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» 2012年02月24日 16時39分 UPDATE

マルチセンサーシステムと機械学習システムで実現:誰が不正を働いた? ケータイによる入試の不正行為を座席レベルで検出!

東京工業大学 大学院理工学研究科の荒木純道教授と阪口啓准教授らの研究グループは、光電製作所と共同で入試中に通信している携帯情報端末を座席レベルの精度で検出するシステムの開発に成功したと発表した。

[八木沢篤,@IT MONOist]

 入学試験(入試)において、携帯電話やスマートフォンといった携帯情報端末を用いた不正行為が社会問題となっている。先日の大学入試センター試験でも、携帯情報端末を用いた不正行為防止について有効な対策が存在しないことが話題になったばかりだ。もはや、試験監督の増員だけではどうにもならないのだ……。

 東京工業大学 大学院理工学研究科の荒木純道教授と阪口啓准教授らの研究グループは2012年2月24日、光電製作所と共同で入試中に通信している携帯情報端末を座席レベルの精度で検出するシステムの開発に成功したと発表した。

 同システムは、複数のセンサーアンテナを用いたマルチセンサー型位置推定システムに、統計的な機械学習の手法を適用することで、携帯情報端末の通信電波から伝搬路の特徴量を自動的に学習し、携帯情報端末の位置を推定するというもの。入試会場を模擬した実証実験では、座席の最短間隔0.78mよりも高い精度、平均位置推定誤差0.5m以下の精度で座席を特定できたという。

図1 実験を行った教室配置図図2 実験を行った教室(試験時定員114人) (左)図1 実験を行った教室配置図。四隅と中央にセンサーアンテナを設置/(右)図2 実験を行った教室(試験時定員114人)

 室内での電波を利用した位置推定にはTDOA(Time Difference of Arrival:到達時間差)やRSSI(Received Signal Strength Indicator:電波受信強度)に基づく手法がある。しかし、これらの手法では、室内環境の伝搬路の複雑さやその環境が時間変動することから、平均位置推定誤差が3m程度にとどまっていた。これでは座席レベルで不正行為が行われた位置を特定することはできない。

図3 実験に用いたセンサーアンテナ図4 実験に用いた模擬携帯情報端末。今回は、NTTドコモのLTEサービス「Xi」(クロッシィ)の通信端末「L-02C」を利用した (左)図3 実験に用いたセンサーアンテナ/(右)図4 実験に用いた携帯情報端末。今回は、NTTドコモのLTEサービス「Xi」(クロッシィ)の通信端末「L-02C」を利用

 今回、開発されたシステムでは、既存手法に携帯情報端末から発信される制御信号を用いた伝搬路の統計的な学習法を加えており、位置推定精度を大幅に改善(既存手法に比べて7〜10倍程度改善)できたという。これにより、リアルタイムで高精度な検出が可能となり、現在、社会問題となっている携帯情報端末を利用した入試での不正行為の抑止力につながると期待されている。

図5 「実験結果(既存手法と提案手法の比較)」。横軸は図1に示した座席を表す番号、縦軸は平均位置推定誤差である図6 「実験結果(座席特定誤差の範囲)」。提案手法による各席の位置推定誤差を視覚化したもので、精度が比較的悪い座席でも、推定誤差は隣席までである (左)図5 「実験結果(既存手法と提案手法の比較)」。横軸は図1に示した座席を表す番号、縦軸は平均位置推定誤差である/(右)図6 「実験結果(座席特定誤差の範囲)」。提案手法による各席の位置推定誤差を視覚化したもので、精度が比較的悪い座席でも、推定誤差は隣席までである

 このたびの実証実験では、試作ハードウェア用い、人為的に伝搬路を学習する基礎実験にとどまっている。そのため、今後、ハードウェアのコスト削減、自動的な伝搬路学習の確立を目指し、早急に不正行為検出システムの実用化を目指すという。なお、今回発表された成果は3月9日に開催される電子情報通信学会 ソフトウェア無線研究会で発表される予定だ。

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