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» 2011年12月09日 10時00分 UPDATE

モノづくりの現場に活かせる粒子法流体解析:設計者にも広く使われる粒子法の流体解析ソフトRYUJIN

富士テクニカルリサーチの粒子法解析ソフトウェア「MPS-RYUJIN」は、実は、解析専任者だけではなく、なんと設計者や実験担当者にも広く使われている。本稿では、その理由について迫った。RYUJINの解析精度を高めるには、「とにかく粒子数を増やすこと」に尽きる。そこで 計算をスピーディーにこなすためには、やはり並列計算は欠かせない。PCクラスタとのコラボで、流体解析の新境地へ!

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 富士テクニカルリサーチ(以下、FTR)は、受託解析業務を主力事業とする解析のスペシャリストの集団だ。自動車業界をはじめとして、さまざまな業界において難易度の高い解析サービスを提供している。その同社が、難易度が高いとされてきた流体解析の新境地を切り開いた。それは、粒子法を使った流体解析ソフトウェア「MPS-RYUJIN」(以下、RYUJIN)である。

 RYUJINは、これまで解析が不可能と言われた、あるいは実験にしか頼れなかった分野にとって希望の光となるだろう。

実務で大きな効果を出し始めた粒子法による解析ソフトウェア「RYUJIN」

 粒子法には、有限要素法(FEM)、有限差分法(FDM)や有限体積法(FVM)など従来手法と比較すると、主に以下のような利点がある。

  • 液体の飛沫を扱う問題、自由界面の問題など、とにかく従来手法では解析が難しいとされた事象が解析しやすい
  • 空間メッシュを張る必要がなく、流体は粒子の配置によって表現可能

 一方、従来の粒子法ソフトウェアで信頼性ある解析解を出すためには、以下のような問題があった。

  • 業務で活用できるレベルの解析精度を求めるなら、最低でも10万粒子ほどで解析が必要
  • 流体だけでなく、構造物も粒子でモデリングが必要

 そこでFTRのRYUJINは、構造物については三角形シェル要素によるモデリングを可能にして、かつ大規模な計算にも適したソフトウェアに改良している。

自動車産業でのRYUJINの活躍

 RYUJINは既に、自動車産業を中心にして数多くの事例を持っている。日産自動車の「GT-R」では、そのトランスミッションのオイル解析にRYUJINが使用され、大きな成果を上げた。

 スポーツタイプの車両ではドイツのニュルブルクリンクのサーキットを7分半程度で1周する。RYUJINはその7分半のオイルの流れをフルに解析し、その結果ほぼ実際の物理現象を再現していたということだ。

 自動車業界においてRYUJINは、上記の事例のような伝達機関のオイル解析を中心として幅広く使われている。

 自動車業界におけるRYUJINの成果が評価され、FTRは2008年にジヤトコ社の「Jatco Supplier Award 開発賞」を受賞。それは、ソフトウェア開発元としては初のことであった。

yk_ryujin01.jpg ファイナルドライブにおけるオイル攪拌(かくはん)の事例(単体ギア)

家電業界でも確かな実績

 もちろん流体を扱うのは自動車業界に限った話ではなく、家電業界も同様である。その1つとして、食器洗い機(以降は、食洗機)の例がある。実際の食洗機の動作では、「どこに、どのようにして水が当たるのか」「食器がどのように洗浄されるのか」といったことが性能に大きな影響を与える。しかし従来の解析手法では、その事象のモデリングそのものが難しかった。

 食洗機で使用されるノズルにはモータが付いているわけではなく、水力だけで回る仕組みになっている。家電メーカーにおいてRYUJINによる解析を導入する前は、試作機を作って実験を実施してきた。設計通りに回らなければ、当然、何度も試作し直すことになり、そのコストは膨大になってしまう。開発にRYUJINを採用したことで、試作を大幅に減らすことができたということだ。

yk_ryujin02.jpg 食器洗い機の噴出解析

解析の専門家でなくても使いこなせる操作性

yk_ryujin03.jpg 富士テクニカルリサーチ 専務取締役
遠藤正司氏

 FTRの専務取締役 遠藤正司氏によれば、同社のRYUJINは、特に、これまで解析に直接携わってこなかった設計者や実験担当者の需要が目立つと言う。

 設計者や実験担当者にとっての解析は、「当たりを付ける」ことが容易に可能であることが求められ、そこから「設計の改善につながるヒントが見つかること」が重要である。そのためには、解析専任者でなくても、最低限の精度で、簡単に解析を実行できることがまず重要であるといえる。実はそれこそが、粒子法を用いるRYUJINの強みであると言える。

