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» 2011年11月24日 15時50分 UPDATE

電気自動車:とうとう実験が始まったEV用非接触充電、IHIが取り組む

充電ケーブルが不要な非接触充電。EVへの適用を目指した実験がいよいよ始まった。三菱自動車や米WiTricityと組むIHIがテスト用EVを試作し、1年間のテストに取り組む。

[畑陽一郎,@IT MONOist]
IHIの非接触充電、EVに搭載して試験開始 非接触充電EV

 IHIは2011年11月22日、非接触充電装置をEVに搭載し、実際の利用状況を想定したテストを開始した(図1)。テスト期間は約1年間を見込む。非接触充電用装置(受電側と送信側)を自動車メーカーなどに供給することを狙う。

 同社は2011年3月に非接触給電技術に特化した米WiTricity*1)と技術ライセンス契約を結んでいる。自動車向けと産業用途向けの非接触給電装置について共同開発を行うためだ。WiTricityの技術を実際のEVに搭載して試験を開始するのはIHIが初めてだ。

*1) WiTricityはMITの非接触給電技術を商品化するため、装置の設計、開発、製造、市場への普及を進めている企業。

 今回のテストでは、さまざまなEVや二次電池に適合する非接触給電装置の開発を進めるためにEVを試作した。車載側(受電装置)と地上側(送電装置)の装置の開発を進めるために、独自に試作したEVであり、受電装置を車両後部に搭載する。送信装置もIHI横浜事業所(横浜市磯子区)内に設置した。

20111124IHI_325px.jpg 図1 IHIのテスト用EV ガソリン車をEVにコンバートしたもの。非接触充電ではWiTricityの技術を用いる。同技術では3kW以上の電力を20cm離れて効率90%以上で送受信可能だ。出典:IHI

 テスト内容は3点ある。受電装置と二次電池特性とのマッチングの他、位置ずれの許容範囲や、磁界分布などについてデータを取得する予定だ。現時点で、普通充電に相当する3.3kWでの非接触充電に成功しているという。

20111124IHI_590px.jpg 図2 非接触充電の受電装置 EVの車両後部に受電装置を取り付けた。受電装置の寸法は50cm角。出典:IHI

EVの非接触充電、自動車メーカーも本気に

 EVで利用する非接触充電方式は、大きく2つの方式に分かれる。電磁誘導方式と磁界共鳴方式だ。

 どちらの方式が広く普及するのか、現時点では予想できない。自動車メーカーの方針も分かれている。例えば、トヨタ自動車、三菱自動車は磁界共鳴方式を選んだ。日産自動車は電磁誘導方式を推している。この他、英Qualcommも電磁誘導方式を推進している。

 電磁誘導方式は、モーターや発電機、変圧器、IHクッキングヒーターなどさまざまな機器と同じ原理で動作する。2つのコイルを平行に置き、1つのコイルに通電すると、もう1つのコイルにも電流が流れるという形で動作する。携帯電話機や、充電時に水ぬれの可能性がある機器では既に商品化が進んでいる。

 ただし、電磁誘導方式はコイル間の距離が長くなると、送電の効率が低下する他、コイルの軸がずれたり、斜めになるとやはり効率が低下するという課題がある。コイルの位置を動的に制御する、複数のコイルを並べるなどの手法で解決を目指すメーカーが多い。

 磁界共鳴方式は、米Massachusetts Institute of Technology(MIT)の研究グループが2007年に初めて実証したことで注目を集めた技術だ。やはりコイルを2つ使うものの、動作原理が電磁誘導方式とは大きく異なる。

 伝送距離や効率が高く、コイルの位置ずれに強いという特長がある。ただし、研究開発期間が電磁誘導方式に比べて短く、可能性が十分検証されていない。

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