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» 2011年09月07日 10時00分 UPDATE

ECU統合テストの効率化とコスト削減:“厳密なECUテスト”を実現するベクターの自動テストソリューション

――ECU(Electronic Control Unit)を徹底的にテストするには、車載ネットワークだけでなく、アクチュエーターやセンサー、バッテリーなど、全てのI/Oインタフェースについても検証する必要がある。車載ネットワーク設計・開発ツールや車載向けの組み込みソフトウェアなどを手掛けるベクター・ジャパン(以下、ベクター)は、従来のECUテストの課題を解決し、テストの自動化による品質向上と工数削減を実現する“ECU統合テストソリューション”を提供する。

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ECU統合テストの現状と課題

自動車業界におけるECUテスト

 自動車開発における高機能・多機能化への要求はとどまることを知らない。自動車に搭載される電子部品やECUの数、そして、搭載されるソフトウェアの規模が増大し、その複雑性は増すばかりだ。

 その一方、自動車開発では、高信頼性・安全性の実現も達成しなければならない。どんなにECU開発の複雑さが増そうとも、“安心・安全”を提供し続けなければならないのが自動車を開発する者の使命である。万が一、ECUの不具合が原因でリコールが発生してしまうと……、その損害は計り知れず、“信頼”という大きな財産を失いかねない。

丹野清嗣氏 ECUテストの重要性と課題について語るベクター・ジャパン 開発ツール部 チームリーダー 丹野清嗣氏

 そのため、自動車開発の現場では、ECUのテストに多くの工数を費やしている。ここでいうテストとは出荷前の最終テストだけを指しているわけではなく、各製造工程の最終段階で実施されるテストを指す。「もし、前工程のテストが不十分で不具合を残していた場合、その手戻り作業に要する工数は開発工程の後になればなるほど、指数関数的に膨れ上がってしまう」(ベクター・ジャパン 開発ツール部 チームリーダー 丹野清嗣氏)。しかも、そのテストも正常な状態だけを検証するわけではなく、断線や短絡、通信エラーといった異常系のテストも実施し、ECUが仕様通りに振る舞うかどうかを検証しなければならない……。結果、テスト項目も膨大となり、作業者の負荷とその工数は相当なものとなる。

 ECUの増加によるシステム全体の複雑化、そして、正常系だけでなく異常系をも厳密に検証しなければならないというテストの複雑化が進む中、ECUテストに掛かる工数をいかに削減し、品質を維持・向上させていくかが、自動車業界における大きな課題といえる。

ECUテストの自動化への動き

 互いに協調しながら複雑で高度な制御を実現するECUをいかにして効率良くテストするか。そして、コストを削減しつつ、品質を維持・向上させるか。

――その答えとして注目されているのが「テストの自動化」である。

 従来の“手動によるテスト”では、自然言語で書かれたテスト仕様書を作業担当者が目視で確認しながらテストを実行・検証し、その結果をレポートとして作成していた。当然ながら、抜け・漏れのような人的ミスという作業リスクもあるし、同じテスト項目であっても作業者の熟練度(スキル)により結果にバラつきが生じてしまう可能性もある。さらに、実施するテスト項目とそれらの組み合わせは、ECUの高機能・多機能化により膨大となるため、手動でテストを実施できる範囲はリソース的にも限られてしまう。

 これに対し、テストの自動化であれば、テストケースを基に、文字通りテストを自動実行して、ECUの振る舞いが仕様書通りであるかどうかを判定し、結果をレポートとして自動生成してくれる。このような理想的なテストの自動化が実現できれば、「従来できなかったような項目や組み合わせに対してもテストを実施することが可能になり、これまで以上に品質を保証できるようになる」(丹野氏)。また、人的ミスやテスト作業自体のバラつきがなくなるのは当然ながら、最初に環境さえ構築してしまえば、以降の繰り返しテストやプログラムの変更に伴う再テストなどのスピードが劇的に向上するため、大幅な工数削減も見込める。

 ECU開発では、一般的な組み込みシステムよりもテスト項目が格段に多いため、品質の維持・向上および工数削減を目指すには、テストの自動化は避けて通れないだろう。

ベクターが提案する“ECU統合テスト”のアプローチ

 ECUテストの自動化への要求にいち早く応えるべく、ベクターでは車載ネットワーク(CAN、LIN、MOST、FlexRay、J1587)とECUの開発、テスト、シミュレーションを行うためのツール「CANoe」を提供。CANoeの「テスト機能」により、CANをはじめとする車載ネットワーク通信のテストの自動化を可能にし、多くの実績・成果を上げている。

 例えば、自動車のメーター開発・製造を手掛ける日本精機では、このCANoeテスト機能を導入し、ECUのCAN通信に関連するテストの自動化を実施、大幅なテスト工数の削減に成功している。「これまで手作業で“約11時間”も要していた非常に負荷の掛かるテスト項目が、およそ“4分”に短縮された」(丹野氏)というから驚きだ。このケースからも、テストの自動化が作業効率に与えるインパクトがいかに大きいかがうかがえる。