 有限要素法などの解析ソフトウェアの場合、高精度の解析をするためのセットアップそのものの難易度が高い。間違った条件で解析すれば、当然、解も信頼のできないものになってしまうし、解析の担当者によって解がばらついてしまうこともあり得る。

yk_ryujin04.jpg 富士テクニカルリサーチ 営業本部 営業部
副部長 原田隆氏

 RYUJINの場合、必要とされるのは、基本的に構造体と粒子だけである。他手法では“ある意味ノウハウ”とも言えるメッシュ設定に悩む必要もない。考慮する必要があるのは、質量、密度、粘度、流入量など――つまり設計者や実験の担当者が日常的に検討しているパラメータで、いままでできなかった解析の実施が可能となる。

 そして「メッシュ設定など解析準備のための考慮事項が少ない」ということは、つまり「ツールの熟練者だろうが初心者だろうが、誰が解析をしても同じ解が出せるようにできる」というメリットへとつながる。

 「例えば、ある新入社員に有限要素法などを用いた解析ソフトウェアを渡したとします。その社員がきちんとトレーニングを受けたにしても、学び始めて1週間程度で出してきた解析結果を信頼することは正直、難しいと思います。きちんとした解析結果を出すためには、従来のソフトでは、担当者にノウハウの蓄積が必要でした。RYUJINであれば、たとえ使用方法を学んで1週間程度であっても、信頼性の高い結果を出すことができます」(富士テクニカルリサーチ 営業本部 営業部 副部長 原田隆氏)。

 モノづくりの専門家なら、RYUJINの解析結果を見れば、「それが理にかなっているものなのか」は、すぐに判断できるだろう。

大規模計算に最適化された環境の提供

 粒子法の解析ソフトウェアであるRYUJINは、これまで述べてきたように、メッシュを定義する必要がなく、条件設定も非常に簡単であり、このソフトを学ぶために必要な講習も1日で十分である。導入が容易であるにもかかわらず、飛沫の解析など従来のソフトであれば難易度が高かった解析まで可能だ。

 粒子法による解析のこれまでの課題としては、解析精度を高めようとした際の計算負荷が挙げられる。定量的評価を求める場合、そこで満足いく解析精度を得るためには、それなりに粒子数を増やしていかなくてはならならない。現在、RYUJINユーザーの解析は、大規模なケースでは既に100万粒子以上となっているが、当然、それに応じて求められる計算リソースは増大し、その分だけの計算時間も要することになる。

 しかし、この課題については既に改善されている。その解決策の1つが、富士通が提供するPCクラスタ環境でのRYUJINの実行だ。

 富士通は以前から、数社のアプリケーションベンダーと協力して、並列計算プログラムの最適化を図ってきた。RYUJINについては、富士通のPCクラスタ環境下で最適なパフォーマンスを発揮させるにあたり、「分割する領域をダイナミックに変えていく」などのプログラムの改良を図っており、その成果も出ている。並列計算時のスケーラビリティも良好だ。

yk_ryujin05.jpg RYUJINにおける並列性能のスケーラビリティ(ダムブレイクのモデルによる検証)

流体解析を現場技術者の手に

 このように、これまでハードルの高かった分野の流体解析も十分に現場の技術者の手の届くところになってきている。1つは粒子法を用いたプログラムが成熟してきたということだ。既に自動車業界だけではなく、家電業界、さらには流体の撹拌(かくはん)が求められる多くの業界で活用されている。その使用の簡易さ故に、例えば判断をするべき責任者レベルにおいても、必要があれば自ら検証をして、その結果をビジュアライズすることが可能だ。

 また一般的に解析専任者を置くことが難しい規模の企業であっても、設計者や実験担当者が業務のかたわらで使用することが十分可能なことから、同社の顧客でも200人規模といった比較的小規模な企業への導入も進んでいるということだ。

 産業を問わず、とにかく開発のスピードが求められるトレンドはこれからも変わることはないだろう。今や多くの企業で、実機試作に先立ったデジタル検証の実施が当たり前になってきている。そこで重要なのは、簡単でスピーディに、複数の物理現象における解析ができるようになることだ。特に従来、実験でしかできなかった領域の解析が実現可能なことが求められる。

 いままさに、それを実現しているのがFTRのRYUJINであり、その上で大規模な計算を行うことを可能にする富士通のPCクラスタ製品である。ソフトウェアとハードウェアが、その使い勝手についても、コストについても、ハードルが低くなってきているいま、製造業にかかわる企業がぜひ検討したいソリューションであると言えよう。

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アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2012年1月31日