも十分面白い体験ができた。大学にあった風洞には機体が大き過ぎて入らなかったので、どうしたのかというと、スクラップにしたセスナ172型機の胴体の後ろ半分(Tail cone)を縦にトラックの上に置き(このトラックも仲間の一人の物だ)、その上に作成したグライダーを置いて各種測定を行った(図2)。

図2 図2 Tail coneをトラックの上に乗せ、その上にグライダーを置いて測定する

 ちなみに、トラックの上に機体を載せてどこを走ったかというと、デイトナ500などの自動車レースで有名なデイトナ国際スピードウェイ(Daytona International Speedway)だ。筆者が通っていた大学がフロリダ州のデイトナビーチにあったからだが、教授がサーキットに話をつけてくれたことで、走行できたのだ。いずれにしても、これでほぼ設計通りの性能が出ていることが確認できたため、実際に飛行試験を行ったのが、前回紹介したビデオである。

グライダーの設計

 さて、グライダーそのものにまつわる話が長くなり過ぎたので、そろそろグライダーのモデリングに入る。

 取りあえず、筆者の手元にあるのは、古びて黄色くなった図面が数枚と、そのほかの設計のドキュメント(上の図1)である。

 さて、肝心の機体のモデリングだが、前回作ったネコの携帯ホルダーとは違って、自由にできる余地はほとんどない。機体の形状は既に設計時の計算で決められているので、むやみに動かせば、飛行機の性能を変えてしまうし、あるいは飛ばなくなってしまう。たかが模型、とはいっても、ここは厳密に作ってみたい。

 主翼、垂直尾翼、水平尾翼は機首に設定したステーション0と機体の底面に設定したウィングレベル0の位置から機体全体の座標を決めているので、全体のアセンブリと個別パートのアセンブリは、それで合わせれば良い。

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