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» 2012年08月10日 09時45分 UPDATE

金山二郎のAndroid Watch(7):Android搭載ドングル型コンピュータの可能性と課題 (1/3)

Android搭載ドングル型コンピュータは、われわれの暮らしを大きく変える可能性を秘めている。本稿では、その特徴・課題を整理しながら、単なるAndroid PCとしてではなく、専用端末としての利用を想定した新たなビジネス/サービス形態を検討する。

[金山二郎(イーフロー),@IT MONOist]

 突然ですが、USBメモリスティックのような形状の小さなコンピュータをご存じでしょうか(画像1)。

 実物を目にされたことのある方はまだ少ないと思いますが、Web上のIT系ニュースなどで徐々に話題に上っているようです(関連記事)。ちまたでは、この小さなコンピュータのことを「ドングル型コンピュータ」、あるいは「スティック型コンピュータ」と呼んでいます。

関連リンク:
「Android」コーナー

 実は、こうした類いの小型コンピュータは10年ほど前から存在していました。そのため、そのサイズ(小ささ)だけをとってみても、さして目新しさはありません。


USBメモリスティックのような形状の小さなコンピュータ 画像1 USBメモリスティックのような形状の小さなコンピュータ(※出典:Pandawill)

 しかし、その後の技術的進化により、このドングル型コンピュータがわれわれの暮らしを大きく変える存在として変ぼうを遂げようとしています。もちろん、その中枢技術には、本連載の主役である「Android」が活用されています!

 というわけで今回は、「Android搭載ドングル型コンピュータの可能性と課題」について整理していきます。

ドングル型コンピュータ×Android

 ご存じの通り、コンシューマデバイスは小型化していく傾向にあります。例えば、STB(Set Top Box)に分類されるアップルの第3世代「Apple TV」は、外形寸法が98×98×23mm、重さ272gと、家電製品において“手のひらサイズ”という言葉を現実のものとしました(画像2)。こうしたトレンドの一方で、はやりのスマートフォンは“より大きな画面が必要とされる”というジレンマを抱えていますが、技術的には“より小さく・薄く・軽く”する省スペース化の方向に進んでいると言えます。

Apple TV 画像2 アップルの第3世代「Apple TV」。完成されたデザインに脱帽 (※出典:Apple)

 ドングル型コンピュータは、この省スペース化の“最終形態”といえるデバイスであり、以下のような特徴があります。

  • ポケットサイズ
  • そこそこの機能と性能
  • 低価格

 画像3は、オンラインショッピングサイト「Pandawill」で販売されているドングル型コンピュータ「CX-01 mini Android TV Box(以下、CX-01)」です(画像1の正体はこれです)。ご覧の通り、USBメモリスティックのような形状をしていますが、これでも立派なコンピュータです(表1)。

CX-01 画像3 オンラインショッピングサイト「Pandawill」に掲載されているドングル型コンピュータ「CX-01 mini Android TV Box」。価格テーブルにも注目したい (※出典:Pandawill)
製品名 CX-01 mini Android TV Box
CPU TCC8925(ARM Cortex-A5 1.0GHz)
GPU Mali-400
RAM 512Mバイト
ストレージ 4Gバイト NANDフラッシュメモリ
ビデオ出力 HDMI(1080p)
ビデオフォーマット AVI、RMVB、MKV、FLV
オーディオフォーマット MP3、WMA、WAV、APE、AAC、FLAC、OGG
通信 IEEE 802.11b/g/n、2.4G
USB USB 2.0ホスト端子×1、マイクロUSB端子×1
寸法 85×27×15mm
重さ 25g
表1 「CX-01 mini Android TV Box」の主な仕様。現在のドングル型コンピュータはARM Cortex-A5やARM Cortex-A9ベースの構成が一般的だ

 面白いのは、キャップを外した先端にHDMI出力端子が付いている点です。これをHDMI入力端子のあるテレビなどに挿すことで、テレビをディスプレイとして利用することができます。CX-01は、USBバスパワーで駆動します。付属のUSB延長ケーブルを用いて、本体側にある給電用のマイクロUSB端子とテレビ側のUSB端子を接続して、給電します()。

 USB延長ケーブルが少々煩わしく感じるかもしれませんが、ACアダプターを持ち歩くのと比べるとだいぶ楽だと思います。本体も握りこぶしにすっぽりと収まるほどの大きさなので、ケーブルと一緒にポケットに忍ばせて持ち運ぶことも可能です。なお、ネットワーク接続はIEEE 802.11b/g/nの無線LANで、入力はワイヤレス接続(2.4G帯の無線)かUSB接続のマウスやキーボードで行います。

 OSは、当然のことながら「Android 4.0(Ice Cream Sandwich)」が搭載されています。4.0は早くもこのクラスのデバイスで定着してきたようです。さまざまなUSB機器のサポートを可能にするAPI(Application Programing Interface)や、リッチアプリケーションのためのUI(User Interface)は、全てAndroidにより実現されています。

 そして、忘れてはならないのが価格です。原稿執筆時点(2012年7月末)で、4Gバイトモデルが47.99ドルですから、4000円しないことになります(画像3)。さらに、501〜1000台のロット買いの場合は1台当たり31.17ドル、実に2500円ほどで購入できます。商用OSを採用していては、ここまで価格を押さることはできなかったでしょう。低価格・入手性の良さは、Androidならではの大きなメリットと言えます。


※注:利用の際は、テレビ側の仕様(こうした機器の接続が可能かどうか)を確認する必要があります。また、同様のドングル型コンピュータ製品の中には、テレビ側のUSB端子からの給電をメーカーとして推奨しないものもあります。利用はあくまでも自己責任でお願いします。


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