太陽電池の製造規格をSEMIが発表スマートグリッド

Si太陽電池にはSi(シリコン)が必要不可欠だ。Si精製時にはさまざまな化学物質を利用し、得られるSiインゴットの品質もさまざまである。太陽電池の製造量が飛躍的に増すにつれて、標準的な製造規格が必要になった。

» 2011年07月29日 19時00分 公開
[Nicolas Mokhoff,EE Times]

 半導体関連の業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)は、太陽電池の製造に関する最新の規格「SEMI PV17-0611」を発表した。この規格が追加されたことで、太陽電池に関するSEMIの規格は全部で17になった。SEMIはこの他にも、太陽電池に関する25以上の規格の策定に向けた取り組みを進めているという。

 SEMI PV17-0611は、Si(シリコン)インゴットの製造*1)に使用する原材料について規定している。

*1)編注 多結晶シリコンの製造ステップを単純化すると、(1)珪石や珪砂から、二酸化ケイ素を得、(2)その後、炭素を使い高温で還元して純度99%の金属グレードリシコンを得る。(3)その後、塩化水素と反応させることでトリクロロシランを得、不純物である鉄やアルミニウムを塩化物として除去する。(4)最後にトリクロロシランを高温下で水素を使って還元し、多結晶シリコンを得る。

 個々の材料の仕様を4つのカテゴリに分類することで、成長の著しい太陽電池市場で役立つ、明確に定義された規格となっているという。同規格には太陽電池に関する用語も定義されており、これによって、サプライヤとユーザーの間に生じる理解の相違を最小限に抑えることができる。また、原材料の品質のばらつきを抑制するのにも役立つ。

インゴット以外も定義

 同規格は、化学的気相成長(CVD)法や冶金精錬法などで製造した押しバージンシリコン材料についても定義している。

 CVD処理には、シーメンス法や流動床法、粉末法など、蒸留精製したSiH4(シラン)やハロゲン元素を含むハロシラン化合物を使った処理も含まれる。これらのSi材料は、太陽電池向けのSiウエハーを製造するための、単結晶Siインゴットの成長やキャスティング、多結晶Siの成長などに使われる。

 多結晶シリコン/セルのメーカーは、原材料の注文に応じて、化学薬品(ドナー)の濃度や形状(チャンク/ロッド/ブリック)、パッケージングの特性など指定する。SEMI PV17-0611には、こうした特性を評価する試験方法のリストも掲載されている。

 2007年以降、太陽電池の20を超える業界団体から400人以上の技術者がSEMIの太陽電池規格の策定に参加してきた。これらの規格は、部品や材料のほか、結晶セルやモジュール、薄膜の製造プロセスで実施する試験の方法などを規定している。

 太陽電池の原材料市場に参入する企業の増加に伴い、さまざまな品質の材料が市場に出回るようになった。SEMI PV17-0611が策定された背景には、こうした事情を受け、サプライヤとエンドユーザーの双方が原材料の仕様や、材料の品質や性能の違いが太陽電池製品に与える影響について共通理解を築くための取り組みが必要となったことがある。

【翻訳 滝本麻貴、編集 EE Times Japan】


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