組込み機器の可能性を無限に引き出すグラフィックスLSI「AG10」組込み機器向けグラフィックス技術 最前線

アミューズメント機器向けグラフィックスLSIで圧倒的なシェアを誇るアクセルは、これまで培ってきた画像処理技術とノウハウを昇華させた組込み機器向けグラフィックスLSI「AG10」を手掛け、組込み市場へ攻勢を掛ける。

» 2011年05月09日 10時00分 公開
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“国産”組込み機器向けグラフィックスLSI「AG10」

 アクセルはこれまで、汎用の組込みプロセッサを搭載した機器向けのグラフィックスLSI「AG-9」シリーズを展開してきたが、PCアーキテクチャを採用した組込み機器の台頭を受け、IA(インテルアーキテクチャ)ベースのプロセッサ/チップセット+Windows/Linuxで構成されるシステムとの利用を前提とした、新しいグラフィックスLSI「AG10」を開発、組込み市場での展開を強化する。

組込み機器向けグラフィックスLSI「AG10」 画像1 組込み機器向けグラフィックスLSI「AG10」。4チャネルのLVDS、1チャネルのアナログ/デジタルRGB出力を備え、最大4チャネル同時に映像信号を出力できる「マルチディスプレイ機能」を備える

 AG10は、ヒートシンクレスを実現した超低消費電力、高性能グラフィックス処理を可能にするグラフィックスLSIで、PCI Express(×1または×4)接続に対応し、最大4台のディスプレイそれぞれに対し、異なるコンテンツを同時に出力できる「マルチディスプレイ機能」を備える。チップセット内蔵のグラフィックスエンジンを利用した場合、最大2画面の出力が限界であったが、AG10を使えば低消費電力を維持しつつ、最大6画面(チップセットの2チャネル含め)での多画面表示が可能となる。

 また、AG10は国内半導体メーカー工場で製造されており、組込み機器に求められる高信頼性・長期供給をサポートするほか、「VRAMを搭載したSiP(System in Package)を採用しているため、RAMの供給に対する不安を解消し、同時に基板上のスペースファクタの向上も図れる」(アクセル岸本氏)といった製品開発面での配慮がなされている。

アクセル 岸本貴臣氏 画像2 アクセル 営業グループ マネージャー 岸本貴臣氏

 AG10のターゲットは、日本国内で7年以上の長期供給が求められる組込み機器。具体的には、POSシステム、ATM端末、計測機器、医療機器、パネルコンピュータ、KIOSK端末、デジタルサイネージなどだ。

 こうした機器に対し、一般的な海外のPC系グラフィックスチップを採用するケースもあるが、ほとんどの場合、Video BIOSやドライバのカスタマイズなどの保守サポートが不十分で、開発初期段階での足かせになってしまうことがよくある。また、長期供給の対応も難しいといわれる。岸本氏は「こうした面からも、“国産”グラフィックスLSIベンダーとしての価値が発揮される」と自信を見せる。


 実際、アクセルではVideo BIOS、ドライバのみならず、VESA規格外の異型ディスプレイにも対応できるVideo BIOS編集ツール「BIOS Editor」やGUIを簡単に作成できるオーサリングツール「eUI」といったソフトウェア開発環境も全てフルスクラッチで自社開発している。国内製造、長期供給保証、完全自社開発のVideo BIOS/ドライバ/開発ツール類、そして、国内でサポートを受けられるという“安心感”を提供できる組込み機器向けグラフィックスLSIベンダーは、アクセルのほかにないだろう。

Video BIOS編集ツール「BIOS Editor」オーサリングツール「eUI」 画像3(左) Video BIOS編集ツール「BIOS Editor」/画像4(右) オーサリングツール「eUI」の画面

可能性は無限大 〜パートナーとともにAG10の利用イメージを提案〜

 アクセルはAG10の普及とともに、最大の特長である多画面表示を生かした新たな組込み機器の創出を促すための取組みをインテル、オムロンなどのパートナー企業とともに進めている。

※以降、インテル マーケティング本部 エンベデッド&ストレージ製品・マーケティング プロダクト・マーケティング・エンジニア 廣田洋一氏、オムロン 電子機器事業本部 企画室 主査 木下誠氏を交えた対談をお届けする。


(左から)インテル廣田氏、アクセル岸本氏、オムロン木下氏 画像5 (左から)インテル廣田氏、アクセル岸本氏、オムロン木下氏

多画面表示のニーズとAG10の可能性

アクセル岸本氏 多画面の活用で一番身近な例がPOSシステムやデジタルサイネージだろう。既に3画面以上を搭載したものが出始めている。また、同じ3画面のケースでは、空港の搭乗口に自動改札機が実際に導入されている。AG10は、VESA規格以外の縦長・横長ディスプレイなどにも簡単に対応できるので、従来のディスプレイ形状にとらわれないさまざまな可能性が考えられる。

インテル廣田氏 デジタルサイネージを例に挙げると、複数のディスプレイにそれぞれ独立したコンテンツを表示させたり、複数のディスプレイを組み合わせて1つの大型デジタルサイネージとして利用するといったケースも考えられる。AG10のマルチディスプレイ機能であれば最大6画面(チップセットの2チャネル含め)を組み合わせられる。発想次第で自由度が無限に広がる、非常に特色のあるチップといえる。

