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» 2011年04月18日 11時38分 UPDATE

Imagine Cup 2011 日本代表チーム決まる:女子力がキラリと光ったImagine Cup 2011 日本大会

マイクロソフトがワールドワイドで展開する学生向けITコンテスト「Imagine Cup」の日本大会が開催され、世界大会に挑戦する日本代表チームが決定した。

[八木沢篤,@IT MONOist]

 日本マイクロソフトは2011年4月17日、マイクロソフトがワールドワイドで展開する学生向けITコンテスト「Imagine Cup」の日本大会(Imagine Cup 2011 日本大会)を開催した。

 前回(2010年)大会と同様に「ソフトウェアデザイン部門」「組み込み開発部門」の2部門を対象に、書類選考を通過したチームがアメリカ・ニューヨークで行われる「Imagine Cup 2011 世界大会」の切符を賭けて激闘を繰り広げた。

 本稿では組み込み開発部門の結果を中心にお届けする。

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Imagine Cup 2011 日本大会

 Imagine Cup 2011 日本大会 組み込み開発部門に出場したのは、東京工業高等専門学校のチーム「coccolo」、京都工芸繊維大学/早稲田大学/大阪市立デザイン教育研究所のチーム「SunDonation」、サレジオ工業高等専門学校のチーム「SP2LC」の3チーム。Imagine Cup 2011で設けられている「ソフトウェアデザイン部門」「組み込み開発部門」「ゲームデザイン部門」「デジタルメディア部門」「ITチャレンジ部門」の5つの競技部門で共通するのは「ITを活用して国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成する」ことだ。このテーマは2009年大会から採用されてきたもので、参加チームは、国連ミレニアム開発目標で掲げられる世界的な8つの社会問題の中から課題を1つないし複数選択し、課題解決に向けたソリューションを(組み込み開発部門は、S/Wプラットフォーム「Windows Embedded Compact 7」、H/Wプラットフォーム「eBox」を用いて)提案しなければならない。

国連ミレニアム開発目標(MDGs) 国連ミレニアム開発目標(MDGs)について

個の力を見事に融合した「SunDonation」が世界大会へ

 今回、日本大会の激闘を制し、組み込み開発部門でニューヨーク世界大会への切符を手にしたのは、チーム「SunDonation」。西脇春名さん(京都工芸繊維大学)、田中天さん(大阪市立デザイン教育研究所)、山本哲也さん(早稲田大学)、神田良輝さん(早稲田大学)の4名からなる学校の垣根を超えた混成チームだ。

 チーム結成のきっかけは、日本マイクロソフトが学生向けに開催するイベント/セミナー(育成活動)への参加。西脇さんと田中さんが意気投合し、Imagine Cupに向けてメンバーを集め、チームを結成したという。デザイン、プレゼン、開発といったそれぞれが得意とする作業を、Skypeで相談し、分業しながら本大会に向けて準備を進めてきたという。

組み込み開発部門でニューヨーク世界大会への切符を手にしたチーム「SunDonation」 組み込み開発部門でニューヨーク世界大会への切符を手にしたチーム「SunDonation」

 彼らは、国連ミレニアム開発目標の中から「開発のためのグローバル・パートナーシップの構築」の達成を選択。カフェやレストランなどに設置することを想定したタッチディスプレイ搭載端末(デジタルサイネージ)による新しい募金システム「SunDonation」を考案した。

SunDonationの仕組み SunDonationの仕組み

 ディスプレイに流れるスポンサー広告を視聴後、募金ボタンをタッチすると、広告スポンサーがその人になり代わってユニセフなどの団体に募金してくれるというビジネスモデルを提案。募金行為(実際にその利用者がお金を出すわけではない)を行った利用者にカフェ店内で使えるWi-Fiスポットのキーをインセンティブとして与えることで、日常生活の中で、無理なく継続的な募金活動および募金者層の拡大などが図れるとし、グローバル・パートナーシップの構築の達成、そして、間接的に残り7つの課題解決を狙う。

SunDonationのデモ SunDonationのデモ

 また、Kinectを用いた顔認証による利用者個人の募金履歴の閲覧、ターゲティング広告の配信などの仕組みも組み込むことが可能だとし、新しい募金の在り方のみならず、広告媒体としての革新性をアピール。加えて、SunDonation設置店舗へのナビゲーションにWindows Phone 7などのスマートフォンを活用することもプレゼンテーションに盛り込んでいた。

Kinectによる顔認証の実現Windows Phone 7への展開 Kinectによる顔認証の実現(左)/Windows Phone 7への展開(右)

 ライフスタイルを変えることなく、継続的に募金活動へ貢献できる仕組みが、国連ミレニアム開発目標の達成のみならず、東日本大震災で復興支援が強く求められる今の日本の実情にもマッチしている点が高く評価され、日本代表の座を勝ち取った。表彰式終了後、西脇さんは「ここがゴールではなく、新しいスタートだと認識している。選ばれたからには世界大会で優勝したい」と力強くコメントしていた。

Imagine Cup常連校が同率2位

 惜しくも敗れた東京工業高等専門学校のチーム「coccolo」、サレジオ工業高等専門学校のチーム「SP2LC」は審査の結果、同率2位となった。

 2大会連続で世界大会に導いた松林勝志氏(メンター)率いる東京工業高等専門学校は、今回メンバーおよびソリューションを一新、LED信号機の可視光を利用してエンジン停止を行い最適なアイドリングストップを実現する可視光通信ソリューションを提案。信号機、バギーカーを持ち込んでの大掛かりなデモを実演し、「環境の持続可能性の確保」「開発のためのグローバル・パートナーシップの構築」の達成に挑んだ。

デモで用いた信号機デモで用いたバギーカー LED信号機の可視光を利用してエンジン停止/再始動をデモ(東京工業高等専門学校)

 一方のサレジオ工業高等専門学校は、昨年(2010年)の日本大会で披露した、移動型選挙システム「DeSK」をブラッシュアップし再挑戦した。発展途上国が抱えるさまざまな問題を根本的に解決するためには、“政府が安定している必要がある”とし、山岳地域の人口密度が高い東ティモールをモデルケースに、“選挙に行くから、選挙が来るへ”をコンセプトにした新しい選挙システムを考案した。

DeSKの構成投票画面 RFIDを利用することで不正投票を防止するといった仕組みが盛り込まれていた(サレジオ工業高等専門学校)

 Imagine Cup常連校だけあって両校ともにプレゼン・デモの完成度は非常に高く、安定感が抜群であったが、残念ながらアイデアの革新性やビジネスとしての実現可能で一歩及ばず、優勝をものにできなかった。

 今大会で特に印象的だったのは、女性メンバーの活躍だ。優勝したSunDonationの西脇さんと田中さんはもちろんのこと、惜しくも2位となったcoccoloの大川水緒さん、田畑愛実さんのプレゼンは繰り返し練習してきた成果が見て取れ、非常に完成度が高かった。



 なお、同時開催されたソフトウェアデザイン部門 日本大会は、携帯電話の普及が進むアフリカをモデルケースに、医師不足や病院へのアクセスが困難な地域に対して、SMSを利用した簡易総合診療および医療クラウドを用いた地域住民による自律的解決を支援する「Dr.One」を提案した同志社大学のチーム「MI3(エムアイスリー)」が世界大会への切符を手にした。

集合写真 表彰式終了後の集合写真

 今回、日本代表となった両チームは、7月の世界大会本番まで日本マイクロソフトの全面協力の下、英語、プレゼン、技術といったさまざまな面での教育支援を受け、世界大会の表彰台を目指し準備を進めることとなる。

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