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» 2012年06月22日 10時50分 UPDATE

ETWest2012:組み込み向けRubyから“不死身”のマイコンまで――Embedded Technology West 2012 (1/2)

組み込み技術展「ET」の関西版「Embedded Technology West(ETWest)2012」が大阪で開催された。スマートエネルギーの専門展との同時開催で例年以上の盛り上がりを見せたETWestから、MONOist編集部が注目した展示をピックアップ。

[西坂真人,@IT MONOist]

 西日本唯一の組み込みシステム技術専門展示会「Embedded Technology West(ETWest)2012」が、インテックス大阪(大阪府大阪市)で2012年6月14、15の両日に開催された。

 今回のETWestは、新エネルギー/スマートグリッド関連分野の専門展示会「Smart Energy Japan(SEJ) 2012 in Osaka」との同時開催となり、従来を上回る大規模な展示会となることが見込まれていた。主催者の組込みシステム技術協会によると、2日間の来場者は4963人だった昨年を大きく上回る5551人となったようで、例年以上に見どころにあふれた展示会に多くの西日本の技術者が足を運んだといえる。

photo 西日本唯一の組み込みシステム技術専門展示会「Embedded Technology West 2012」
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 盛り上がりを見せたETWestから、MONOist編集部が注目した展示をピックアップしてお届けする。

スマートフォンを自動車でも活用――図研エルミック

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 図研エルミックのブースでは、2012年6月8日に発表したばかりの新技術として、スマートフォンと車載ディスプレイをつなぐ新通信規格「MirrorLink」対応ソフトウェアのデモンストレーションを行っていた。

 同ソフトウェアは図研エルミックがルネサス エレクトロニクスと共同で開発したものでルネサス エレクトロニクスの車載向け32ビットマイコン「SH7269」用に最適化。これにより、カーオーディオ向けに広く普及しているSH7269を搭載した車載機器のMirrorLink対応が早期に実現するという。会場ではルネサス製「SH7269評価ボード」を使い、開発中のソフトウェアを搭載した車載ディスプレイとスマートフォンとがシームレスに連携するMirrorLinkの紹介が行われていた。

photo USBケーブル1本でスマートフォンのミラー画面が車載ディスプレイに表示されるMirrorLinkのデモ。車載側のディスプレイはタッチパネル対応だが、MirrorLinkでは表示だけでなく車載ディスプレイをタッチしてもスマートフォン側の操作が行える

 「MirrorLinkではスマートフォンの音楽機能や地図機能などを車載の大きなディスプレイで利用可能。車載のカーナビなどでは基本的にアプリケーションの追加はできないが、スマートフォンなら常に最新のアプリを利用できる。USB経由でスマートフォン側への給電も行えるので、自動車での長時間使用時もバッテリーを気にしなくていい」(図研エルミック)。

優れた開発生産性を組み込みに――Rubyビジネス推進協議会

 まつもとゆきひろ氏の基調講演が話題となった今回のETWestだが、Rubyビジネス推進協議会のブースにも“Rubyの組み込み応用”に高い関心を示す来場者が数多く訪れていた。

 2012年4月に公開されたmrubyは、Rubyの長所を生かしつつ、よりコンパクトな構造に軽量化・最適化された組み込み機器向けの新しい処理系言語。通常のRubyはスクリプト言語をインタプリタで実行するが、mrubyはRiteVMという実行環境が用意されており、コンパイラによって生成される中間コード(Ruby中間表現)をRiteVM上で実行するという仕組みだ。

photo mrubyの機能を集約したRubyチップをFPGAで実装した「組込みRubyチップ評価ボード」。ルビーの色を模した赤い基板に、USB/Ethernet/GPIOなど各種コネクタやLCDモジュールなどを搭載しており、mruby仕様に準じたRubyプログラミングによる組み込みソフトウェアの評価がこのボードで行える

 「従来のC言語に比べると圧倒的にコード量を減らせる。可読性も高まるのでメンテナンス性も向上する。サイズが小さいとバグ発生の確率も減ってくる。文字列処理やI/O処理といったRubyが得意とする処理はmrubyでも継承。またネットワーク機器などではC言語でコーディングを行うと結構面倒なのだが、Rubyでは非常に効率よく開発できる」(Rubyビジネス推進協議会)。

 mrubyは公開されたばかりでライブラリも少なく、デバイスドライバなどの充実は必要だが、環境が整ってくればRubyの良さである「開発生産性の高さ」が組み込み機器でも享受できるという。

photo mrubyを活用した「つぶやくルータ」。ルータにTwitter機能を実装し、ルータで起きたイベントをTwitterに自動でつぶやくという。デモでは電源コンセントの消費電力をツイートする「消費電力量をつぶやくアプリ」をmrubyで実行
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