実用化はどこまで? プリンテッド・エレクトロニクス業界の開発競争を読む知財コンサルタントが教える業界事情(12)(4/7 ページ)

» 2012年03月21日 15時00分 公開
[菅田正夫@IT MONOist]

日本は何を目指しているのか?

 日本では、インクジェット・プリンティングに注目した技術開発が多く、NEDO事業の「インクジェット法による回路基板製造プロジェクト(2004〜2006年)」(参加:セイコーエプソンなど)*やSiP技術開発を目指した「プログラム実装コンソーシアム(2002〜2004年)」(参加:大阪大学産業技術研究所、アルバック、ハリマ化成、アトムニクス研究所など)がありました。

 これらに続く、実用化を目指したNEDO事業としては、次の3つのテーマがありました。

  • 「有機発光機構を用いた高効率照明(2007〜2009年)」(参加:パナソニック電工(現:パナソニック)、出光興産、タツモなど)で、高輝度OLED照明の長寿命化を目指しました**。

 ここでの連携と共同開発が、2011年4月のパナソニックと出光興産の有機EL照明合弁企業(パナソニック出光OLED)設立につながったものと推察されます***。



  • 「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術開発(グリーンITプロジェクト)」(2008〜2010年)では、40インチ以上で低消費電力の有機ELディスプレイ量産実用化を目指しました*。
  • 「TRADIMプロジェクト(2006〜2010年)」(参加:産業技術総合研究所、東京農工大学)では、小型ディスプレイ試作がロール・ツー・ロール(R2R)方式のプリンティングを用いて行われました**。

 そして、2011年4月には、産業技術総合研究所(以下、産総研)は研究拠点「フレキシブルエレクトロニクス研究センター」を設立しています***。

 この研究センターでは、

  • 軽くて薄く、
  • 柔軟性のある電子デバイス、
  • そのようなデバイスをプリンティングで製造する技術

の早期実用化を目指すことを目標に掲げています。

 2011年3月には、経済産業省主宰で、産総研のフレキシブルエレクトロニクス研究センターを主体に、民間企業も加わり、「次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合」****が結成され、同年5月31日から始動しました*****。ここでは、「有機薄膜トランジスタ(TFT)」「電子ペーパー」「電子回路評価技術に関わる標準化」が研究テーマとして取り上げられています。


** http://www.nedo.go.jp/activities/EF_00219.html
** http://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/EF/nedopress.2008-12-05.4362737538/
*** http://unit.aist.go.jp/flec/
**** 次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合の参加企業(五十音順) アルバック、出光興産、コニカミノルタIJ、産業技術総合研究所、JNC、写真化学、住友化学、綜研化学、ソニー、大日本印刷、太陽ホールディングス、DIC、帝人、東京エレクトロン、東芝、東洋紡績、凸版印刷、NEC、パナソニック、ハリマ化成、バンドー化学、日立化成工業、フジクラ、富士フイルム、ブラザー工業、ブリヂストン、三菱化学科学技術研究センター、リコー。
***** http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110531009/20110531009.pdf


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