日本HPとベリサーブ、組み込みソフトウェアの品質管理分野で協業製品開発サイクル全体のリスク低減とコスト削減に貢献

日本ヒューレット・パッカードとベリサーブは、組み込みソフトウェア分野における品質管理やトレーサビリティを強化することを目的に販売・サービス提供の協業に合意したことを発表した。

» 2011年05月18日 14時30分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)とベリサーブは2011年5月18日、組み込みソフトウェア分野における品質管理やトレーサビリティを強化することを目的にした販売・サービス提供の協業に合意したことを発表した。

 ソフトウェア開発の第三者検証サービスを手掛けるベリサーブの品質管理ノウハウと、日本HPの品質管理ソフトウェア製品群「HP Application Lifecycle Management 11(以下、ALM 11)」を組み合わせ、テストプロセスの企画から運用までのサービスを提供することで、高品質、高いトレーサビリティを実現し、製品開発サイクル全体のリスク低減とコスト削減に貢献するという。

 近年の組み込みソフトウェア開発は高品質要求に加え、多機能・高機能化が進み、開発規模が年々増大している。また、その一方で価格競争力を維持するために、開発のオフショア化が進み、品質の維持・確保が困難な状況になりつつある。こうした状況に対し、日本HPでは、計画から廃棄までソフトウェアライフサイクルの品質管理を一貫して実現するALM 11を中核とした「ALMソリューションズ」を提供。「テスト要件」「テストの実行」「不具合」を単一のプラットフォームで管理でき、開発者、品質管理チーム、業務分析担当者などのステークホルダー間の情報共有が容易になり、オフショアなどグローバルな分散開発環境下での効率的な品質管理を可能にするという。

 一方、早くから検証の標準化に着目し、第三者検証サービスを展開してきたベリサーブは、組み込みソフトウェア分野に対してシステム検証サービスを提供している。同社は今後、グローバル化・大規模化し、テストマネジメントの重要性が増す組み込みソフトウェア開発において、持続可能な形で製品開発段階のアカウンタビリティやトレーサビリティの確保ができるようサービス強化を図り、第三者検証サービスとしての新たな拡大を目指すという。

 今回の協業では、企業情報システム分野で実績のある日本HPのALMソリューションズとベリサーブの組み込みソフトウェア分野における検証サービスを連携させ、組み込みソフトウェア開発に関わる企業に対して、オフショア環境におけるテストカバレッジや不具合情報の共有を可能にするとともに、優れた品質管理、迅速な開発や高度なトレーサビリティを提供するとしている。なお、具体的なサービス(表1)については、ベリサーブから提供される。

フェーズ サービス名称 サービス内容
企画フェーズ テストプロセス改善サービス テスト管理プロセスなどの現状把握ならびにトレーサビリティ構築のためのフェーズ選定マイルストーンの設定
導入フェーズ ALM 11導入支援サービス 日本HPのALM 11の導入支援
テストプロセス連携サービス ALM 11をテストプロセス管理に活用しながら、テストフェーズでのデータ活用するサービス
運用フェーズ 運用支援サービス 継続的に運用していくためのサービス
教育サービス ツール運用を定着させるための教育サービス
プロジェクト展開支援サービス 他プロジェクトへ展開する場合の導入支援
表1 提供予定のサービスメニュー

 さらにベリサーブでは、昨今、重要視されている「機能安全」において、ソフトウェア開発におけるトレーサビリティを高めるとともに、制定が予定されている自動車関連の規格「ISO 26262」などへの対応を進めていく考えだという。また、テストマネジメントツールの導入を検討する企業に対して、導入から運用まで全てのフェーズを支援し、テスト管理体制の迅速な構築を実現するとともに、従来提供している各種システム検証サービスと組み合わせることにより、導入企業におけるテスト効率の向上を支援するとのこと。

 さらに、HPの製品サポート網を活用することにより、オフショアでソフトウェア開発している企業などにもサービス提供が可能になるため、テスト管理をはじめとした製品開発サイクルの進ちょく管理などに問題意識を持った世界展開する企業に対して、一括管理によるコスト削減などの支援サービスを展開していくという。


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