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» 2012年04月10日 10時00分 UPDATE

水野操の「Solid Edge って面白!」:シンクロナス・テクノロジで、勝てるコマを設計しよう

シーメンスPLMソフトウェアと@IT MONOistは、あの「全日本製造業コマ大戦」に参戦するべく「MONOist+Solid Edge連合」を結成! インポートデータを楽々活用できるSolid Edgeを使って、中小企業と一緒にコマを協調設計してみた。

[水野操 ニコラデザイン・アンド・テクノロジー/3D-GAN,PR/MONOist]
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 2012年3月23日に開催された「全日本 製造業コマ大戦 茨城場所」。そして、そこに参戦するべく、「MONOist+Solid Edge連合」という異色な混成チームが結成されました。


 私がこの話を聞いた時点で、大会開始まで既に2週間を切っていました。せっかく3次元CADを使って設計し参加するのだから、単純な形状では、味気ありません。とはいえ時間もあまりありません。

 そこで、助っ人が登場。今回、長野県の設計会社 スワニーがコマの設計支援を、そしてコマ設計の基本伝授や組み立て調整を神奈川県の精密加工会社 由紀精密が担ってくださったのです。

 そして、設計の仕上げを任されたのが私、水野。今回は、チームの勝利がかかっています。いつもの“お気楽な状況”と違い、ちょっとばかりプレッシャーを感じたのでした……。

 さて今回のコマ設計では、主に下記3つの性能を目指すことにしました。

  1. 安定した回転を追求(基本性能)
  2. 対戦相手のコマからの攻撃を直接受けない構造(防御性能)
  3. 見た目の美しさを追求(意匠性)

 こちらの意向をスワニ―に伝え、早速、基本設計をしてもらいました。

今回作るのは、こんなコマ

 上記の性能に基づき、約1日ほどでスワニーからやってきた設計案は、以下。

yk_coma_sest_01.jpg スワニーから届いた最終案の画像

 ふむ……、なかなか面白い形です。幾つかの部品で構成されていて、“何かの仕掛け”がありそうなことは、容易に想像が付きます。

yk_coma_sest_02.jpg 回転時に花びらが展開した状態

 最初は花びらが閉じた(つぼみ)状態ですが、回転すると、まさに「花が咲いた」状態になります。「外形はφ20まで」という大会ルールを考慮すると、普段は花弁が閉じている必要があります。そのための必要最小限な機構を設けました。

 開く花びらの狙いは、2の防御性能と、3の意匠性。対戦相手のコマがぶつかってきた際、ボディー直接ではなく、花弁のみで接触させ、コンタクトを必要最小限にします。

 この性能ついては、既にスワニ―が3次元プリンタで、その機構を付けたコマを製作して検証済み。同様に3次元プリンタで製作した、花弁コマより質量が大きく、安定性の高いコマと対決させたところ、攻撃をそらすどころか、相手を弾き飛ばす効果まで確認していました。

 そんな実戦的な効果のほか、アトラクションに求められる華麗さまでかなえられるというわけです。

チームの検討事項

 実はまだ、勝てるコマにするための課題が少し残っていました。一口で言えば、「回転時が不安定で、すぐに倒れてしまう」。

 そこで考慮すべきは、

  1. 金属製コマベース:安定性向上のために重心を下げる。回転安定性を高め、回転時間を長くする。慣性モーメントを増やす
  2. コマの先端形状:接地点の回転抵抗の低減を図れる形状
  3. つまみ軸部分の形状:安定した高速回転に寄与できる形状で、かつグリップ力も高める

 コマの先端形状は、由紀精密との相談で決めることに。わがチームは、残りの項目の検討を主とし、以下のような基本方針を決めました。

  1. 安定感ある重心を確保するために、Solid Edgeのシンクロナス・テクノロジを活用して調整
  2. 持ち手(ハンドル)に、滑り止めを設ける
  3. 製作期間やコストをなるべく抑える

 なお、橋爪社長からは、「安定性が増せば優勝の可能性も有」との力強いお言葉。設計のコンセプトや良し! 後は、調整あるのみです。

 ということで! 早速、こちらを「Solid Edge ST4」で「勝てるコマ」に仕上げていきます。

Solid Edgeでモデリング開始

 とは言ってもなにせ時間がない。CADの前で操作できる時間は本当に限定的。しかしそんなときだからこそ、シンクロナス・テクノロジが威力を発揮します。

 シンクロナス・テクノロジのメリットは、何と言っても、履歴に全く依存せずに、形状を直接操作できること。これは、最初からSolid Edgeでモデルを作るときも同様ですが、今回のようにインポートしたデータから、細かい操作をしなければならない場合も有効です。

 実は今回、私が期待しているのも、まさにその操作性。使いやすいスケッチとダイレクトな操作で、どのくらい編集のスピードが上がるのか? 少ない時間で、どこまで必要なパラメータに合わせこめるか、そこが勝負どころです。