 このCANoeテスト機能を使用することで、自動車の神経といえるECUのネットワーク通信制御のテストの自動化を実現できる。しかし、実際のECUには、車載ネットワークバスの他にも、アクチュエーターやセンサー、バッテリーなどもつながっており、「ECU統合テスト、つまり、“ECUの統合的な振る舞いをテストする”という意味では、CAN通信といった車載ネットワーク部分だけでなく、ECUに接続されているあらゆるI/Oインタフェースを検証しなければならない」(丹野氏)。

 ベクターでは、この“厳密なECU統合テスト”を実現すべく、CANoeテスト機能と連携し、ECUにつながっている車載ネットワークバス、バッテリー、センサー、アクチュエーターなどのあらゆるI/O、およびECU部品のエミュレーション機能を実現する「VTシステム」と呼ばれるECUテスト用のモジュラー式ハードウェアを提供する。

CANoeテスト機能+VTシステムの概念図 CANoeテスト機能+VTシステムの概念図

 このVTシステムは、CANoeとセットで使うことを前提として設計された専用ハードウェアで、リレースイッチ、信号処理、各種I/Oコネクタ、テスト機能、コントローラーなど必要な全ての装置を統合し、モジュール構成を採用することで煩雑になりやすい配線を最小限に抑えられるよう工夫されている。また、テスト専用のさまざまな機能ブロック、車載ECUテスト用の電気特性(電圧レンジ±32V、16Aの高電流)にも対応している。「このVTシステムは、広く使われているCANoeとの組み合わせを前提とした製品であるため、ツール同士の親和性が非常に高い。VTシステムのI/O信号へのアクセスは全てCANoe上の変数経由で行え、VTシステム側の細かなパラメータなどは全てCANoeのGUI画面で容易に設定できる」(丹野氏)。

VTシステム VTシステム(19インチラック用のバックプレーンにより、1ケース当たり最大12枚のモジュールを搭載)

 さらに、VTシステムに格納するモジュールの種類や数は、ユーザーのテスト要件に合わせて自由に組み替えることが可能だ。モジュールの種類としては、ECUからのアクチュエーター出力に使う負荷・計測モジュール「VT1004」やECUへのセンサー入力に使うスティムレーション(刺激)モジュール「VT2004」の他、デジタルI/Oモジュール「VT2516」および電源制御モジュール「VT7001」、ネットワークインタフェースモジュール「VT6104」、リアルタイムPCモジュール「VT6010」「VT6050」などがある。これらモジュールからテスト要件に合ったものを選択し、VTシステムのスロットに差し込むだけで、オリジナルのテスト環境を容易に構築することができる。

VTシステムのモジュール VTシステムのモジュール。画像は、負荷・計測モジュール「VT1004」(左)とスティムレーション(刺激)モジュール「VT2004」(右)

 CANoeと、CANoe用に設計されたVTシステム。この2つさえあれば非常に手軽にECU統合テスト環境を構築できる。しかも、車載ネットワークのテストまでも含めたECUの統合テスト環境を、CANoeを中心とした単一の環境で容易に構築できるのは、ベクターならではのユニークさであり、一番の強みといえる。「既にCANoeを使っている場合であれば、VTシステムを導入するだけで、車載ネットワーク通信を含めたECUの自動テスト環境が実現できてしまう。これまで使っていた環境をそのまま継続利用できるので、ゼロから作り上げるよりもはるかに早くテスト環境を構築できる」(丹野氏)。

CANoeテスト機能+VTシステムの優位性

 ECUは可能な限り“実車と同等の環境”でテストを行う必要があるため、高度で大規模なテスト環境が用いられることがある。しかし、大規模なテスト環境を構築するには多くの手間とコストが掛かり、使いこなせる作業者も限られてしまうため、非常にハードルの高いものといえる。また、統合的なテストには異なったメーカーの複数のツールや計測器を組み合わせて利用することがあるが、それらのつなぎこみや時間同期をどうするかなどの親和性の問題で悩まされることがよくある。

 これに対し、CANoeとモジュール構成を採用したVTシステムからなるベクターのECU統合テストの自動化アプローチは非常に“シンプル”である。「ECU統合テストの自動化を検討しようというユーザーに対し、大規模なテスト環境を構築するのは手間とコストの面で難しい場合がある。ベクターでは、CANoeテスト機能+VTシステム、そして関連するエンジニアリングサービスにより、無理のない、ニーズに適した自動テスト環境を提供し、コスト削減と品質の維持・向上の実現に貢献する」(丹野氏)。

 ベクターのCANoeテスト機能+VTシステムであれば、高度なテスト環境を模擬し、かつ実機が完成する前段階のシミュレーション環境としても使用できる。しかも、大規模なテスト環境を構築するよりもはるかに低コストで、広い設置スペースも必要なく、机上でECU統合テスト環境が構築できてしまう。このシンプルさと、導入のハードルの低さは、従来のテストソリューションにはない大きなアドバンテージといえるだろう。



 ECU開発の全てにおいて、必ずしも大掛かりなテスト環境が必要なわけではない。そのため、「簡単にECU統合テストの自動化に取り組みたい」、あるいは「CANoeで既に車載ネットワークの自動テストは実現しているが、今後、ECU全体のテストも自動化したい」というニーズに対して、低コストで導入のハードルが非常に低いベクターのアプローチは、ECU統合テストのコスト削減と品質向上に対する即効性の高い“有効打”といえるだろう。

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提供:ベクター・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年10月6日