複数次元の公差積み上げはとても疲れるよ公差解析 実践の基本(1)(4/4 ページ)

» 2011年08月03日 16時00分 公開
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ノン! ノンノーンッ!! ユー、ここで赤字でチェックしたのは、何に関係する寸法ナノ?


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このピンが付いた部品のピンと、ボックスの穴に関係する寸法だよ……。だってぶつかってるんでしょ……。


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ぶつかるのは確かに「ピンとボックスの位置のズレ」によって生じる現象ダネ。デモー、もうちょっとだけ問題を理解してからチェックした方がいいんじゃないカナ?


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もう疲れたよ、おじさん……。


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ヘイッ! 頑張るノYO。この風あげるから!! ブーン!


 おじさんは頭の帽子の扇風機の風をアズーに向け、励ますのでした。ついでに、ホノさんの多くない頭髪もそよいでいます。

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何とか復活ぅ〜。ホノさんの毛は和むなぁ……。


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んー?


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よしよし……。じゃあみんなでやりましょ。まず「ぶつかる」ってのはさっきおじさんが言ったように位置ピンと穴の位置がズレているから起こっているのよね。ということは、「あんなとき」や「こんなとき」に起こるわけね(図11)。


ALT 図11 ぶつかってる!
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ぶつかる場所もそれぞれだな。


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ということは、関連する寸法もちょっと違ってくるんじゃないかな? 例えばX軸とY軸、みたいなのぅ。


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そうだね。じゃあもう一度……。寸法の横にX、Yって書いてそれぞれ関係するところにチェックを付けていくね(図12)。


ALTALT
ALTALT
ALT 図12 寸法にX軸、Y軸の情報を追加:今回は関連するであろう寸法のみ記載しています
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寸法にもそれぞれ成分があるんだから、計算の結果にも成分がないと、どの寸法を足したらいいのかよく分からなくなっちゃうね……。


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イエス! 手計算するなら、方向は決めておいた方が楽なのネ〜。


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本当だのぅ。気付かないと、おかしな結果が出てきてしまうねぇ。


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ちょっとここら辺で一息入れない?


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お、そうだね。ガリクソン君ならうちの売店にも売っているから、みんなで買いにいこうかねぇ。


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さんせーい! 大賛成! ガリクソン君を食べてから係数は計算することにしよう!


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この夏のガリクソン君パワーは計り知れないな……。


 「おじさんも一緒にどお?」と、アズーが振り返ると、「ガリクソン君」を名乗ったおじさんの姿はありませんでした。

ここまでのおさらい

 さて、今回はより現実に近い公差解析をお届けするべく、サブラック風の部品を使ったお題を作りました。これまでは1次元、2次元+αの公差積み上げの問題でしたが、今回は3次元の空間内に関連する寸法がちりばめられています。

 ホノさんは「こいつはぶつかっているなぁ……」と言っていますが、これは「ボックスの穴とピン付き部品のピンが干渉している」ということになります。干渉にも方向があり、公差解析を行う場合も、その方向に対して積み上げる寸法が変わってきます。

 今回、アズーたちはX方向とY方向という2成分で計算をすることにしました。皆さんも図13のようなケースで「こういう成分は?」という疑問があるかもしれません。

ALT 図13 こういう成分は?

 まずはX成分とY成分の合成成分として考えてみましょう(正確には実際の公差域とは少し違いがあります)。それでも特定の成分での干渉が見受けられる場合は(係数の算出が大変になってしまいますが)、ロックオンして計算するのもいいでしょう。

 次回は係数を出して、次のステップに進んでいきます。3次元の公差解析は大変ですが、頑張りましょう!(次回へ続く

⇒連載バックナンバーはこちら

⇒前回シリーズ「公差解析 基本中の基本」はこちら

Profile

岡田 あづみ(おかだ あづみ)

1978年生まれ。大学を卒業後、自動車部品メーカーに入社。生産技術の現場で公差解析に出会い、その後サイバネットシステム(株)に入社。現在は3次元公差マネジメントツール、「CETOL6σ」のアプリケーションエンジニアとして企業での公差解析の導入に携わる。



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