 スワニーからは、パラソリッド形式でデータがきていたので、Solid Edgeへのインポートは全く問題なく、アセンブリもきちんと再現できました。

yk_coma_sest_03.jpg インポートしたデータ

 重心を低くし安定性を持たせ、かつ強くするため、コマの一部を金属製に変更します。コマの先端部は美しいカーブを描いていますが、切削加工のことも考慮し、シンプルな形状にカットします。

yk_coma_sest_04.jpg 3次元プリンタで製作する部分

 さらに、この先に金属製のコマベースとなる部分を作成します。このベースの高さや、コマの下の部分の角度については、シンクロナス・テクノロジの機能で編集して調整していきます。

yk_coma_sest_05.jpg さらに金属部分を作成

Solid Edgeならではのスケッチ機能

 スケッチの際、幾つか補助線を引いた後、最終的に使いたい形状を決めていくことがよくあります。Solid Edgeでは、1つのオペレーションで、スケッチの任意の一部だけでそれが可能です。

yk_coma_sest_06.jpg コマのシルエットをトレース
yk_coma_sest_07.jpg 金属製に変更する部分を作成。スケッチ線は、トリムしなくても大丈夫
yk_coma_sest_08.jpg でき上がり!

重心の検討

 さて、参加する以上は、「勝てるコマ」を目指したい! ――となれば、大事なのは「安定して回ること」。元の設計形状を検討した結果では、重心位置を工夫した方がよさそう。そこで、由紀精密がこっそり教えてくれた“優勝コマ”の寸法から出したコマの重心を参考に、形状を修正していきます。

yk_coma_sest_09.jpg 由紀精密の「優勝コマ」の寸法を再現してみた

 重心の検討は、上記の画像でハイライトされているメニューの「検査」から選択。あらかじめ、それぞれのパーツには材料を設定しておきます。

yk_coma_sest_10.jpg 物理特性の設定

 さて、次にコマの形状を編集します。

yk_coma_sest_11.jpg コマの形状を編集

アセンブリのまま自在な編集

 アセンブリのツリーの中から、コマベースを選択して、右クリックから編集を選択。アセンブリから離れることなく、このパーツが編集可能です。後は、ベースの下の部分を選択して、画面上のハンドルを頂点に固定したら、コマの軸と同じ向きの「ハンドル」を上下に動かします。

yk_coma_sest_12.jpg
yk_coma_sest_13.jpg

 ハンドルを下に動かしてベースを伸ばしたり……。

yk_coma_sest_14.jpg

 逆に、上に動かしてベースの高さを縮めたりします。あるいは、コマの下の部分のテーパ角度を微修正することも可能です。

yk_coma_sest_15.jpg
yk_coma_sest_16.jpg

 このように形状を動かしながら、重心の位置を目標の位置に合わせていきましょう。

yk_coma_sest_17.jpg

 これで、“優勝コマ”とほぼ同じZ方向の位置に重心がきました。

 仕上げに、コマのハンドルに「すべり止め」を。これは簡単です。持ち手の部分にカットを1つ入れて、それを回転パターンで配置します。

yk_coma_sest_18.jpg まず、溝を作る
yk_coma_sest_19.jpg 回転パターンで配置

Solid Edgeのシンクロナス・テクノロジで、ストレスの少ないモデリング

 Solid Edgeを使っていて印象的だったのは、「スケッチから任意の場所だけを選択できる柔軟さ」。それに、やはり「シンクロナス・テクノロジによる形状の編集」。履歴を考慮しなくても楽に編集ができ、形状を変更したときの全体のアップデートにも時間がかからないので、思っていたよりもすんなりと作業を終えることができました。

 そういうわけで、設計完了! その後、完成した3次元モデルデータをスワニーと由紀精密に引き渡しました。スワニ―が花弁の機構を3次元プリンターで製作、由紀精密が金属部の加工と組み立て調整をしてくださいました。

 そういうわけで、なんとか大会当日までに間に合いました。

yk_coma_sest_20.jpg 完成したモデル
yk_coma_sest_21.jpg 完成したコマの実物

 さて、「MONOist+Solid Edge連合」がどうなったかは、MONOistの記事でご覧ください。

yk_mizuno.jpg

Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。首都圏産業活性化協会(TAMA協会)コーディネータ。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わったほか、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開しているほか、マーケティングやIT導入のコンサルティングを行っている。著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)がある。



「Siemens PLM Connection Japan 2012」開催のお知らせ

Siemens PLM Connection Japan 2012

 シーメンスPLMソフトウェアは2012年7月19日、東京・六本木のアカデミーヒルズで「Siemens PLM Connection Japan 2012」を開催する。

 スペシャルセッションでは、「元フォード・モーター社のリチャード・リフ博士、元マツダ 岡田吉誼氏とのパネルディスカッション」などを予定している。

 今回のPLM Connectionでは、同年4月に世界同時発表した「Teamcenter 9」を国内ユーザー向けに初めて紹介するほか、重工業、自動車、電気精密業界などの国内ユーザー企業による事例講演も行う。

  • 開催日時:2012年7月19日(木)10:00〜18:00(受付開始:9:30〜)
  • 会場:六本木アカデミーヒルズ49
  • 参加費:無料

     >>参加登録はこちらから



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提供:シーメンスインダストリーソフトウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2012年5月9日

提供

Siemens PLM Connection Japan 2012

2012年7月19日、東京・六本木の六本木アカデミーヒルズ49で開催します。スペシャルセッションでは、「元フォード・モーター社のリチャード・リフ博士、元マツダ 岡田吉誼氏とのパネルディスカッション」などを予定しています。