アクセル岸本氏 1つの可能性として、今後、デジタルサイネージだけでなく、ディスプレイを搭載したあらゆる機器で広告コンテンツが配信されていくと考えられる。例えば、KIOSK端末のように現状1つの画面で構成される機器でも、処理を待っている間に広告を表示するといったケースが出てくる。こうした利用を考えたとき、必ず多画面のニーズが生まれる。AG10であれば、組込み機器における画面数の要求とグラフィックス性能への要求を総合的にカバーできる。

オムロン木下氏 多画面表示を複数の機器で実現することも可能だが、保守メンテナンスの面から見ても現実的ではない。高いグラフィックス性能とシステム全体のパフォーマンスを引き出すCPUを備えた1台の機器で実現することが必要だろう。

PCアーキテクチャとの組み合わせによる開発のしやすさ

インテル廣田氏 これまでにない特長を持ったアクセルのAG10とシステム全体の性能を引き出すインテルの組込み向けCPUをうまく組み合わせ、1つのボード(システム)として作り上げるメーカーの存在も重要になってくる。そして、何より“開発のしやすさ”がなければ、多画面の新たな活用、新たな組込み機器の創出は難しい。

オムロン木下氏 オムロンでは、アクセルと共同で多画面制御を必要とするアプリケーション向けプラットフォーム「Frantio AX(フランティオAX)」を開発した。COM ExpressタイプのCPUモジュールと、AG10が搭載されたI/Oキャリアボードで構成されているため、用途に応じてインテル Core i7/i5、Celeron、AtomプロセッサーなどからCPUを自由に選択することが可能だ。このモジュール化により、開発期間、製品化までのリードタイムの短縮に貢献できる。

「Frantio AX」 画像6 アクセルとオムロンが共同開発した開発プラットフォーム「Frantio AX」

インテル廣田氏 システム全体で見た場合、ソフトウェア開発もハードウェア開発と同様に、いかに早く・低コストで作れるかが重要となる。組込み分野でもIAで動作するソフトウェアが数多く存在する。こうした既存資産を有効活用しながら新規機能だけを開発するといったやり方ができるのもIAだからこそ。

“例えばこうなる”を可視化することで、アイデアの創出を促す

オムロン木下氏 先に開催された「第1回 メディカル フォトニクスEXPO」では、Frantio AXを用い、レントゲン、電子カルテ、院内情報、医師のデスクトップ画面などの表示を1台の機器で実現する医療分野向けのコンセプトモデルをアクセルと共同で開発した。われわれは単にボードを販売するだけではなく、さまざまな要素技術、例えば、オムロンが得意とする顔認識などの“センシング技術”と融合させることで、多画面の新しい活用方法を提案していきたい。

Frantio AXを用いた医療分野向け多画面表示コンセプト 画像7 Frantio AXを用いた医療分野向け多画面表示コンセプト

アクセル岸本氏 アクセルはこれまでも「組込みシステム開発技術展(ESEC)」や「組込み総合技術展(ET)」などを通じ、さまざまなコンセプトモデルを開発し展示してきた。LSIを開発するだけではなく、具体的に目に見えるもの、“例えばこうなる”という方向性をわれわれ自身が提示し、新しいアイデアを創出するヒントを提供することが大切だと考えている。

 アクセルは、2011年5月に開催される「ESEC 2011」において、AG10やFrantio AXを用いた多画面表示ソリューションを展示予定だ。また、11月開催予定の「ET 2011」では“デジタルサイネージ”をキーワードにした新しいコンセプトモデルをお披露目する計画だという。



 PCアーキテクチャを採用した組込み機器の増加、多画面表示へのニーズを追い風に、グラフィックスで組込み機器の新たな可能性を切り開く国産グラフィックスLSIベンダー アクセル。既に、新たなセグメントにリーチする次期製品「AG11」の開発も進めており、引き続きアクセルの動向から目が離せない。

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 AG10 は、Intel製の組み込み機器向けチップセットに対応したグラフィックスLSI。最大4画面出力、VRAM内蔵、低消費電力駆動を実現。多画面制御によるハイパフォーマンスを実現しながらも、ファンやヒートシンク不要の基板設計を可能とし、システムコストの低減に貢献。64MBの大容量VRAMをSiPで内蔵しているため、内部バスによる高速データ転送を実現しながらVRAMの調達やロジック部との相性問題などの問題を解決する。

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 AG902は、組み込み用マイコンと組み合わせ、CPU負荷を最小化しながら最大SXGAの高解像度出力を実現するグラフィックスLSI。車載端末をはじめ、医療機器、計測器、デジタルサイネージなど高精細な表示が要求される機器において高いパフォーマンスを発揮。またビデオキャプチャ機能を搭載し、リアルタイム性の高い表示制御や監視用途などにも応用できる。独自の画像圧縮伸張エンジン搭載により、キャプチャした映像を外部ROMへ保存することが可能。 CPUバスI/Fは、16bitに加えて32bitにも対応。多様なCPUとの組み合わせによる自由度の向上に貢献。

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提供:株式会社アクセル
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年6月8日

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イベント情報

2011年5月11日〜13日開催。株式会社アクセルは、ESEC2011に出展致します。自社製品「AG10」やオムロン社製「Frantio-AX」を用いた多画面表示ソリューションを展示予定です。

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