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» 2012年05月30日 11時15分 UPDATE

米インテリジェントライトの創業者が語ったCFD可視化技術:CFD可視化処理の速度向上、GPU性能以外の重要な要素とは?

CFD可視化ソフトの「FieldView」の開発元の創業者に、最新版のCFD可視化技術、日本における販売の話などをお伺いした。

[小林由美,@IT MONOist]

 本記事では、CFD可視化ソフト「FieldView」を開発した米インテリジェントライト(Intelligent Light)の創業者 スティーブ・レゲンスキー(Steve Legensky)氏のインタビューに基づき、FieldViewの最新版(バージョン13)の技術について紹介する。

 FieldViewは汎用的に利用できるCFDの可視化ソフト(ポストプロセッサ)で、CFD系のソルバであればほとんど対応する。また対応ハードウェアも、ノートPCからスーパーコンピュータまで、規模は問わないとしている。「現在、FieldViewのワールドワイドにおける全ライセンス数は、3000〜4000ほど」とレゲンスキー氏は説明した。


Legensky提供のデモ動画画面

可視化の処理

 流体解析の境界条件は複雑な境界条件に加え、タイムステップ(時間割)が存在する。当然、解析の精度を細かくしたければ、タイムステップもそれなりに細かくしていく必要がある。さらにソルバや計算機(ハードウェア)の性能も急速に向上し続けており、CFDソフトウェアの使い勝手も向上している。故に、CFDの計算結果データは膨らむ傾向にある。

 FieldView13では処理時間を短縮するため、レンダリングエンジンを改良しGPU処理の効率を高めるといったCG技術面の改善も図った。同社はそれ以外に、可視化のために大規模な解析データを効率よく処理させるデータベースおよびワークフローの技術開発についても、特にここ数年で力を入れてきたという。後者は、同社の特色でもある。

 膨大な解析結果データを読み書きすることで可視化処理が進むが、従来のプログラムでは、ユーザーが可視化したい部分に必要なデータに焦点を絞ってアクセスできなかった。つまり、可視化のために必要なデータは実はほんの一部であるにもかかわらず、不必要で膨大なデータにアクセスしなければならなかった。

yk_fv13_011.jpg 通常の処理(データ読み込みから可視化までのプロセス)

 そこで、FieldViewでは、新技術である「XDBデータセット」を利用し、可視化に必要な結果データだけにアクセスし、処理時間の大幅短縮を可能とした。

yk_fv13_02.jpg 金属流動解析の例

 上図の金属流動解析の例(タイムステップ数は169)では、従来手法による52Gバイトの解析結果データを、「XDB化」することで1.7Gバイトまでファイルサイズを削減。処理時間は45倍アップできたという。

 XDBは一度可視化データを作るごとに作成・蓄積されるデータで、可視化情報やタイムステップ別のデータが圧縮・保存された単一のファイルになっている。それは単一のファイルになっている。新バージョンのFieldView13においては、非定常解析結果の各タイムステップにおけるXDB読み込みおよび書き込みのさらなる高速化を図ったとのことだ。

yk_fv13_03.jpg XDBの処理の概念

 さらに、XDBデータセット作成処理にはFieldViewのバッチ実行処理が利用でき、可視化のバックグラウンド処理を自動化できる。例えば、可視化の処理について、夜間バッチで処理する、もしくはCFD計算処理の1つとして一括実行することが可能だ。

「バッチファイルというと古臭いイメージです。確かにUNIXなどではそうですが、Windowsにとっては新しい技術であると思います。通常の可視化処理作業は、GPUを使ったインタラクティブ(自動化しづらい)なものが想定されますが、XDBデータセット作成処理はグラフィック処理ではないためバッチ処理が適用可能なのです」(レゲンスキー氏)。

 HPC(ハイパフォーマンスコンピュータ)にXDBファイルのバッチ処理を任せ、ワークステーション上のFieldViewで可視化の処理だけさせるといった利用もできる。

 同社では、バッチ処理のライセンスのみも提供している。HPCでは並列数ごとにライセンスも増えていくが、ある程度のボリュームごとでディスカウントするパッケージも提供する。

日本での販売とヴァイナス

 インテリジェントライトの設立は1984年。以来レゲンスキー氏は、CFDのソフトウェア開発、販売、コンサルティング、トレーニングと幅広い業務で携わってきた。

 

 インテリジェントライトの日本での顧客第一号は、航空宇宙技術研究所(NAL:現在の宇宙航空研究開発機構(JAXA)に統合された)だった。航空宇宙開発は、今も昔も、CFDの最先端。そこで扱われる解析データはその当時から大規模なものだった。同社はNAL(JAXA)の開発自体にも入り込み、大学の研究機関と協力しつつ、大規模計算や並列処理プログラムなどを作ってきたという。

 1996年に藤川泰彦氏がヴァイナスを設立し、第1号製品としてFieldViewの日本国内販売・サポートを開始。日本国内でのFieldViewの売り上げは順調に伸びていき、日本は本国に次いで第2の市場となったとのことだ。

「日本のシンポジウムで講演する機会も増えました。大好きな日本に訪れるきっかけが増えて、寿司(すし)もしょっちゅう食べられてうれしいですね(笑)」(レゲンスキー氏)。

yk_fv13_04.jpg (左)米インテリジェントライト 創業者 スティーブ・レゲンスキー氏、(右)ヴァイナス 代表取締役社長 藤川泰彦氏

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