パワエレエンジニアの手作り電気自動車電気自動車

急騰するガソリン価格に不満を募らせていたパワーエレクトロニクスのベテランエンジニアが、独自の電気自動車作りを決意した。それが3年間にわたるこのプロジェクトの始まりだった。

» 2011年12月15日 11時00分 公開
[Stephen Taranovich,EDN]

ポンティアック・フィエロがベース

 電気自動車(EV)とハイブリッド自動車(HEV)の進歩は速い。ハイブリッド車で売り上げトップを誇るトヨタ自動車の「プリウス」に、市街地走行モードで17.3km/リットルの燃費を達成したFord Motorの「Ford Fusion hybrid(フォード・フュージョン・ハイブリッド)」、EVモードにおいてフル充電で56kmの走行が可能なGeneral Motorsの「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト)」、そして5人乗りで世界初の本格的な量産電気自動車となった日産自動車の「リーフ」など、枚挙にいとまが無い。

図1 Santini氏が製作した電気自動車 リチウムイオン二次電池を搭載する他、回生ブレーキも搭載した。出典:EDN

 しかし本稿の主役は、これらとは別の電気自動車だ。1988年製「Pontiac Fiero(ポンティアック・フィエロ)」をベース車両にした、“手作り”電気自動車である(図1)。ただし実際のところ、ベース車両からこの電気自動車に流用されたのは、フロントサスペンションとステアリングだけだった。

 この手作り電気自動車のプロジェクトに取り組んだのは、米国のTDI Powerでエンジニアリング担当のバイスプレジデントを務めるJohn Santini(ジョン・サンティーニ)氏だ。同社はニュージャージー州ハケッツタウンを拠点とする電源製品のベンダーで、創立から50年以上を数える老舗企業である。モバイル機器やハイブリッド車、電気自動車など向けの電源装置を25年以上にわたって供給してきた実績を持つ。

HEVへの拡張性を残したEVが完成

 急騰するガソリン価格に不満を募らせていた同氏は、自身の創造力と問題解決能力を駆使して独自の電気自動車作りを決意した。それがプロジェクトの始まりだった。

 Santini氏は当初、プラグインハイブリッド車を作る計画を立てていた。ところがリチウムイオン電池の価格はどんどん下がっていく。そこで同氏はプロジェクトの途中で次のように決断した。エンジンと発電機を積み込む計画は後回しにして、リチウムイオン電池の積載量を増やしたのである。

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