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» 2011年06月30日 07時00分 UPDATE

スマートグリッド:太陽光発電市場がアジアや米国にシフト、欧州の電力買い取り価格引き下げによる (1/2)

太陽電池の価格は、生産規模が2倍になるごとに約2割下がることが分かっている。このため各国政府は、太陽光発電の発電コストが家庭用電力並みの発電コストに下がるまで、電力の固定価格買い取り制度などをテコに、普及を後押ししている。市場規模が大きいドイツとスペインは太陽光発電市場の過熱を抑えるため、買い取り価格を引き下げた。この影響が他地域の市場拡大につながる。

[Julien Happich,EE Times Europe]

 各国政府の太陽光発電政策が変化するなか、2011年の太陽光発電(PV)市場の規模や成長率、顧客セグメントに大きな変動が起こっているという。太陽光発電市場を専門とする米国のコンサルティング会社Solarbuzzが『Regional Downstream PV Market』と題する3件の報告書で詳しく分析した結果分かったことだ。

 同報告書によると、とりわけ、欧州の太陽光発電市場を主導するドイツとイタリア*1)で、2010年1月1日から2011年7月1日にかけて固定価格買い取り制度(FIT:Feed-In Tariff)の改正が進み、電力買い取り価格を最大1/3削減した影響が大きい。

*1)編注:国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のPhotovoltaic Power Systems Programmeが公開する「Trends Report 2009」によれば、2008年時点の太陽光発電の累積導入量は13.4GWであり、そのうち欧州が71%、日本が16%を占める。欧州内のシェアはドイツが40%、スペインが25%である。

制度改正でドイツの需要が激減

 買い取り価格の引き下げによって、世界最大の太陽光発電市場であるドイツでは、2011年第1四半期の需要が2010年第1四半期の半分以下に減ってしまった。さらに、2009年から2010年にかけて170%の成長率を記録した欧州全体の年間需要も、2011年には横ばいになると予測される。

 政策調整によって、農地に設置する大規模システムの需要が特に減った。居住/商業施設の屋根に設置するシステムは、(FIT制度の改正後も)2011年上期の投資収益が見込めたにもかかわらず、太陽電池の価格低下に対するエンドユーザーの反応は、現時点(2011年6月)まで鈍い。

2015年には欧州以外の地域が台頭

 Solarbuzzは、2011年の世界市場における欧州のシェア(以下、需要ベース)を65%と予想した。2010年の82%と比べるとかなり低下する。一方、米国のシェアは2010年の5%から2011年には9%に高まる。日本と中国がけん引するアジア太平洋市場は世界5大市場の1つだ。同市場は、2010年の11%から2011年には16%にシェアを拡大する見込みだ。

ALT 図1 太陽光発電市場に占める各地域の割合 2010の実績値(左)と2015年の予想値を示した。欧州のシェアが81%から53%に低下する一方、アジア太平洋地域が11%から26%に膨らむ。ROWとあるのはその他の地域。出典:Solarbuzz Regional Downstream PV Market

 報告書によれば、アジア太平洋市場のシェアは今後も確実に増え続け、2015年には少なくとも26%に上ると予測できる。米国もシェアを伸ばし、2015年には16%に達するだろう。低迷する欧州市場に対し、米国、中国、インドの太陽光発電システムの総設置容量は現時点で25GWに達している(図1)。

 Solarbuzzのプレジデントであるクレイグ・スティーヴンス(Craig Stevens)氏は、「これらの国々では、太陽光発電のプロジェクト展開が盛んだ。太陽光発電システムの設置を進めるには、まずは多彩な奨励金制度を用意する必要がある。だがそれには、当局による助成制度の創設や認可に関する問題など、さまざまな課題を解決しなければならない」と述べている。

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